いろどりびと

【いろどりびと】出雲鏡石はどうやって生まれたの??

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オンラインショップチームがいろんな部署・チームの普段の仕事の様子や商品の開発・誕生秘話など様々な裏話をお届けする【いろどりびと】。

記念すべき第1回目は「出雲鏡石」を見つけ、お客様のお手元に届くまでを企画からブランディングまで担当したバイヤーの川西をご紹介します!

入社2ヶ月、経験ゼロの中での大発見


▲自ら出雲鏡石を磨くバイヤーの川西

実は「出雲鏡石」を担当したバイヤーの川西は今年の5月で入社2年目のスタッフなんです。

出雲鏡石をお届けできるようになったのは昨年の10月なので、実質入社2ヶ月でこの大きな発見をした社内のヒーローでもあります(笑)

経験ゼロ、入社すぐでの大発見。
そもそも入社のきっかけは?

川西:

「もともと『ものづくり』が好きで、前職でもロボットなどを使って様々な工業製品を作ってたんです。

1番最初に作るものってどんなものでも人が必ず手で作るんですよね。

そこに『ものづくり』の醍醐味があるというか、島根出身ということもあって勾玉や伝統工芸にも興味があったので、その経験が自分の好きなことで活かすことができたら、またそれをたくさんの人に伝える仕事がしたいと思ったことがきっかけでした。そしたら求人がでてましたので…(笑)」

何事もやってみたらいいことがある。

続けて、出雲鏡石の誕生秘話を聞いてみました。

川西:

「上司とのミーティングで出雲や島根の良さや魅力を『勾玉』にしてもっと届けたいという話になってすごく盛り上がりました。

それからすぐに動き出そうってことになりまして、勾玉にする原石を探すために、まず取りかかったのはチームで手分けをしてたくさんの方に電話をしました。
地域の会長さんや、市役所、地域の方や採掘現場の会社などほんとにいろんな方にとにかく電話をしました。

全員で100件以上は電話しましたね。」

誕生の裏側でそんな努力をしていたんだと私たちも改めて感じていました。
石が見つかった時はどんな気持ちでした?

川西:

「正直、本当にあるのだろうかと半信半疑でした(笑)

それからチームで石の確認も含めて現地へ行きました。そこでたまたま硬い石があると言われたのでそれをいただいて調査開始です。まずは弊社の職人に加工してもらって勾玉に向いている石かどうか判別をしてもらいました。

実は今だから言える話なんですけど出雲鏡石は間違えて持って帰った石だったんです。たくさん持って帰った中でも見た目もあまりぱっとしない石でそれを職人に加工してもらったら中がすごく綺麗な表情が出たんです。

川西:

石の硬さもほどよく、こんな石は探してもなかなか出会えないです。絶対に勾玉にしたいなって思いました。

さらに島根大学に成分の分析をお願いしたところ、非常に魅力的で価値のあるものだと教えていただきました。

先生と生徒のみなさまからも次の採掘は一緒にいきたいと言っていただいています。島根大学の展示室に出雲鏡石の勾玉も飾られています。」


▲出雲鏡石の断面

新しい石や石に限らず自分のほしいものって探してもなかなか見つからないものですよね。私もプライベートで欲しいものを探しても、2~3回探してなければ諦めてしまいます。それを100件以上も電話して見つけた石は相当思いいれも強いはず。

どうして『出雲鏡石』という名称になったんですか?

川西:

「出雲鏡石が採れる山を『鏡山』と言う名前で、『鏡山』としては地図には載っていないんです。

昔の人って地域を屋号や愛称などで呼ぶことも多いじゃないですか。なのでこの地域の方々は『鏡山』と呼んでたそうです。そのルーツを分厚い本で調べてみたのですが、この石は1500万年前の噴火によってできた石だと記載がありました。」

島根県出雲市にある鏡山
▲島根県出雲市の鏡山

川西:

「ここからこの石のすごいロマンがあるんです。
自分たちでは調べることができなかったんですけど、島根大学の先生と調査を続けていると、今の島根半島は1500万年前はユーラシア大陸とくっついていたんです。

このユーラシア大陸と今の島根半島が切り離される噴火の時に、今の中国と日本の境目にできたものとされています。この古くから伝わる地域の愛称と、石の表情がキラキラしていて、また鏡という言葉が石の表情だけでなく歴史を物語るのに素敵な言葉だなと思ったので『出雲鏡石』にしました。」

鏡山
▲鏡山の壁面

部署が違うとなかなか裏側の仕事も見えにくく、今回インタビューをしてみて出雲鏡石の歴史や形になるまでの努力がわかり私たちもすごく勉強になりました。

出雲鏡石の魅力って何?

川西:

「魅力はたくさんありますがその中で4つご紹介します。

まず1つめは色合いと硬さです。この石に決めるまで何種類も出てきました。それぞれの石は温度によって形や硬さがかわるため、出てきた石をすべて成分調査し、アクセサリーなどで使用する際に適した色合いや硬さであることも調べました。この石が一番適していました。」

川西:

「2つめは、その調査の過程で7つもの成分が入っていることがわかりました。石英、斜長石、緑色黒雲母、角閃石、チタン磁鉄鉱、カリ長石、海緑石。この出雲鏡石を形成する7つの鉱物が表情を豊かにしてくれます。」

出雲鏡石を形成する7つの成分
▲出雲鏡石を形成する七つの鉱物

川西:

「3つめは、この石は『デイサイト(dacite)』とも呼ばれ、日本はもちろん世界で採掘される時は黒色に近い色で見つかります。

ですが、ここ出雲の鏡山で採掘されるデイサイトはなぜか濃い緑色をしているんです。これは今回調査協力をいただいた鑑別機関のみなさまも大変驚かれていました。なぜこの緑色になったのかと言うと海底火山で噴火したためだそうです。海底火山でできるデイサイトは世界を見ても大変珍しいと言われました。この石にする決め手になった大きな理由です。」

川西:

「最後ですが、やはり一番の魅力は自分たちで採掘を行い、形にするまでを実際に販売するスタッフと一緒にできたことです。

脈があれば様々なところで同じような石は採掘できます。この『出雲鏡石』が採掘できる脈はこの鏡山だけなんです。もちろん弊社で取り扱う他の石も安心安全ではございますが、この石を自分たちで採掘できたということでお客様により安心と安全をお届けできるということが一番嬉しかったです。」


▲店舗スタッフと一緒に採掘

私も以前商品部に所属していましたが、商品をリリースするのは意外と地味な工程も多くすごく大変でした。それでもリリースしてお客様のお手元へ届けることができたことがすごくやりがいでしたし嬉しかったです。

『出雲鏡石』をリリースして嬉しかったことを聞いてみました。

川西:

「入社してすぐの仕事で不安もありましたが、チームやまわりのみんなの助けがあって入社してすぐ、この短期間で形にできました。

リリースして実際に自分で『出雲鏡石』を接客して、手にとっていただいたお客様から「かわいい」や「癒される」などお褒めの言葉をいただいた時は本当に嬉しかったです。」

この経験を次に活かす。


▲社内の「川西工房」で作業する様子

最後に、これからやってみたいこと挑戦していることを聞いてみました。

川西:

「勾玉の素晴らしい歴史と伝統をしっかり残していくためにも、今までにない新しいものをみなさまに届けたいと思っております。石はもちろん、石以外の資源・素材にもチャレンジして形にしていきたいと思っています。もう少しでリリースできるものがあるかも・・・?期待していてください!」

また勾玉をもっと多くの人に広めたい、身に着けてもらいたいという気持ちもあります。
もっと取り入れやすくなる商品も開発中ですのでぜひ楽しみにしていてほしいです。」


▲自分で作った鏡石勾玉のボタン。試作中だとか?

入社して最初の仕事が『出雲鏡石』のリリース。
インタビューを通して勾玉をもっと知ってもらいたい、出雲鏡石も知ってもらいたいという想いが伝わってきて、私たちも元気をもらったように思いました。

いま、開発中の商品をお客様に届けられることを私たちも心待ちにしたいです。

 

オンラインショップ担当 六路

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