こんばんは。
サルオです。
今日は在庫を整理していて見つけた掘り出し物を紹介させて頂きます。
タグについている商品名は「ドロマイトパイライト」となっていました。
白い部分がドロマイでしょう。しかし、パイライトはどこにあるの?
ぐるっと一周、裏表探してみてもパイライトらしき金色の輝きを放つ鉱物は見当たりません。
代わりに見つけたのは、黒く金属光沢をもつ鉱物と、同じく強い光沢を持った褐色のわずかに透明感を持った鉱物のみ。
ということで、なぜこの商品名がドロマイト・パイライトになったのか考えてみました。
この原石の入荷時期を調べてみると2012年12月。
12月の入荷ということ、この原石の産地がスイスであることから約8年前のミュンヘンミネラルショーで仕入れたものと思われます。
だんだん思い出してきた気がします。。。
答えが分かりました。この個体が特別なのでしょう。
海外に買い付けに行った際、よっぽど珍しいものでない限り1種類の鉱物に対して必ず複数の個体を仕入れます。
つまり、この原石以外の原石は本当にしっかりとした「パイライト」がついていたものと思われます。
入荷作業の際にそのまま区別されずに見落とされて、パイライトでもないのに「パイライト」という名前を持ってしまい、実際の鉱物は明らかに矛盾してしまったため、長期に渡って残ってしまったものと思われます。
★【限定1石】スファレライトwithドロマイト スイス産 約幅4.7×4.4x高さ2.2cm 34g 300円+(税)★
オンラインショップにて販売中!!
ということで、正しい名称を付けてあげて、改めて表に出してあげたいと思い、調べました。
鑑別に出していないので、あくまでも経験則ですが、パイライトと共生する代表的な黒い鉱物といえばスファレライト。
そして、スファレライトは褐色で透明感を持つことも稀にあるため、やはりスファレライトである可能性が高いように思われます。
ちなみに、透明感のあるスファレライトは特別に「クレオフェーン」という宝石名を持っていますが、上の写真の褐色の鉱物もクレオフェーンにあたるものだと思われます。
クレオフェーン特有のギラっとした光沢もはっきり見えますしね。
★【限定1石】スファレライトwithドロマイト スイス産 約幅4.7×4.4x高さ2.2cm 34g 300円+(税)★
オンラインショップにて販売中!!
次に気になったのが本当にドロマイトなのかどうかです。
ドロマイトに似た鉱物として代表されるものにカルサイトがあります。
この両者を比較すると下記のようになります。
成分:CaCO3(カルサイト)、CaMg(CO3)2(ドロマイト)
結晶系:六方晶系(どちらも)
硬度:3(カルサイト)、3.5~4(ドロマイト)
成分を見るとマグネシウムを含むものがドロマイト、含まないものがカルサイト。
結晶系が同じなので、見た目の形状はそっくり。
色についてもどちらも微量元素の影響で多色性を持つため、見た目から区別することは難しいです。
しかし、実は簡単に調べることが出来ます。
難しい話になりますが、高校生の化学で「イオン化傾向」というものを勉強した記憶がある方もおられるのではないでしょうか。
イオン化傾向とはイオンの状態になりやすい金属元素を順番にしたものだったと思います。
イオンの状態とはつまり、液体に溶けた状態ですので、溶けやすさをしめしたもの。
高校生の時に僕が勉強した語呂合わせだと
「貸そうかな、まぁ、あてにすな、ひどすぎる、借金」でした。
(K,Ca,Na,Mg,Al,Zn,Fe,Ni,Sn,Pb,H,Cu,Hg,Ag,Pt,Au)
左のK(カリウム)に行くほど溶けやすく、右のAu(金)に行くほど溶けにくいというものです。
つまり、溶けやすいCa(カルシウム)だけのカルサイトよりもMg(マグネシウム)を含むドロマイトの方が溶けにくことが化学的に証明されます。
ということで、この両者を特殊な液体(”1、2、酸に効く”のCMでお馴染み)に1mmくらいの欠けを入れてみました。
写真なので拡大していますが、目立たない程度のほんのわずかな欠けですよ。
それでは、サンポール1滴垂らしてみましょう。
カルサイトの方が、勢いよく発泡しているのに対して、ドロマイトは緩やかに溶けて行っているのが分かります。
これこそが誰でも簡単にドロマイトかカルサイトを区別出来る方法です。
本当は削らなくても鑑別出来る方法があればそれが一番良いのですが。
ちなみに、この泡は二酸化炭素です。炭酸飲料の泡と同じなので安心ですよ。
ところで、せっかくなので、この右側のカルサイトも紹介をさせて頂きます。
★【限定1石】カルサイト原石 チャイナ産 約幅5.2×4.5x高さ1.8cm 34g 3,800円+(税)★
オンラインショップにて販売中!!
右側の白い結晶も黄土色の犬牙状の結晶もどちらもカルサイトです。
一度に2パターンのカルサイトの形を見ることが出来て面白いですよ。
ちなみに。削ったのは裏側の目立たないところです。
最後までご覧頂きありがとうございました。