ライター・夏生さえりが聞く「出雲に伝わる日本神話と、勾玉のお話」。ショートコラムでは、記事には書ききれなかった内容をご紹介します。
【前編】出雲大社は巨大神殿だった…? 縁結びと言われる理由とその歴史は
【後編】出雲は“トレンド発祥の地”?勾玉から紐解く出雲の歴史
話し手:笹生衛先生(國學院大学教授)
聞き手:夏生さえり(フリーライター)
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Q.日本神話を読んでいると、本当にたくさんの神様が出てきて面白かったです。でも、排泄物からも神様が生まれている様子をみていると「日本人にとって神様ってどういうものなんだろう?」と思えてきました。
「神様」と聞くと、「イエス・キリスト」のように人々に恵みを与えてくれるような存在を思い浮かべる人もいるかもしれません。ですが、古来より日本人の「神様」の捉え方は、決して恵みを与えてくれるだけの存在ではありません。
日本人は、神様を恵みを与えてくれる一方で災いをもたらすこともある「表裏一体の存在」と捉えています。わたしたちが神社で手を合わせたり、“お祭り”をしたりするのも、その証拠。「祀り、もてなしている間は恵みを与えてくれるが、ないがしろにすると災いをもたらす」。それが日本人の神様の捉え方です。
この考え方が生まれた理由には、日本の地形が大きく関わっているでしょう。日本列島は、自然の恵みも大きく、そして台風や地震などの自然災害も多い。海も山も、幸をくれる一方で大きな災害を起こしたりもする。はるか昔から、人々は自分たちを翻弄するすべての自然の「はたらき」に、神を見出していたのでしょう。水を恵んでくれるはたらき、海で魚が釣れるはたらき、風が吹き木々が揺れるはたらき、そのすべてに神の存在を感じていた。そう考えれば、排泄という「はたらき」から神が生まれるのも、不思議ではないですね。
フリーライター、CHOCOLATE.inc プランナー。大学卒業後、出版社に入社。WEB編集者として勤務し、2016年4月にライターとして独立。企画、取材、エッセイ、シナリオ、ショートストーリー等、主に女性向けコンテンツを多く手がける。著書に『今日は、自分を甘やかす』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『揺れる心の真ん中で』(幻冬舎)、他。
Twitter:https://twitter.com/N908Sa