しんぐうのまがたま日記

【しんぐうのまがたま日記】玉人について

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2020年2月29日土曜日 東京国立博物館 平成館で開催されている「出雲と大和」展の特設ミュージアムショップに玉人(ぎょくじん)がやってきます。
時間は13時頃からを予定しております。

特設ミュージアムショップ内の弊社出品については、こちらをご確認ください。

出雲型勾玉は古来より「勾玉を造る」場所として全国でもその名が知れ渡り、地名の由来ともなった島根県・玉造温泉。
神話の時代より伝わる三種の神器の一つとして、そして日本の宝としても名高い「勾玉」をそれ以来数々の献上をはじめ当社が守り、紡いできた貴重な品でございます。

この読み物では明治より受け継がれている「玉人」について紹介させて頂きます。

【玉人(ぎょくじん)とは】

玉人というのは一般的に非常に馴染みのない言葉だと思います。

では玉人とはいったいどのような言葉なのでしょうか?

玉人の「玉」とは、勾玉をはじめとした「玉類」、
玉人の「人」とは、そのまま「人」の事です。
つまり簡単に言えば
勾玉をはじめとした玉類を献上する人の事を指します。

ただし自分自身が全てを行うのではなく、
職人達を束ねスケジュールや費用を管理し献上する代表者、
大工さんでいう「棟梁」さんをイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれません。

この名称について、
お恥ずかしながら実は私も数年前まで知りませんでした。。。

ある時、
神社様に用事があり社務所で宮司様をお待ちしている時でした。

社務所の会議室に古くからの数多く写真が飾ってあり、
弊社の初代の写真等もあったため興味深く拝見させて頂いていた時、
並んで飾られたある2枚の写真に目が留まりました。

両方共に弊社が献上した勾玉である事はすぐに分かりましたが、
1枚は献上した勾玉の横にある献上者名の木札に「献上 玉人 新宮福司郎薫」
もう1枚は献上した勾玉の横にある献上者名の木札に「献上 玉人 新宮福仁郎正朗」
とあります。

ちなみに
「新宮福〇郎(ふくじろう)」とは代々の社長名であり、
また真ん中の「〇」部分についてはその代によって漢字を変える事になっていたそうです。
しかし職人としてはいいものの社長としては字画があまり良くないとの事で
先代の途中から名乗らなくなったそうです。

話が逸れましたが、
その「玉人」という名称を見るのが初めてであったため、
宮司様に「この「たまひと」ってなんですか?」と伺ったところ、
それは「たまひと」ではなく「ぎょくじん」と読むこと、
そしてその意味合いについて教えて頂きました。

上述のように、
現在勾玉職人は日本国内でも弊社しかおりません。
という事は、
この玉人を名乗る事が出来るのは私か、もしくは四代目である私の父か、
しかいない事になります。

三種の神器の一つでもあり神話の時代から脈々と受け継がれてきた勾玉。

単なる形としての勾玉だけではなく、
その勾玉が持つ歴史・伝統・文化を
100年後、500年後、1000年後にも伝えていかなければならないという想いが、
この玉人という名称を見るたびに強く湧き上がってきます。

第五代玉人 新宮寛人

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