めのうさとえすこな散歩

神社な日常 知って得する神社のあれこれ ~ 神社の御砂(おすな) 編 ~

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みなさまこんにちは。
いつもお読みくださり
ありがとうございます。

読み物を更新しました。
しばしお付き合いください。

 

出雲大社の境内社、素鵞社の神事
「福杓子祭」をご紹介した時に
書かせて頂いたのですが
祭祀が始まる前に神官から
素鵞社の社殿下の「御砂」の話がありました。
出雲大社社務所に「御砂」の問い合わせが
最近増えているのだそうです。
さらに神官から余談として、「御砂」は

この界隈に伝わる民間風習だと前置きされ、
交換のために採ってくる砂は、
本来 稲佐の浜の海に入り、海底の砂を採り
乾かして素鵞社に持ってくる、といったお話や
新築の時に、敷地の東西南北と中央に撒いたり
地鎮のために家の敷地に撒いたり
畑に撒き五穀豊穣を願った、などの
説明がありました。

この素鵞社の御砂がテレビやSNSで
フィーチャーされていますが、実は
アチラコチラの神社には砂にまつわる
御守や授与されているものがあります。
今回はそんなお話を。

まずは素鵞社の御砂のおさらいを。
第82代出雲国造の千家尊統氏の著書、
「出雲大社」には「素鵞社の床下に
参籠する教信徒」と銘打ち
老婆の写真が載っています
そこには「信徒は稲佐の浜の霊砂持ち帰り
この社に参籠して日限をきって祈念し、
霊感をいただく。」とあります。

※千家尊統著 出雲大社[第三版]学生社 P165より転載。

この本の初版は1968年ですので
稲佐の浜の弁天島が海に浮かぶ
「島」の状態の時代です。
海岸線は現在の道路辺りと伺いました。
ですので、砂を採るには海に入らなければ
ならなかったのでしょう。
また、境内の床下には現在の様に砂箱はなく
一面に敷かれた砂とその砂を両手で掬った様な
手の跡の様なものがみえます。

また、海藻が社殿に掛けられています。
これは島根半島の海岸線沿いの神社の風習で
参拝前に海岸で「ホンダワラ」と呼ばれる
海藻を摘み、海水に浸し身に振りかけ
実を清め参拝し、その海藻は神前に
神饌(しんせん→神様へのお供物)として
置いてきます。禊の風習ですね。
海藻は「モバ」とも呼ばれます。
今でもその海藻を掛ける柵や籠を置いている
神社もあります。

※伊奈頭美神社 松江市美保関町北浦304


爾佐神社 松江市美保関町千酌1061 

注目したいのは
「この社に参籠して日限をきって祈念し・・」
と書かれている箇所。
「参籠」は文字通り「こもる」事ですが
先の写真の説明に

「素鵞社の床下に参籠する教信徒」と
ありますので、

社殿に昇殿して籠もったのでは無く
床下にずっといて祈念したのではと思います。

どのくらい籠もったかは定かではありません。
また、「日限をきって祈念し」ともあり
砂をしばらく置いたようです。
私は以前「一年」と聞いた事がありました。
家を建てる、もしかしたら不慮な事が起こり
土地を鎮める、また作物の豊穣を願うなど
特別な時の風習だったのでしょうか?

最近では境外社の阿須伎神社や
万九千神社で御砂を授与されているのを
目にした事があります。

出雲地方で御砂を「御守」として
授与されている神社では

日御碕神社が頭に浮かびます。

その昔、交通事故で回復の見込みが望めない程の
重症を負った方に、地鎮祭に使用される
「神砂」を塗ったところ完治した。
日御碕神社にはそんな話が伝わっています。
授与数が限られているようで
無い時もありました。
以前は「砂の御守をお願いします」と
こちらから言わないと戴けなかったのですが
最近は並んでいたと思います。
袋の色は何色か用意されています。

奈良の大神神社では5つに分けて
紙で包まれて授与されていました。
その当時はなぜ5つか解らなかったのですが
東西南北中央の五箇所に
それぞれ撒く為だったんですね。
無知な私は一包ずつ知人に

あげてしまいました。
残念ですが写真を残してません(TへT;)
大神神社のHP「参拝・ご祈祷」のページに
「清めの砂の撒き方」
と説明が用意されています。
土地の清め方やマンションの清め方
そして車の清め方など図解入りで
説明されていますね。
撒いても「盛り砂」として盛っても
良い様です。

 

福岡県糸島市にある櫻井神社では
境外地の鳥居がある二見ヶ浦の浜の海砂を
授与されていました。

櫻井神社 福岡県糸島市志摩桜井4227 2017年8月撮影。


※初穂料は2017年当時。

櫻井二見ヶ浦とも呼ばれ、
伊勢の二見ヶ浦と区別されます。
伊勢の二見ヶ浦は夏至の日に
夫婦岩の間から朝日が昇りますが
桜井二見ヶ浦は夏至の日、+
夫婦岩の間に陽が沈みます。
櫻井神社では「宇良宮(うらみや)」と
呼んでいる様です。
特別な場所なんですね。

「嵐神社」なんて呼ばれ、嵐ファンの聖地の
一つになっている神社です。
こちらの御砂は
「外から入ってくる様々な災いを
御砂として信仰を集めており、玄関などに
魔除けの盛り砂としておまつり頂いたり
庭や玄関先にお祓いとしてお撒き下さい。」
と案内に書かれています。
盛り砂に使えるようにか結構な量です。

また、櫻井神社のある糸島市の
他の神社を参拝した時、幾つかの神社に
写真のようなものがありました。
「お潮井台」と呼ばれるようです。


※志登神社 福岡県糸島市志登82 2017年8月撮影。


※高祖神社 福岡県糸島市高祖1587 2017年8月撮影。
よく見ると台座は箱状になっていて、
砂が入れられています。


※東正八幡宮 福岡県糸島市東1105 2017年8月撮影。
こちらはこんもり(゜0゜)
境内社の神前にも砂が!

こちらの境内社には砂箱があります。

参拝者は海から砂を持ち寄り
ご神威を砂に遷し持ち帰ります。
撒いて場を清めたりたり
盛って
魔除けとしたりと
同じ様な御砂の使い方をされる様です。
「お潮井取り(お潮井汲み)」と呼ばれる
禊の風習の様ですね。

また、鳥取県西伯郡の唐王神社の砂は
古事記の逸話が由来となっており
特殊なのかもしれません。

唐王神社 鳥取県西伯郡大山町唐王725 2021年7月撮影。

その古事記の逸話はこちらを。
古事記と出雲㊿ 大国主命⑮ ~ スセリヒメ終焉の地 唐王神社 前編 ~

毒虫(マムシ)除けの砂です。
畑に撒いて作物が虫害に遭わないように
祈念する砂です。
またマムシは今でこそ血清がありますが
昔は大変恐ろしい蛇の代表だったと感じます。

悪い虫が付かないように!なんて
年頃のお嬢さんに持たせるといった話も
耳にしますね(*^v^*)

もしかしたら皆さんのお住いの所の神社は
違った意味合いの御砂を
授与しているかもしれませんね!

あ!そうそう!!
素鵞社の御砂ですが、
稲佐の浜から採ってきた砂と交換ですよ!
交換砂を用意せず、こちらから頂くだけでは
砂が無くなっちゃいますからね d(^^;)

「御砂はお納めになりました箱内で
同量をお受け下さい。」とあります。

本日は神社の「御砂」のお話でした。

 

本日もお付き合いくださって
ありがとうございます。
またの更新をお楽しみに。
ご自愛くださいますように。

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