めのうさとえすこな散歩

古事記と出雲⑩ ~天の岩戸隠れ スサノヲの追放~

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みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
ブログを更新しました。
しばしお付き合いください。

前回はアマテラスとスサノヲの
誓約(うけい)から五男三女神が
生まれたお話でした。

本日はその続きです。
では古事記のストーリーを。

一方的に勝ちを宣言したスサノヲ。
直ぐに母の国へ向かうかと思いきや
アマテラスの国に留まり
傍若無人な振る舞いをします。

アマテラスの作る稲田を
メチャクチャにしたり、

新穀を食する神聖な御殿に
大便をしたり・・・(×_×)

その都度アマテラスは
苦しい言い訳で弟スサノヲをかばいます。
ですが、スサノヲの狼藉は止まりません。
止まるどころかますます酷くなります。

神様に献上する衣を織る建物の
屋根に穴を開けて、そこからなんと
皮を逆剥ぎに剥いだ馬を投げ入れます!

それに驚いた機織女は機織りの際に使う
道具が体に刺さり命を落としてしまいます。

さしものアマテラスも今度ばかりは
かばうことが出来なかったのでしょう、
その場を目にしたアマテラスは
恐れて岩屋に隠れてしまいます。
原文には「天岩屋戸」とありますので
岩が屋根となり戸となる様な場所です。

太陽神といわれるアマテラスが
隠れてしまったわけですので
天の国も地上の国も全て真っ暗になり
毎日毎日暗闇が続きました。

そればかりか災いという災いが
世界を包みます。

そこで神様たちは天の安河原に集まり
知恵の神様の指示を待ちます。
古事記には集まった神様は八百万と
書かれています。
大勢の神々が集結したのですね。

知恵の神は様々な指示を出します。
これ、かなり大掛かりです。
そうですよね、この世から
光が失せてしまったわけですので。

海の向こうの永遠の国の長鳴鳥を鳴かせ、
また天の安川の川上から硬い石と鉄を採り
鉾、鏡、沢山の勾玉を作らせます。

榊にどんな祭具を施すか占いをさせ、
その結果、天香山(あめのかぐやま)の
榊の木を根こそぎ掘り起こします。

榊の木の上には紐で通した沢山の勾玉、

中程には鏡、

下には白い木綿の布と
青い麻の布を取り付け、
そして
祝詞を奏上しました。

そして岩屋の脇に力持ちの神様を控えさせ
芸能の女神といわれるアメノウズメは
桶を伏せたその上で
神がかりして踊りました。

「神がかり」とは神が乗り移った様な
トランス状態だったのでしょう。
その踊る姿は着ているものがはだけ
もう裸に近かったようです。
その場に集った神様たちは
それはもう大騒ぎです。

大騒ぎの外の様子を
不審に思ったアマテラスは
アメノウズメに「私が隠れて世界は
暗くひっそりしていると思ったが
これは一体どいうことか?」と問います。
アマテラスは自分が身を隠す事によって
この世が暗闇に覆われる事を
知っていたようです。

ウズメは「貴女より尊い神様が現れました。
それで、皆喜んで騒いでいるのです。」

と答えた後、二柱の神様が
アマテラスの前に鏡を差し出します。

すごいですね!!
鏡を差し出す二柱の神様は
このタイミングを待ち構えていたようです。
ここまで知恵の神様の
シナリオ通り進んでいるわけですね。

鏡に映ったのは自分の姿なのですが
光り輝く自分が映ったものですから
アマテラスはちょっと岩屋戸から
出てしまいます。

岩屋戸の脇には神様がいますよね?
そう力持ちの神様です。
力持ちの神様はアマテラスの腕を取り
岩屋戸から引き出します。

さらに鏡を差し出した神様の片方の
神様が岩屋戸に注連縄を張ります。
「これより内側には二度とお戻りに
ならないでください。」と言います。
注連縄は結界なんですね。

かくしてアマテラスは岩屋戸から
姿を表し、世界に光が戻りました。

いやあ、知恵の神はここまでのストーリーを
構築したってことなのです。
スゴいですねー(^^)

さてこの後この事件の張本人のスサノヲは?

ここでまた八百万の神様が集まります。
神様の世界は合議制なんですね。
沢山の罪を償う品物を納めさせ、
ヒゲを切られ、手足の爪を抜かれて
アマテラスの国、高天原を追放されます。

古事記には償う沢山の品物の事を
「千位置戸(ちくらのおきと」と
書かれてあります。
「くら」は品物を置く台の事で
それが1000個という意味になります。
実数では無いと思われますが
莫大な量の賠償品を出させた様です。

さらにスサノヲはヒゲを切られ、
手足の爪を剥がされます。

これは賠償品の数が少なかったのか、
もしくは穢れを祓うために
体に生えているものまでも
祓い捨てて清めたという考えが
出来るようです。
「禊」は「水そそぎ」と以前説明しましたが
「身を削ぐ」といった「身削ぎ」の
考え方もあるのかもしれません。

さてさて。
このアマテラスが隠れた天の岩屋戸。
伝承地があちこちにあるようです。
三重県、滋賀県、岡山県・・・

数ある中でも認知度が高いのはやはり
宮崎の天岩戸神社でしょうか?
宮崎県西臼杵郡高千穂町大字岩戸1073番地1
写真は拝殿です。

こちらの神社は本殿がありません。
ご神体は拝殿の川向うの岩屋戸です。
初穂料を納め、神職さんの案内の上

参拝させて頂く形式です。

川の向こうにアマテラスが隠れられた?
アメノウズメはどこで踊ったの?とか
ツッこまないほうが良さそうです。
私としては「岩屋戸」なので
天の国にあると読めますから
その場所に酷似した場所を
御神域として崇拝していると

考えたほうが納得できます。

そしてこの神社の近く
川沿いに歩いていくと・・・

岩戸神社脇を流れる川の上流に
八百万の神様が相談をした
天の安河原があります。

天岩戸神社境内に案内板があり
境外に一旦出て道脇にある
岩戸川からの
案内通りに
川沿いを進むと
辿り着きます。

奥のお社には
知恵の神オモイカネと
八百万の神が祀られています。

流石に島根には天岩屋戸は無いようですが
知恵の神を祀る神社を検索しましたら
見つかりました!
高濱神社 出雲市里方町1078

伊勢鳥居の特徴もある神明系の鳥居ですね。
改めて見ると出雲では違和感がありますね。


拝殿もそうでしたが
あちらこちらご修造の痕があります。

知恵の神様、オモイカネは
出雲地方には珍しい神様の様です。
オモイカネが祀られている神社は

出雲地方ではこちらだけだとか。

この神社は奈良時代の終わり頃の787年、
伊勢神宮から分霊されました。
主祭神はアマテラスと
トヨウケヒメです。
伊勢神宮の内宮・外宮の神様ですね。
他に12柱の神様が合祀され、
古事記の最初に出てくる神様や
天岩屋戸隠れで活躍する
神様の名前があります。

それにしても何故この場所に?
と不思議でしたが、
神社の略記には、
神社前には国庁
(司法・軍事・宗教の
中心となる役所)と
出雲大社を
結ぶ街道が通っており、

国庁を司る大和朝廷の象徴前を通る街道と
同じ街道沿いにあるという事は

何らかの意志があったのでは無いかと
解説しています。

私としてはこの地域の地名の
「高濱(たかはま)」が
アマテラスが治める天の国の名前

「高天原(たかあまはら、たかまのはら)」
に音が近く、勧請先に選ばれたのでは?
と妄想しております。

そしてヒゲや手足の爪を剥がされた
故事に由来する神社があります。
難読な神社ですが読めますでしょうか?
仰支斯里神社。
島根県仁多郡奥出雲町八代344

読みはなんと「かみきり神社」。
この読みに関しての宮司さんの考察が
参道に掲示されていました。

これですね、
なんか暗号を解くような説明なんです。
まず、元々は「髪切」神社。
この「髪」と「切」が古事記の時代の様に
一音を一文字で表したという事らしいのです。
いわゆる万葉仮名でしょうか。

そもそもその前に、
「髪」を間違って書いてしまい

「髟」と「友」に分けてしまったと。
ところが「髟」を「仰」と書いちゃった、
「友」を「支」と書いちゃった。
そして「切」を「期里」と書くのを
「斯里」と間違っちゃった・・・・

結果「仰支斯里」。
あて字もいいとこですが
読みは「かみきり」。

宮司さんの推察だそうですが
よくここに辿り着いたと思います。
脱帽です。

また、こちらの神社、調べてみると
スサノヲが自らの髪三筋と
クシナダヒメの御髪や
退治した
オロチの髪を納めた神社
といわれている
伝承があるのだそうです。

拝殿内には「髪切大明神」の
額もありました。

なるほど、スサノヲが降臨前にヒゲを
切られた故事とは別の由来だったようです。

こちらの神社は祀られている主祭神が
霧の神様でしたので「神霧神社」と
表記されていた時代もあったようです。
そこからスサノヲの故事に転じて行ったかと
想像しましたが、そうでも無いようです。

それにしても難読を越えて
知らないと読めない神社かなと感じました

 

お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。
またの機会に。
ご自愛くださいますように。

 

過去のブログは下記からどうぞ。

古事記と出雲① ~黄泉の国譚 比婆山その1~

古事記と出雲② ~黄泉の国譚 比婆山その2~

古事記と出雲③ ~黄泉の國譚 黄泉比良坂~

古事記と出雲④ ~黄泉の國譚 黄泉の穴~

古事記と出雲⑤ ~黄泉の國譚 出雲以外のイザナミ御陵 その1~

古事記と出雲⑥ ~黄泉の國譚 出雲以外のイザナミ御陵 その2~

古事記と出雲⑦ ~禊と三貴子の誕生 その1~

古事記と出雲⑧ ~禊と三貴子の誕生 その2~

古事記と出雲⑨ ~天岩戸隠れ アマテラスとスサノヲの誓約(うけい)~

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