鉱物と暮らしのアイデア帳

【ショートコラム】日本神話の「オオクニヌシ」は、なぜそんなにモテるのか?

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ライター・夏生さえりが聞く「出雲に伝わる日本神話と、勾玉のお話」。ショートコラムでは、記事には書ききれなかった内容をご紹介します。

【前編】出雲大社は巨大神殿だった…? 縁結びと言われる理由とその歴史は
【後編】出雲は“トレンド発祥の地”?勾玉から紐解く出雲の歴史

話し手:笹生衛先生(國學院大学教授)
聞き手:夏生さえり(フリーライター)

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Q.オオクニヌシという神様はすごくモテたそうですが、なぜそんなにモテたんでしょうか? もしかして超イケメンだったんでしょうか?

地上の世界をつくったとされ、「国造りの神」と呼ばれるオオクニヌシ。彼がイケメンだったかは定かではありませんが……、器が大きく、とても優しい神様だったとはいえると思います。「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)※」というお話を聞いたことがありますか? あのお話も実は日本神話の一つですが、その中にオオクニヌシの優しさが現れたエピソードが書かれています。

オオクニヌシには「八十神(やそがみ)」と呼ばれるとても多くの兄弟がいました。そのお兄さんたちは、とても美しいと言われていた「八上姫(ヤガミヒメ)」に求婚しに行くんですね。オオクニヌシも、遅れをとりながらヤガミヒメの元に出発します。

すると、オオクニヌシは泣いているうさぎに遭遇します。そのうさぎには毛がなく、体中が赤かったんです。聞けば「因幡(いなば)の国まで行ってみたかったけれど、海を渡ることができませんでした。そこでワニザメをだまして渡ろうとしたところ、最後の最後で怒りを買ってしまい、毛をむしられ丸裸にされてしまった。そのせいで体が痛んで泣いていると、あなたの兄弟たちがやってきて、海水を浴びていれば治ると言ったのですが、痛みが酷くなる一方です」と言うんです。

オオクニヌシの兄弟たちは、うさぎに意地悪を言ったのでしょう。オオクニヌシは気の毒に思い、真水で体を洗うように告げ、細かな治療法を教えてあげました。すると、うさぎの傷はみるみるうちに治り、毛もふわふわに戻ります。

うさぎはとても感謝をして、「あなたこそがヤガミヒメと結婚する人です。あの意地悪なお兄さんたちは、絶対に姫とは結婚しないでしょう」と予言めいたことを言う。そうして、実際にオオクニヌシが八上姫の元へ向かうと、姫は一目で「あなたと結婚します」と言ってくれるんですね。

このお話にも描かれているようにオオクニヌシはとても親切で優しいので、他の日本神話のエピソードにおいても、女性や動物にものすごく好かれるんです。ただそのせいで男性たちの嫉妬や反感を買い、殺されそうになったり恨まれたりと散々な思いもするわけですが、それらもすべて周りの人の助けによって乗り越えていくんですよね。

日本神話でオオクニヌシに降りかかる災難はとても突飛で、そしてその乗り越え方も斬新なものが多い。物語として非常に面白いので、興味が湧いた方はぜひ調べてみてくださいね。

※古事記では『稲葉の素兎』と表記されている

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