石の音、ときどき日常

新コスメにまつわる神話や風土の話 その4   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編①~

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出雲発 祈りをテーマとした
温泉水×和漢コスメ誕生。

この冬、めのやから新しく誕生する
コスメブランドについて、
今回は古事記、出雲國風土記を通し
出雲國が古代より医療・医術の國だった事を
ご紹介していきたいと思います。

今回は八十神たちの策略によって
命を落とすオオクニヌシ。
その神蹟と蘇りに尽力された
神様たちのお話です。

 

その4 古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編

前回は出雲から稲羽に出かける
きっかけになったヤガミヒメに
まつわる神社をご紹介しました。

めでたくヤガミヒメから
選ばれたオオクニヌシ。
しかしその後、
彼を待ち受けていたのは
八十神達の嫉妬なのでした。

その後の話はまたまた出雲の國が
医療先進国であった事を
証明する内容なのです。
今回はそんな稲羽の素兎の
続きのお話を。

オオクニヌシの蘇生  ~日本最古の医学書と伝承薬~

兎神のご神託の通り、
ヤガミヒメは八十神を選ばず、
オオクニヌシを夫に選びます。
その事でオオクニヌシは
八十神たちの
妬みを買い
殺されてしまいます。
そう、オオクニヌシは死んでしまうのです。

八十神に、手間山に住む赤い猪を捕まえろ!
でないと殺すと言われたオオクニヌシ。
捕まえようと山の麓で待ち構えます。


縁の神社、赤猪岩神社境内より望む手間山。

猪の正体は、火に焼かれ
真っ赤に燃えた大岩でした。


手間山登山道 清水川ルート途中にある巨石。
オオクニヌシ受難の鎮魂か、注連縄が掲げられている。

猪と偽り山の上から
真っ赤に燃やした大岩を転がす八十神たち。

猪を捕まえようと大岩を抱き止めた
オオクニヌシは大岩に焦げ付き
焼け死んでしまいます。

息子の亡骸を見つけた母神は
天上の神様に救けを請います。
遣わされたのは赤貝の女神キサガイヒメと
蛤(ハマグリ)の女神ウムガイヒメ。

この女神達は赤貝の貝殻の粉を蛤の汁で
練った薬を肌に塗って治療しました。
女神たちの処置でオオクニヌシは蘇ります。


治療に使われたと伝承のある湧き水、
清水井(於婆御前の井)。
100日の干ばつにも枯れる事がなく
「神の水」と尊ばれている。


清水井近くにある清水川社。
赤貝とハマグリの女神二柱が合祀されている。

実は赤貝とハマグリで処方される
この火傷の薬、
大同3年(808年)に成立した
日本最古の医学書「大同類聚方」
記載があるようです。

その医学書には簡潔に言うと
「出雲国の国造の家に伝わる処方なり」
と記述があるようです。

その名称は「神戸薬」。
この「大同類聚方」は各地の豪族、
神社等に
古代から伝わる医薬や
処方が収録された
全100巻にも及ぶ医学書です。

この本の現代語訳を果たした
古典医学研究科の槇佐知子氏によると
使われている文字を故意に難解にしたり
不要の文字が中に入っていたり、
はたまた方言が使われたりと、

訳すのに大変苦労されたのだとか。
多分、他には知られたくない為、
流出しても解らない様な暗号を
この方は訳されたのだと思います。

オオクニヌシやスクナヒコナと
神代の時代の登場人物(登場神物?)も
この医学書には書かれているそうで、
聞いただけで、神様たちの活躍を
想像せずにはいられません。

さてその赤貝と
ハマグリから作られた火傷薬。
貝殻や貝の身に含まれる成分の
タウリン、キチン、そして
カルシウムの作用が火傷治療に有効と
理に適っているのだとか。

遣わされた二柱の女神が
赤貝とハマグリなのは
そんな背景があっての事のようです。

また鳥取にも「八上薬」という伝承薬があり
赤貝の殻を潰し、蛤の身を使って
軟膏の様にしたものだそうで
これも火傷の薬のようです。
出雲と稲羽の関わりを
想像せずにはいられません。

看護師の祖と言われる件の
赤貝とハマグリの女神。
出雲大社では玉垣内の摂社、
本殿に並んで右端の
「天前社(あまさきのやしろ)」に
鎮座されています。
医療関係者、
特に看護師の方々の参拝が
多いと伺います。


玉垣の中に入っての参拝は
特別なタイミングでなければ出来ませんので
玉垣の外の案内板の前から、
垣根越しに参拝するのが一般的な様です。

そして今回さらにご紹介する
縁の神社はこちら。
赤猪岩神社(あかいいわじんじゃ)。
鳥取県西伯郡南部町寺内232

境内にはオオクニヌシの命を奪った
赤く焼かれた岩が石の玉垣の中、
地中深くに封印されています。

オオクニヌシが蘇った事から
再生や再挑戦を
心に思う方の参拝が多いとか。

鳥取のサッカーチーム「ガイナーレ鳥取」の
選手の方々の
参拝風景が
こちらのニュースに流れることもしばしば。

境内の端に古道の標識があります。

清水井を目指し進みます。
車で遠回りした方が早いのですが、
途中お目当ての場所があるからです。


古道。日常的に人が通るわけでは無いようで
蜘蛛の巣がかなりありました。


途中、猪避けの柵も。
開けたら閉じて通ります。
猪が多いのかもですね。

それで赤い猪の発想になったのでしょうか?

やがて「手間山登山道」の看板があります。
左に入り、登山道を進むと・・・

ストーリー説明にも貼りました
巨石が道を塞いでいます。

オオクニヌシの死の原因になった大岩は
神社脇に封印されていますので
モニュメント的な、もしくは鎮魂の為の
注連縄が張られているのでしょうか?
以前はオオクニヌシが抱き止めた大岩と
説明がありましたが、
今は無くなっていました。

別角度から。

やがて古道を抜ける舗装された道に出ます。
そこから民家の通り道へ出ると
案内板がありました。

矢印の方へ進むと・・・

清水井またの名を
於婆御前(ウバゴゼン)の井

民家の脇に
寄り添うような場所から水が湧いています。
オオクニヌシの蘇生治療に使われた水と
伝承されています。

次にご紹介するのが神魂伊能知奴志神社。
(かみむすびいのちぬしのかみやしろ)
出雲大社の境外摂社で通称は
「命主社」(いのちぬしのやしろ)
と呼ばれています。
島根県出雲市大社町杵築東185

ご祭神はカミムスヒノカミ。
文中オオクニヌシの母神が
八十神から殺されたオオクニヌシの
救けを求めた天上の神様。

赤貝、ハマグリの女神を遣わした神様です。

命主社といえば椋の木。
その樹齢から千年椋と呼ばれています。

人気の神社で、平日でも
参拝者が多くなりましたね。

出雲大社の四の鳥居前から
向かって右、東の方へ
200m程先にある神社です。

是非出雲大社参拝の折は
足を運んでみてください。

 

◆新ブランドについて◆

 

出雲の人は雨が降れば土地を清め、
風が吹けば厄を吹き払うといって
目には見えない存在を身近に感じ
大切にしています。

遠い昔から人々の生活と共にあった
出雲の薬草。
遠い昔からやさしく、
柔らかく湧き続けている玉造の温泉。

この土地の人たちは自然に感謝し、
生があることへの感謝を静かに宣って
繋いできました。

一日の終わりに、
自分の中のささやかな儀式のように、
明日に祈るように。

「リセット、癒し、整える」ことで
健やかに明日を迎えるためのプロダクトです

 

◆おなじ風土のもとに織りなす文化が共鳴し循環することを目指して◆

化粧品は温泉水と自然由来の成分から製造。
出雲地方で生まれた文化が造り手と共に共鳴し
循環していくことを目指しています。

主成分は島根県産の真菰(まこも)、
やまもも、塩、そして日本古来の御守り
「勾玉」を継承している
めのや本店から湧き出ている玉造温泉水。

真菰はしめ縄や神事にも使われ、
「神が宿る草」と呼ばれており、
やまももはイザナミイザナギの
黄泉の国のくだりに登場。
神の名前を持つ果物と呼ばれていました。

いずれも出雲風土記に登場する薬草です。
古代出雲は医薬の国とも
いわれていたことからも、
古来より出雲の人にとって
薬草は身近な存在でした。

日本古来より伝わる薬草と
洗い浄めるという文化。
気持ちをリセットし、
心身を癒しながら
みずみずしい肌へと導きます。

この冬の発売を
どうぞ楽しみにお待ちください。

 

新コスメにまつわる神話や風土の過去のブログは下記から

新コスメにまつわる神話や風土の話 その1  ~ 玉造温泉 ~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その2  ~古代出雲は医薬の国だった 稲羽の素兎編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その3  ~古代出雲は医薬の国だった ヤガミヒメ編~

 

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