石の音、ときどき日常

新コスメにまつわる神話や風土の話 その13  ~神様の隠れ籠もる山  神奈備山~

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出雲発 祈りをテーマとした
温泉水×和漢コスメ誕生。

この冬、めのやから新しく誕生する
コスメブランドについて、
今回は出雲地方にある
神様がいらっしゃる山と伝わる
神奈備山をご紹介したいと思います。

 

その13 ~出雲の神奈備山~

さてさて件の神奈備山。
「かんなびやま」と読みます。
「神奈備」とは神様が隠れ籠もる
といった解釈と、いつもお世話になっている
Wikipedhia様に書いてありました。

神奈備Wikipedia

出雲國風土記にはその神奈備山の記載が
4つあります。
風土記記載の順番に
意宇郡の茶臼山(松江市山代町)。
秋鹿郡の朝日山(松江市鹿島町古浦)。

楯縫郡の大船山(出雲市多久町)。
出雲郡の仏経山(出雲市斐川町神氷)。
※いずれもその候補(比定地)。

今回はその神奈備山から
大船山(おおぶねさん)をご紹介します。

私、未確認なのですが
この山には船が岩になったと伝わる
「岩船」があるそうです。
多分、その岩船が山の名前の由来かと。

この岩船は島根県の
古代文化センターの専門研究員の方々が
現地調査をされているようなので
詳しい言質がとれましたら
またご紹介させて頂きますね。

標高327mのこの山。
神様がいらっしゃるわけですが

どなた様でしょう?

いらっしゃる神様はオオクニヌシの孫神、
タキツヒコとおっしゃる男神です。

お名前の意味は
タキ=滝
ツ=の
ヒコ=男
滝の男神ですね。

その依代(よりしろ→
神様が宿られるもの)がこちら。

(2018年12月撮影)


(2020年6月撮影)

大船山の烏帽子岩と呼ばれている
磐座(いわくら)です。

風土記にはその大きさが
「高さ一丈(3m)周り一丈」とあり
加えて「参道の脇に小さき石神が
百あまりある。」とあります。

ゴロゴロと足元にある岩群。
最初はこれらが「小石神」かと
思っていました。

ですが、烏帽子岩から西に山を下った所にある
滝を目にした時、考えが変わりました。

先程の烏帽子岩から急峻な地形を下っていくと
あるのがこちら「ながなめらの滝」。

手水→参拝の順番を鑑みれば
こちらから登拝の方が自然では?
と思い、荒神谷博物館の
副館長平野芳英氏にこの事を質問した所
以前はそちらが正参道で
磐座に宿るタキツヒコの母神の神社からの
登拝の山道があったはずとの事でした。
やっぱり、行ってみるものですね。

長滑の滝には弥生時代から古墳時代にかけて
祭祀が行われていたようで
その時代の土器が出土しているそうです。

この滝の場所で
ご神体の磐座を仰ぎ見るように
祭祀を行った形跡です。
「滝」にまつわる神様に

雨乞いの願いをここで捧げたのでしょう。

滝から烏帽子岩の間にも
巨石がゴロゴロと連なっていますので
風土記に記載のある小石神は
先程の岩群では無く、
どうやらこちらの様です。

またこの烏帽子岩には欠かせない
エピソードを持つ研究家が
いらっしゃいました。
雲南市加茂町出身の
故加藤義成氏という方です。

この方は歴史学や民俗学、考古学、国文学など
各方面から出雲國風土記を研究された
出雲國風土記といえばこの方!と言っても
過言では無い風土記の大家。

この方が20年間の石神調査の末、
やっとこの烏帽子岩を見つけたのは1962年。
その時加藤氏は涙を流し、
烏帽子岩に抱きついたという
エピソードがあります。

私も始めて対面した時は
言葉に表せない感動がありました。
ご神体とは知りつつ、そっと岩肌に
手を置いてしまったのを覚えています。

島根半島の北側の山地には溜池が多く、
水に大変苦労した事が解ります。
大船山付近にある溜池を解りやすく
赤く色付してみました。

今では奥出雲に灌漑ダムがあり
水で苦労するといった事は
無いに等しくなったわけですが、
古代より昭和初期までは非常に
切実な問題だったようです。

最後に加藤義成氏が烏帽子岩と対面した時に
詠んだ和歌をご紹介します。

「岩肌の荒らきを抱きて泣きにけり
       求めつ老いて見得し石神」

加藤義成氏57歳の年でした。

 

本日は出雲國風土記掲載の
神奈備山、大船山と
そこに宿られるタキツヒコの
磐座をご紹介させて

いただきました。
本日もお付き合いくださって
ありがとうございます。
ではまたの機会に。

 

新ブランドについて◆

出雲の人は雨が降れば土地を清め、
風が吹けば厄を吹き払うといって
目には見えない存在を身近に感じ
大切にしています。

遠い昔から人々の生活と共にあった
出雲の薬草。
遠い昔からやさしく、
柔らかく湧き続けている玉造の温泉。

この土地の人たちは自然に感謝し、
生があることへの感謝を静かに宣って
繋いできました。

一日の終わりに、
自分の中のささやかな儀式のように、
明日に祈るように。

「リセット、癒し、整える」ことで
健やかに明日を迎えるためのプロダクトです。

 

◆おなじ風土のもとに織りなす文化が共鳴し循環することを目指して◆

化粧品は温泉水と自然由来の成分から製造。
出雲地方で生まれた文化が造り手と共に共鳴し
循環していくことを目指しています。

主成分は島根県産の真菰(まこも)、
やまもも、塩、そして日本古来の御守り
「勾玉」を継承している
めのや本店から湧き出ている玉造温泉水。

真菰はしめ縄や神事にも使われ、
「神が宿る草」と呼ばれており、
やまももはイザナミイザナギの
黄泉の国のくだりに登場。
神の名前を持つ果物と呼ばれていました。

いずれも出雲風土記に登場する薬草です。
古代出雲は医薬の国とも
いわれていたことからも、
古来より出雲の人にとって
薬草は身近な存在でした。

日本古来より伝わる薬草と
洗い浄めるという文化。
気持ちをリセットし、
心身を癒しながら
みずみずしい肌へと導きます。

この冬の発売を
どうぞ楽しみにお待ちください。

 

 

新コスメにまつわる神話や風土の過去のブログは下記から

新コスメにまつわる神話や風土の話 その1  ~ 玉造温泉 ~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その2  ~古代出雲は医薬の国だった 稲羽の素兎編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その3  ~古代出雲は医薬の国だった ヤガミヒメ編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その4   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編①~

新コスメにまつわる神話や風土の話その5   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編②~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その6 ~伝説の医者がモデル?スクナヒコナ編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その7 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編②~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その8 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編③~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その9 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編④~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その10 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編⑤~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その11 ~出雲國風土記~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その12 ~出雲地方に見る荒神信仰(藁蛇)~

 

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