めのうさとえすこな散歩

神社な日常 知って得する神社のあれこれ 売豆紀神社 神等去出祭 編

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みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
ブログを更新しました。
しばしお付き合いください。

さてさて。
11月の神魂神社からご紹介してきました
出雲地方の神在祭を行う神社。
題して神在神社。

全ての神在神社のご紹介とは
行きませんでしたが

今回が一区切りとなります。

最後にご紹介するのは賣豆紀(めづき)神社。
松江市雑賀町(さいかまち)1663

松江駅から南に
1㎞ちょっとのところにあります。

ご祭神はオオクニヌシの娘、シタデルヒメ。
才知に長けた女神といわれています。

古事記にも登場しますが
自身の兄を紹介する時
歌を詠んで紹介しています。
詠んだ歌が万葉集にあるとか。

名前も注目され、
「アマテラス(天照)」に対し
「シタデル(下照)」と
対を成すような扱いをされることも。

確かに《 天から照らす 》
   《 下から照らす 》
んー。( ̄~ ̄)詳しくは解りませんが
なにか共通性を感じますね。

松江市内の神在神社と聞くと
佐太神社の様にイザナミを敬い
亡くなった10月に参集するという
神在の由来を想像していましたが
参列すると由来が違うことが解りました。

その由来の前にこの難読な神社の
名称の由来を書きますね。

神社の由来には「姫 斎き祀る」という
言葉から来ていると紹介しています。

「女神を忌み慎みお祀りする」の意味と
考えられます。これが
「ひ いつき」→「めづき」と転じたと。

「豆」ですので「ズ」の読み仮名が正しいので
「めずき」と思った方、確かにそうなのですが

由来の「いつき」から「づ」の読み仮名を
充てるのが正しい様です。

それではなぜ神様が参集されるのでしょう?
これは社名と立地に由来があるようです。

またまた話が飛ぶのですが
松江市内の神在の神社は順番が語られています。

初めに眞名井神社。
こちらはイザナキを祀る神社。
以前は神在祭を行っていたそうです。

次に神魂神社。
こちらは今ではイザナキ・イザナミを
祀っていますが、以前はイザナミのみ。

八百万の神々はイザナミの社に集まる前に
まず夫神のいらっしゃる眞名井神社に
集まられるという伝承があり「両神魂」、
「りょうかもす」と呼ばれていました。

そして神魂神社の後に行かれるのが佐太神社。
その通り道にあるのが賣豆紀神社・・・
なんだそうです(^^;)

どれどれ(。。;)

ほぼそうでした!
上の方にあるのが佐太神社
下の方が神魂神社です。
きっちり神社の前を
線が通るわけではないのですが
方向的には確かに途中にあります。

神魂神社の本殿の内側の壁には
絵が施されていて、その中に
三殿並立の神社の絵があります。
佐太神社です。

随分前に六所神社の宮司さんから
お互いイザナミを敬い八百万の神々が
参集する神社で、神社の領地など
変に勘ぐられる事を避けて
内壁に描いたのではないかという
考えを伺いました。
何かしらの繋がりが絵で残っている訳です。
神在祭の繋がりだったのでしょうね。

ではなぜ、前を通る八百万の神が
賣豆紀神社に集まるのでしょう。

この社名の「めづき」は
「目付き」と解釈され
これは「目配せ」の意味があるそうです。

社頭で配られているコピーには
こちらの神社の前を通られる時
八百万の神々はシタデルヒメに

どうやら目配せ(ウインク)をして
アピールしたようです。

そして佐太神社をお立ちになった後
「あの女神のところへ!」
と参集されたのだと(^^;)

という事は集まられたのは
男神なんでしょうね。

民族学者の柳田国男の本には
出雲に縁結びの事で10月4日に
秋田県横手市にある神社の氏神様が
出かけられたのですが、
年が明けた正月になっても戻って来ず、
やっと帰ってきたのは1月4日だったと
書いてあるそうです。
それから正月行事を行われたのだとか。
賣豆紀神社の女神と遊興が過ぎて
帰りそびれたかもしれないと伝承が
残るのだそうです。

賣豆紀神社の宮司が先方に電話をして
その事実を確かめた所、
確かに秋田の神社にもその伝承が残るとか!

秋田の神社の氏神様の沽券に関わると
いけませんので名前は伏せておきます(笑)

文章が長くなりました。
では当日の様子を。

12月3日に迎えられた神様は
いよいよ9日、神事によって
お立ちになります。

 

早めに神社に着き、
写真を撮っていると・・・

ん?

猫だ! >(Φ∞Φ)<

癒やされました(笑)

17時。昇殿参列者は11名。
皆さんを前に宮司のお話が始まりました。

神々は本殿にいらっしゃるそうです。 
参列者の役割はお立ちになる神々が
帰りたくないと本殿に戻って来ないよう
見張るのだとか!
なんとも和やかなホッコリ神事(^^)

宮司のそんな説明や神社の歴史、
前出の秋田の神社の話などで始まりました。

そしていよいよ始まります。
修祓。神事はまずお祓いから。

祭壇をよく見ると
神様が宿られるヒモロギの前に
三宝が置かれ「神饌菓」と書かれています。

後で教えて頂いたのですが
これは神様が国に戻られる時
道中召し上がるいわば「おやつ」。
「神饌菓」の「菓」は「おかし」の事です。

宮司が昇殿され、本殿の御扉が開けられます。

続いてお供え物。献饌です。

宮司いわく、これは神様の夕飯。
賣豆紀神社はお立ちになる神様に
夕飯を召し上がって頂き
おやつを渡してお帰り頂くのだとか。

神事は進み、金属の御幣、
「金幣(きんぺい)」が振られます。
金属の触れる高い音が心地よく響きます。

そしていよいよ宮司はヒモロギに宿った
八百万の神々をお連れになります。

参列者も続きます。
そして楼門のところまで来られ

ヒモロギを左右に振り
「おたーちーー
 おたーちーー
 おたーちーーーー・・」
と3回唱え、神々を空へお送りしました。

無事送られ、安堵のみなさん。

拝殿に戻ると。

先程撫でたニャンコが!

どうやら神々が戻って来ないか
見張っててくれたのは
このニャンコ
でした(笑)

宮司いわく、毎朝のお勤めの際、
毎回昇殿して、清められている猫だとか。

しばらくウロウロ、ウロウロ。
本当に神様が残られてないか
確認しているかの様でした。

神事も終盤です。
宮司に合わせ一拝。
神事が恙無く終わりました。

最後に神饌菓が昇殿参列者に配られます。

見目麗しき女神の酒宴に
佐太神社から戻られる神々。
なんとも人間くさい和やかな神事でした。

賣豆紀神社の神在際は新暦斎行。
最後の神送りになることが多いのですが
今年は旧暦の神送りの神社が
1日遅く送られました。
熊野大社、出雲大社、万九千神社です。
それで全ての神在祭が終わりました。

出雲に冬が来るなあと
冷えた体で実感する神等去出祭でした。

本日は賣豆紀神社の
神等去出祭の様子をご紹介しました。
お付き合いくださって
ありがとうございます。
またの更新をお楽しみに。
ご自愛くださいますように。

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