こんばんは。
サルオです。
本日は黄金色の文鎮、いや、多面カットされたパイライトを紹介させて頂きます。
★パイライト多面磨き 150g チャイナ産① 約5.6×4.0x2.3cm 150g 2,200円(税込み)★
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早速ですが、表題の「実験」について、何を実験したかと言いますと、パイライトの中に脈状に入っている白い部分。
メーカーさんに聞いてみると「カルサイト」とのこと。
しかし、疑り深い性格の僕は本当にカルサイトなのか疑問に思いました。
なぜなら、間違いなくカルサイトだと断言出来る要素がなかったからです。
確かにパライトとカルサイトはよく共生する鉱物です。
でも、共生の観点でいくと白くパイライトと共生する鉱物は他にもあります。
思い当たるところでは、クォーツ(石英)、バライト(重晶石)、ドロマイト(苦灰石)といったところでしょうか。
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と、いうことでカルサイトかどうかを調べるための最強アイテムを使って調べてみました。
ちなみに、その最強アイテムとは!
ヒントは、「123(いち、に、さん)」です。
※大阪にあるパチンコ・パチスロホールではございません。大阪に住んでいた約20年前よくCMで見ました。
その最強アイテムは、「いち・に・さんに効くサンポール」です。
サンポールに入っている塩酸によってカルサイトの簡易鑑別が可能なのです。
(※同質異像のアラゴナイトかカルサイトかは見分けることが出来ません)
ちょうど都合よくカルサイト原石の破損品と今回入荷したパイライトの中で欠けて売り物に出来ないものがありましたので、それらを使って実験してみました。
まずは、ハサミでそれぞれを「こそげ」落とします。
ハサミでこそげ落とした感じでは、カルサイトの方は軽い力で欠片をとることが出来ましたが、パイライトについている白い鉱物の方はカルサイトに比べると少し力が必要だったように思いますが、どちらにしろハサミで簡単に欠片をとることが出来たので、ハサミよりは硬度が低いことが分かります。
ちなみに、ハサミのモース硬度は4~5くらいなので、それ以下の硬度だと分かります。
ここで、石英の硬度は7ですので、石英の可能性はなくなりました。
残るは下記の3種類
カルサイト(モース硬度3)
ドロマイト(モース硬度3.5~4)
バライト(モース硬度3~3.5)
それでは、サンポール(希塩酸)を垂らしてみます。
サンポールを垂らした2秒後くらいの写真です。
左側は小さな気泡がたくさん出ているのに対して、右側はほとんど反応していないように見えますよね。
30秒くらい置くと、右側の方も少し泡立ってきたように感じます。(下の写真)
泡が少し広がってきているのが分かります。
そして、この違いが大きいのです。
調べたところによると、カルサイトは塩酸に浸けると激しく泡を出して溶ける、ドロマイトを塩酸に浸けるとゆっくりと溶けると書いてありました。
まさにその通りの結果になっていますよね。
ちなみに、バライトは塩酸に溶けません。
塩酸に溶けるのはカルサイトなどの炭酸鉱物です。
つまり、パイライトについている白い鉱物はドロマイトの可能性が非常に高いように感じます。
ではどんな反応が起きているのか、ここは少し難しい話になるかも知れませんので、興味があれば見てみて下さい。
・カルサイトの成分 CaCO3
CaCO3+2HCl(塩酸)→Ca2++2Cl–+H2O(水)+CO2(二酸化炭素の気泡)↑
・ドロマイトの成分CaMg(CO3)2
CaMgCO3+4HCl(塩酸)→Ca2++4Cl–+Mg2++2H2O(水)+2CO2(二酸化炭素の気泡)↑
という反応になります。
そして重要なのがイオン化傾向というもの。
高校の化学で出てきたやつですね。
このイオン化傾向はイオンの状態になりやすい金属元素を順番に並べたものです。
高校生の時に、「借りようかな、まああてにすんな、ひどすぎる借金」で覚えたものです。
K,Ca,Na,Mg,Zn,Fe,Ni,Sn,Pb,H,Cu,Hg,Ag,Pt,Auの順でイオンになりやすいというもの。
つまり、ドロマイトはマグネシウム(Mg)があることで、Ca(カルシウム)だけのカルサイトに比べると反応性は遅いということです。
話は変わりますが、そもそも、ペルー産のパイライトの中にはこのように脈状に白い鉱物が入っているイメージがありませんので、そこは産地特有の物なのかも知れません。
最後までご覧頂きありがとうござました。