石の音、ときどき日常

新コスメにまつわる神話や風土の話 その7 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編②~

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出雲発 祈りをテーマとした
温泉水×和漢コスメ誕生。

この冬、めのやから新しく誕生する
コスメブランドについて、
今回は古事記、出雲國風土記を通し
出雲國が古代より医療・医術の國だった事を
ご紹介していきたいと思います。

今回はスクナヒコナが残した
この地方に残る足跡を追ってみましょう。

その7 ~スクナヒコナ編②~

ちっちゃな神様の降臨

さてさて
件のスクナヒコナ。
前回のブログで
御親神の手からこぼれ落ちた、と
ご紹介しました。
そしてオオクニヌシと美保の岬で
出会います。具体的ですね。
(原文「御大(みほ)の御前(みさき)」)

御親神の手から直接
美保に落ちたのでしょうか?
どうやらそうでは無いようです。

降臨の地 その1

スクナヒコナ降臨の伝承地の一つ
手間天神社。 松江市竹矢町805

大橋川に浮かぶこの島は
伝承ではスクナヒコナが降臨の際、
水面が盛り上がって出来たと
伝わっています。
この島にある神社名は故事に則り
「手の間」の文字が入ってます。

国道9号線やJR車内から
島に鳥居が建っているのがの見えます。
気になっていた方もいらっしゃるのでは
ないでしょうか?

渡ってみないと解りづらいのですが
島の頂には神社があります。
数年前、例祭に参列の機会があましたので
その時の写真です。

鳥居の後ろの石段。

皆さん舟に乗って上陸しました。

もちろんご祭神はスクナヒコナです。

この場所から美保までは
大橋川から中海に入りさらに進むと
美保関にたどり着くことができます。
そこには美保神社の境外社、
天神社があります。

天神社 松江市美保関町美保関821

オオクニヌシとスクナヒコナの
出会った場所では無いようなのですが
仮にここをその場所として道のりを
見てみましょう。
中海を通りたどり着けるようです。

この伝承に基づくと
スクナヒコナは外海からでは無く
中海を通って美保関に来たようです。

手間天神社、天神社共に「神社」の読みは
一般的には「しんしゃ」。
「てまてんしんしゃ」と
「てんしんしゃ」と読みます。

この名前の神社には菅原道真が合わせて
祀られていることがあり、これは
「てんじんじゃ」と読んでしまったことから
「天神さん」→「天満宮」と転じて
しまったのかと考えます。

美保神社の摂社末社には
前回のブログに登場した
ヒキガエル(名前はタニグク)や
スクナヒコナの名前を知っていた
カカシのクエビコも祀られている
お社があります。

糺社(ただすしゃ)。
カカシのクエビコが祀られています。

久具谷社(くぐたにしゃ)。ヒキガエルの
タニグクが祀られています。

タニグクが祀られているのにクグタニなのは
この場所には3つの谷があり、
谷に囲まれているからの様です。

前回、古事記の説明のところで
省きましたが、何故カカシが
だれも知らなかったスクナヒコナの
名前を知っていたのでしょうか?

一説にはスクナヒコナは農耕神の
性格を持つ神様であり、
農耕に深く関わるカカシだから
知っていたのでは無いかという説が
あるようです。なるほど。

古事記にも度々登場する美保。
また美保神社の祭祀にも
古事記由来のお祭りがあったりと、
この地域の方々が年間を通して
神社に関わるという
今尚、神代の故事由来の神事を
大切に引き継いでいる土地です。

美保神社は来年まで境外にある
摂社の遷宮をされていますので
建物が新しくなっています。
美保神社参拝の折は
ぜひ合わせて行かれては如何でしょうか

詳しい場所は下記からどうぞ。
美保神社ホームページ

降臨の地 その2

スクナヒコナ降臨の伝承地は
もう一箇所
出雲市にあります。こちら。
常世神社(とこよじんじゃ)
出雲市常松町113

板に囲われている本殿。

「常世」はスクナヒコナに纏わるキーワード。
この神様は常世の国
(海の向こうの永遠の国)へ
去ってしまわれるからです。

元来、この土地の名前が「常世の郷」。
スクナヒコナの降臨の場所の伝承がありますが
もしかしたら、常世の国へ
旅立った場所かもしれません。

この神社のある地区名は「高濱」。
天の国の名称「高天原(たかあまはら、
たかまのはら)」の音に近いからか
知恵の神様オモイカネという天の国の神様を
出雲では唯一祀る神社もあり
周りとは一線を画す由来があるようです。

地図で見ると、美保までは距離がありますが
当時は出雲平野の半分は内海で
入海と呼ばれていました。
斐伊川の流れも現在とは違い
江戸時代中頃までは
東に曲がり
出雲大社の南に広がる内海、
神門水海
につながっていました。

途中、陸路が予想されますが
なんとか
行けないわけでも
なさそうです(^^;)

(8世紀頃の様子→GoogleMAPに加筆)

出会ったあと、二柱はスクナヒコナの
親神の指示で兄弟となって
国作りを始めます。

温泉開湯の神様でもある二柱は
全国各地の温泉近くの神社に
祀られていたりしますね。

伝承が色濃く残っている場所に
道後温泉があります。

また二神の逸話に纏わるご神石が
建物の脇にあります。「玉の石」。

太陽光が射してしまい、解りづらいですが
黒い斑点がスクナヒコナの足跡と
伝承のある石です。
お湯を掛けて「病気平癒」等の願い事を
唱えるといいそうです。

温泉の道路向かいの丘は今では
「冠山」の地名となっていますが、
以前は「出雲崗(いずものおか)」と
呼ばれていました。
出雲の勢力が及んでいたことが伺えます。

現在その丘の上は駐車場になっています。
そして脇にある神社がこちら。

湯神社。松山市道後湯之町4−4−10
オオクニヌシとスクナヒコナ、そして
スサノヲとそのお后が祀られています。

さて今回はスクナヒコナの降臨の
足跡を追ってみました。

次回は国造り半ばで
海の向こうの永遠の国へ
去っていってしまったスクナヒコナ。
その足跡を追ってみたいと思います。

 

新ブランドについて◆

出雲の人は雨が降れば土地を清め、
風が吹けば厄を吹き払うといって
目には見えない存在を身近に感じ
大切にしています。

遠い昔から人々の生活と共にあった
出雲の薬草。
遠い昔からやさしく、
柔らかく湧き続けている玉造の温泉。

この土地の人たちは自然に感謝し、
生があることへの感謝を静かに宣って
繋いできました。

一日の終わりに、
自分の中のささやかな儀式のように、
明日に祈るように。

「リセット、癒し、整える」ことで
健やかに明日を迎えるためのプロダクトです。

 

◆おなじ風土のもとに織りなす文化が共鳴し循環することを目指して◆

化粧品は温泉水と自然由来の成分から製造。
出雲地方で生まれた文化が造り手と共に共鳴し
循環していくことを目指しています。

主成分は島根県産の真菰(まこも)、
やまもも、塩、そして日本古来の御守り
「勾玉」を継承している
めのや本店から湧き出ている玉造温泉水。

真菰はしめ縄や神事にも使われ、
「神が宿る草」と呼ばれており、
やまももはイザナミイザナギの
黄泉の国のくだりに登場。
神の名前を持つ果物と呼ばれていました。

いずれも出雲風土記に登場する薬草です。
古代出雲は医薬の国とも
いわれていたことからも、
古来より出雲の人にとって
薬草は身近な存在でした。

日本古来より伝わる薬草と
洗い浄めるという文化。
気持ちをリセットし、
心身を癒しながら
みずみずしい肌へと導きます。

この冬の発売を
どうぞ楽しみにお待ちください。

 

 

新コスメにまつわる神話や風土の過去のブログは下記から

新コスメにまつわる神話や風土の話 その1  ~ 玉造温泉 ~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その2  ~古代出雲は医薬の国だった 稲羽の素兎編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その3  ~古代出雲は医薬の国だった ヤガミヒメ編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その4   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編①~

新コスメにまつわる神話や風土の話その5   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編②~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その6 ~伝説の医者がモデル?スクナヒコナ編~

 

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