こんばんは。
サルオです。
本日はアラールジェンタムの原石を紹介させて頂きます。
この鉱物は2014年のミュンヘンミネラルショーで買い付けた商品で、この原石が入荷するまで全くの無知でした。
そして、今このブログを書いている時点でもほとんど無知に近い状態です。
そのため調べながらこの原石を紹介していきたいと思います。
・・・・・って、ない!載っていな!
本社においてある鉱物関係の本のどれを見てみてもアラージェンタムについて書かれている本がありません。
「これは相当マイナーな鉱物だな。」というのが最初の印象です。
ということで、インターネットを使ってこの鉱物について調べいき、まとめたいと思います。
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アラールジェンタム(allargentum)
和名:アラールジェンタム(特別な和名は付いていないようです)
成分:Ag(1-X)SbX Xの範囲は0.09~0.16
硬度:3.5
比重:10
光沢:金属光沢
この原石の産地:Bouismas鉱山, Zagora Province, Drâa-Tafilalet Region, モロッコ
少し難しい話になりますが、
成分を見ると銀(Ag)とSb(アンチモン)がある割合で混ざり合っているものだと分かります。
その「ある割合」というのが0.09~0.16、つまり、全体の84~91%の割合で銀が入り、9~16%の割合でアンチモンが混ざっているものがアラールジェンタムとなります。
わざわざ割合を設定しているということは、この割合が変わると鉱物名が変わるようです。
例えば、銀が75%、アンチモンが25%の割合の場合、ディスクラサイトという鉱物になります。
この「銀が75%、アンチモンが25%」という割合は比較的安定した割合で、アラールジェンタムに比べると一般的な鉱物になるのかも知れません。
その理由は、ディスクラサイトには和名があるということです。
ディスクラサイトの和名は安銀鉱(あんぎんこう)といい、成分が【Ag(1-X)SbX】で表されるものは、安銀鉱グループといわれています。
つまり、アラールジェンタムも安銀鉱グループの鉱物というわけですね。
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そういえば、大事なことを説明し忘れておりました。
この原石のどの部分がアラールジェンタムなのか。ということについてです。
大部分が白くて、一部黒い鉱物から出来ておりますが、アラールジェンタムは黒い部分です。
銀を主成分とする鉱物ということで、ある程度予想出来たかもしれませんね。
ちなみに、白い部分はなんだと思いますか?
ヒントはガラス光沢も持っていて、ブラックライトの光を当てるとわずかに蛍光性を持っているところです。
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ちなみに、上の写真で、すごく細かく強烈に光っている部分は、鉱物に付いている塵だと思います。
正解はカルサイトです。
ところで、グループ名の安銀鉱という名前の由来は分かりますでしょうか。
「銀」は成分に銀が含まれているから分かりますよね。
問題は「安」について。
この鉱物の標本としての価値が安いから「安」とつけているのでしょうか。
それとも、この鉱物に二次的な利用価値がないから「安」とつけられているのでしょうか。
答えはどちらも間違いです。
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銀ともう一つの成分である「アンチモン」という元素を漢字で「安質没尼」と書きます。
その頭文字の「安」をとって安銀鉱となります。
鉱物の和名はその見た目(結晶構造)や成分が由来となっていることが多く、決して、鉱物の価値をわざわざ名前につけることはありませんよね。
余談になるのですが、「安質没尼」の名付け親は宇田川榕菴(うたがわ ようあん)という江戸時代の学者さんです。
宇田川榕菴は日本に概念が無かった植物学や化学の書物を翻訳し、日本に存在しなかった学術用語を新しく造語し生み出したそうです。
例えば、酸素、水素、窒素、炭素といった化学用語はもちろんのこと、珈琲(コーヒー)も宇田川榕菴が最初に使った言葉ではないかといわれています。
最後までご覧頂きありがとうございました。