めのうさとえすこな散歩

神社な日常 知って得する神社のあれこれ ~ 八百万神?百八十神? 神様が集い酒宴を開いた佐香神社編 ~

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みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
読みものを更新しました。
しばしお付き合いください。

 

秋の行楽シーズンですね。
軽登山が趣味の私、
先月「三瓶山」に登ってきました。
正確には「三瓶山の縦走」ですね。
三瓶山は4000年前に最後の噴火が起こった
カルデラ式の山で、中心がくぼみ、
そのくぼみを標高1,126mの男三瓶を主峰に、
女三瓶、子三瓶、孫三瓶などなど
6つの峰が連なる活火山です。
6時間ちょっとかかりました(^^;)

男三瓶(おさんべ)の山頂には
100人くらいでしょうか?
大勢の登山者が登っていてびっくりしました。
シーズンですものね。

ここ出雲地方は山あり川あり海あり湖あり
そして、そこかしこに根付く神話あり。

様々な大地の要素が揃っているこの地は
様々な神話が語り継がれています。
山に登ると、そんな神話の世界も
広がって行くから不思議です。
登山が趣味の方はぜひ出雲地方の山へ!

 

さてさて。
「神在」や「八百万神」に関わる
神事や神社を検索しておりますと、
ヒットする神社の一つに
「佐香神社」があります。
ご経験のある方もいらっしゃいますか?
佐香神社 出雲市小境町108
日本酒発祥に関わる神社といわれています。

ご祭神は久斯神(クスのかみ)、
スクナヒコナと同一神で、「クス」は

「薬」のクスの事だとか。
そして「大山咋命(オヤマクイのみこと)。
配祭神の中に「百八十神」とあります。
百八十神はけして八百万神の書き間違いでは
ありません(^^;)

百八十神は「ももやそがみ」と読みます。
180はもちろん実数では無く、かなり多くを
意味する
言葉として使われています。

これは、出雲國風土記の中に登場する
楯縫郡佐香郷の地名由来に
「佐香の河内に百八十神たちが集まられ
調理場を建て、酒を醸した。そして
百八十日に渡り酒浸りの酒宴を開き、
そして解散された。」 とあります。
大勢の神々が何日もお酒を浴びるほどの
酒宴を開いたと書かれているんですね。

原文では「喜讌」という言葉で表され
「さかみづき」と読むそうです。
「讌」は「讌り」と送り仮名をふって
「さかも-り」と訓読みするようですが、
この「さかみづき」の「みづく」は
「水浸し」の意味があり、まさに酒浸り、
浸かるほど酒を飲んだという表現です。

神々が一斉に集い、酒宴を延々と続けた、
ある意味「神在り」といえる光景が
そこに想像出来ます。

佐香神社は神在神社の中には観光協会も
数えていません。ですが神々が一箇所に集い
そして去っていなくなる。
この事は
解説 出雲国風土記※の中に
『神在祭にも通じる観念であることは
興味深い。』と解説されています。
※解説 出雲国風土記 島根県古代文化センター[編]

また「百八十神」の表現は古事記の中で
オオクニヌシの国譲りの際、自身の御子神を
「私の子ども達、百八十神・・・」と
言っています。この辺りはなんか古事記に
沿って表現している様にも思えますね。

 

さて。
では佐香神社の今年の例大祭の様子を。

石造りの鳥居が二基。
奥の鳥居が例大祭仕様です。

実はこの鳥居、手前と奥では
額束の社名が違います。
手前は「松尾神社」奥が「佐香神社」。

 

「佐香神社」の社名の鳥居に装飾が
されている様ですね。

ご由緒には松尾神社(佐香神社)とあり
江戸時代初期に「松尾大明神」と
呼ばれていたようですが、風土記には
「佐加社」とあるようです。
江戸初期には京都の松尾大社が
お酒の神として有名で、
それにあやかったのではと想像します。

祓所が設けられています。
御釜が置かれ、湯を沸かしそのお湯で
場を清める「湯立神事」の準備です。

ただ沸かすだけでは無く、
御釜の周りで神楽を奉納し、
お神酒や塩を御釜に入れ、
空に文字を書く
儀式があります。
これは天上にある
清らかな井戸、
「天の真名井」を
下ろす儀式なのだとか。

祭祀の拝殿、参列者、神官たちを祓い清め
神官たちが昇殿されます。

ここで、雨が強くなってきました。
参列者は軒に避難します。

粛々と神事や進み、
獨酒(どぶろく)の奉納です。

塗りの三宝に乗せられた碗に
新米で醸された獨酒が酌まれ
本殿前へ置かれます。
以前はこの獨酒を参列者が
回し飲みされたそうですね。

神事は恙無く閉祭。
参列者は酒造に関わる皆さんの様で
御札を戴いています。
中には「これで新酒が造れる」と
声を漏らす人もいらっしゃいました。

神事の後、拝殿に残された樽。

昭和29年より「濁酒一石以下無税」の許可を
国税庁から頂いているそうです。
「一石(いっこく)」は180リットル。
例年ですとその獨酒が振る舞われ、
境内で頂くことが出来たのですが
昨年より、中止されています。

一昨年の様子の写真をどうぞ。

百八十神の酒浸りの酒宴の風景が
重なるかの様です。
伺いましたら、近年180リットルでは足らず
この年は240リットル醸したとか(^^;)

来年は、百八十神の酒宴よろしく
獨酒を賞味したいものですね。

獨酒はアルコールがちょっとキツめで
酸味があるお酒でした♬

そうそう、宮司さんが「クスノカミ」は
「発酵の神」とおっしゃってましたね。
酒、醤油、味噌などの神様だそうです。

 

本日もお付き合いくださって
ありがとうございます。
またの更新をお楽しみに。
ご自愛くださいますように。

 

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