みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
ブログを更新します。
しばしお付き合いください。
前回まで2回に渡ってイザナミノミコトの
埋葬地をご紹介しました。
今回はその後のイザナキノミコトの取った行動や
それにまつわる伝承地をご紹介します。
なお、一文字しか変わらない夫婦神の名前は
男神イザナキ♂、女神イザナミ♀を色と記号で
区別しやすい様にしてみました。
まず始めに古事記のストーリーを
ちょっと書かせていただきますね。
イザナミ♀に会いたくて
黄泉の国まで行ってしまったイザナキ♂。
すでに亡くなり、埋葬もしたのに、
黄泉の国まで迎えに行ってしまうのです。
男って今も昔も未練がましい生き物なのでしょうか。
まあ、責められませんね。
黄泉の国は地下にある認識の様です。
黄泉の国の入り口に来たイザナキ♂は
入り口の扉を挟み、
イザナミ♀に国造りが終わっていないことを告げ、
戻ってきてくれないかと問います。
イザナキ♂の問いかけに対しイザナミ♀の答えは
「もっと早く来てほしかった・・・」でした。
イザナミ♀には戻れない理由がありました。
黄泉の国の食事を口にしてしまったのです。
どうやら、黄泉の国の食事を食べてしまうと
この世には戻って来られない様なのです。
それでも黄泉の神様にこの世に戻れるかどうか
お伺いを立ててくると言ってくれました。
そして、
決して私を見てはいけないと付け加えます。
・・・いつまで待っても帰ってこないイザナミ♀。
待ちきれなくなったイザナキ♂は黄泉の国へと
向かってしまいます。
そこで見たものは (゜□゜;) !!
なんとイザナミ♀の腐乱死体。
体中にウジがわき、うごめき、
八柱の雷神がイザナミ♀の体から産まれていました。
見てはいけないと言ったにも関わらず
見られてしまったイザナミ♀は
「恥をかかせましたね!」と
黄泉の大軍団をイザナキ♂に差し向けます。
逃げるイザナキ♂!
身につけているものを投げます。
髪を結っていた弦はブドウに!
髪に差していた櫛はタケノコになりました!
ブドウやタケノコを食べる軍団。
そのスキにさらに逃げるイザナキ♂!
追撃にイザナミ♀は自身にまとわり付いていた
八柱の雷神を差し向けます。
イザナキ♂はこの時、
黄泉比良坂の麓まで来ていました。
腰に差していた剣を抜き、後ろ手に構え
なお逃げるイザナキ♂。※
イザナキ♂はその場に生えていた桃の実を
3つ、雷神に投げつけます。
実際はヤマモモだといわれています。
✕3
桃は神聖な果実。
雷神は逃げ帰ります。
イザナキ♂は桃に「オオカムズミ」と命名し
国が苦境に陥った際、自分を救けたように
また救ってくれ、と言います。
まだまだ気の抜けいないイザナキ♂!
最後にラスボスと化したイザナミ♀が
追いかけてきました。
追い詰められるイザナキ♂!
必死の思いで黄泉の入り口に着いたイザナキ♂は
巨石で黄泉比良坂を塞ぎます。
「千引岩(ちびきのいわ)」と表記される巨石は
千人がかりで引けるほどの大岩の意味です。
その大岩を挟み、
イザナミ♀はイザナキ♂に話しかけます。
「愛しき夫、イザナキ♂よ。
この様な仕打ちをされ、私はこの国の人間を
一日千人絞め殺しましょう!」
物騒な話ですが首を絞めて殺める方法は
最も憎しみの強い方法ともいわれるようです。
窒息するしばらくの間、息が止まるよう
強く締め続けなければならないから。
咄嗟の行為では無いということでしょう。
つまり、イザナミ♀は強い憎しみの感情を持って
話しているようです。
イザナキ♂は応えます。
「愛しき妻、イザナミ♀よ。
それでは私は一日に千五百の産屋を建てよう!」
出産(うぶや)とは出産用の小屋。
産屋を建てるということは
子を産ませるということです。
それで人口は増えていく様になるというわけです。
そして古事記にはその場所、黄泉比良坂は
出雲国の伊賦夜坂というと書かれています。
松江市東出雲町揖屋(いや)もしくは
揖夜神社の辺りといわれています。
さて今回ご紹介するのはまずこちら。
劔神社(剣神社)です。
松江市八雲町日吉10
冒頭のストーリー紹介の中で、
腰に差していた剣を抜き、後ろ手に構え
なお逃げるイザナキ♂。※と書きました。
正にこの場所は腰に差した剣を抜き
後ろ手に構え、この地まで逃れたという伝承地です。
「剣を後ろ手に構える」この事に
深い意味があるという解説も少なくありません。
というのも、古来、「逆手」や「後ろ向きに渡す」
といった行為に「呪い」の意味が
含まれている様なのです。
この場面を「雷神の魔力を断ち切りながら逃げた」
と訳している本もありました。
小山の上にあるこちらの神社。
個性的なのは本殿の千木です。
前が男千木、後ろが女千木。
「男」「女」と表現されるので
男神の神社は男千木(おちぎ)、
女神は女千木(めちぎ)と思われがちですが、
必ずしもそうとは限らないようです。
また「男千木」「女千木」とは俗称のようで
男千木は「外削ぎ(そとそぎ)」、
女千木は「内削ぎ(うちそぎ)」と呼ぶようですね。
続いてはこちら。
黄泉比良坂です。
松江市東出雲町揖屋2407
「神蹟黄泉比良坂伊賦夜坂伝説地」。
1940年に整備されたこの場所には
千引岩に見立てた巨石が置かれています。
マップを拡大して見ると
「伊賦夜坂」の文字があります。
そしてその先には「塞の神」。
「塞(さい)」は侵入を防ぐ意味があるそうです。
塞の神は集落の境界などにも見られますが
こちらの塞の神は誰の侵入を防いでいるのでしょう。
立て札がありましたので行ってみました。
30mほど進むとあった塞の神。
この場所はT字路になっていて
左に曲がると行き止まりでした。
古道の跡のようですね。
小道は向こうに向かって下って行きます。
私はこの賽の神のところに来るのは2回目ですが、
前回もこの伊賦夜坂を賽の神より
先には進めず帰ってきました。
何故か行ってはいけない
そんな気持ちになってしまうんですね( ̄ヘ ̄;;)
防がれているのでしょうかね。
黄泉の国譚のクライマックス、
千引岩を挟んでの二神の会話に
私、並々ならぬ想いがあります。
お互いの会話は非常に物騒な内容です。
千人絞め殺す!♀ 千五百人産ませる!♂
しかしながら、会話のはじめは「愛しき・・」。
いつまで待っても戻ってこなかったイザナミ♀は
意識的に戻らなかったのだと思います。
黄泉の神様に伺いを立てるとは言ったものの
イザナミ♀は戻れないことを知っていたはずです。
体にウジがわいていたんですもの。
本当はイザナキ♂に我に返ってもらい、
自分の事はキッパリ諦めてここから去り
国造りを成し遂げて欲しかったのだと思います。
しかしイザナキ♂は
帰らず自分の元へ来てしまった。
その後のことは、
すでに死んでいる自分を諦めさせ、
国作りという大業を成し遂げる為の
心を鬼にした行動だったのではと思います。
今際の際まで神産みを続けた
使命感の強いイザナミ♀の
涙をこらえた行動だったのではなかったかと。
千引岩を挟んだ会話の時に
イザナキ♂はやっとその事を
理解したのではないかなと思うんですね。
ですのでイザナミ♀の「愛しき夫・・・」に対し
「愛しき妻・・・」と返したのではないかなと。
そうでなければ、いくら常套句だとしても
あの状況の心理状態では出ない言葉だと思います。
なんと言えばいいでしょう
悲愛的というか、
浄瑠璃的というか義太夫的というか。
ですので、個人的に付け加えたい一文が
「お互い泣きぬれてそれぞれの世界に帰っていく
振り向きもせずに・・・。」
私が思う、黄泉比良坂の結末です。
そして揖夜神社。
松江市東出雲町揖屋2229
毎年8月28日は穂掛祭と一つ石神事の日。
今年はコロナ禍の影響で穂掛祭のみの斎行となってしまいました。
穂掛祭に参列して参りました。
五穀豊穣の感謝・祈念祭なのだそうです。
宮司が本殿の扉を開けています。
これから供物が供えられます。
粛々と進み、本来であればお供えしたお神酒で
直会(なおらい)なのですが、
今年は割愛されてしまいました。
例年ですとこの後、もう一つの祭祀が斎行されます。
神様をお神輿に乗せ
中海まの一つ石という神蹟まで船で向かいます。
そして神官が中海に入り、一つ石ノ前で
豊作豊漁の感謝・祈念をする祭祀
イザナキ♂がイザナミ♀に
会いに来る神事ともいわれています。
2年前の写真を載させていただきますね。
本殿からお神輿が降ろされます。
すでにイザナミ♀が乗っていらっしゃる状態ですね。
船にお神輿は積まれ、中海の神蹟「一つ石」に着きました。
お神輿の乗った船は後方に控えています。
お神酒と稲穂が降ろされます。
一石にお神酒を注ぎ、稲穂を置いた後、二礼拍手一礼。
そして海中から石を一つ拾い持ち帰ります。
この後、お神輿は陸に上がり、陸行列で
21時過ぎに本殿へ戻られるそうです。
スミマセン長くなりました。㎜(_ _)㎜
次回は出雲以外のイザナミの陵墓を紹介したいと思います。
本日もお付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。
またの機会に。
ご自愛くださいますように。