めのうさとえすこな散歩

神社な日常 知って得する神社のあれこれ ~ 令和3年 多賀神社 神在祭 編 ~

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みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
読みものを更新しました。
しばしお付き合いください。

 

出雲地方には神在祭を斎行される神社が
現在10社あります。
そして以前は斎行されていたのですが

現在はされていない神社があります。
「神原神社」や「真名井神社」がそうです。
逆に熊野大社のように復活した神社もあり
何らかの理由で廃れたり復活したりと
神社により様々なようです。

また、八百万の神々が集まる神社もあれば
祭祀だけを営む神社もあります。
日御碕神社がそれで、境内やどちらかに
八百万の神々が参集されるわけでは
ないのだとお聞きしました。
※今年の神在期間の日御碕神社。

特別なのは拝殿内の龍蛇神さんの祠の
扉が開けらていたことでしょうか?
過去にも神在の期間は開扉されていました。

また、神魂神社や六所神社の様に
秘事として宮司お一人で
ひっそりと神事を行う神社もあります。

さらに八百万の神々がAの神社から
Bの神社に移られると
伝承される神社もあり、
この伝承は出雲大社と佐太神社を中心に
耳にします。

 

さてさて。
本日は八百万の神々が佐太神社を後にし
お集まりになると伝わる神社、
多賀神社の
神在祭をご紹介します。

佐太神社を後にした八百万の神々が
多賀神社に来訪され、1日留まると
こちらには伝わっています。

本殿の造りで特筆すべきところがこちら。

切妻の垂木の部分に神面が施されています。
前後3面ずつあり、全部で6面。
本殿に祀られる神々6柱と

いわれているそうですが、どの面が
どの神様かまでは伝わってないのだとか。

また独特なのは、スサノヲの命によって
サルタヒコが船を出し、エビスさんが
釣りをするのを、八百万の神々が
見て楽しむという神在祭の伝承。
その見物の場所が「魚見塚」と呼ばれる

境内から北東に100m余りの場所に
あるこちらです。

実はこちらは古墳です。
前方後円墳だそうですね。
少し小型のものが北側にもう一基あり、
男塚、女塚と呼ぶそうです。

多賀神社は八百万の神々を迎えるに当たり
この魚見塚の男塚を浄める神事を斎行され、
神様のいらっしゃる期間は
邪魔をしない様に
境内に縄を張り
誰も入れないようにします。
神々は境内の空間で会議をされると
宮司さんに伺いました。

朝酌公民館の方のお陰さまで
宮司さんと連絡が取れ、参列の許可を
頂きました。ありがたいです(T_T)

11月25日木曜日。夕刻。

17時過ぎに祭祀をされると伺い、
20分前くらいに多賀神社に伺いました。
すでに境内に入れないよう
縄が張られていました。

社殿背後。

正参道。

拝殿には明かりが灯っています。
後で伺いましたらこの日の前日、
24日の
17時頃に縄を張られるのだとか。

17時を少し回った頃、
宮司さんがいらっしゃいました。
ご挨拶を済ませ、後に着いていきます。
宮司さんはお祓いの大麻(おおぬさ)と
御幣を一本、そして玉串をお持ちです。

魚見塚の手前の敷地は私有地だそうで
むやみに入っては行けないのですが
参列者として特別に入らせてもらいました。

手前が前方部の「方墳」、
向こう側が後方部の「円墳」の様です。

宮司さんの先に以前の御幣が見えます。

古い御幣を抜き、
新しいものに替えられました。

一拝の後、大祓詞(おおはらいことば)を
奏上されます。お祓いの祝詞なのですが
祭祀の場合は短く省略されたりします。
ここではフルバージョンで奏上されました。
耳にするのは久しぶりです。
大祓詞の奏上の後、大麻で祓い清めます。

そして玉串拝礼。

体制が苦しく見えるのは、斜面が急で
直立するのが困難なくらいの
角度の場所で行っているからです。

最後に一拝。
私はバランスを保てず、グラつき
写真がブレてしましました。

祭祀は以上です。
八百万の神々が釣りを見学するこの場所を
祓い清める神事を終えれば、
神々は三々五々、自然とお集まりに
なられる様です。

この後私は佐太神社の神等去出祭に
参列のため、多賀神社を後にしました。
翌日の朝6時半頃から
神送りをされるそうです。

11月26日金曜日。早朝。

日の出はまだ先の未明、6時過ぎ。
先日、佐太神社を後にした神々が
縄の向こうにいらっしゃいます。

6時半。宮司さんがいらっしゃいました。
一礼して縄の向こうに入っていきます。

拝殿に昇殿され、祝詞の奏上です。
そして大麻を持ち、結界である
張ってある縄を祓います。
まずは正面。

そしてこちらも。

正面の縄を解き、背後の縄も解かれます。

結界は解かれ、神々はお立ちになりました。

最後に拝殿の明かりが落とされました。

多賀神社の神在祭が終わりました。
宮司さんは「一人で寂しいお祭り」と
おっしゃいましたが、本来はこういった
しめやかな神事こそが八百万の神々を
敬い、禁忌を設け謹んで過ごす、
「お忌みさん」の由来では無いのかなと
思えました。
25日はこの辺りの方は外出は控えているそうです。

明かりが消える場面の写真を撮っていると
背後で二拍手の音がしました。
振り返るとシジミ漁に宍道湖に出る前の
漁師さんでした。

神在の25日は、漁には出ないとか。
今日がお忌み明けと
ご存知の
参拝だったのでしょう。

多賀神社の立地は5本の川が
一つにまとまり、中海に注ぐところ。

境内には船の神様、こんぴらさんや
「船玉社」にサルタヒコが祀られています。
宍道湖や中海の漁師さんの崇敬を集めた
そんな神社なのでしょう。
一の鳥居が川に面している事も
漁師さん達の船での参拝の
名残かもしれません。

エビスさんの釣りを見て楽しむ、
そんな由来の背景には、漁師さんの
存在があったんだろうなぁ・・・
曙の境内で感慨に浸る私でした。

そうそう。
親狛犬のお腹に隠れるように居る子狛犬。
神様をむやみに見ようとしちゃいけないと
諭され、隠れているようでした(笑)

 

本日もお付き合いくださって
ありがとうございます。
またの更新をお楽しみに。
ご自愛くださいますように。

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