みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
ブログを更新しました。
しばしお付き合いください。
前回はスサノヲの
生まれた伝承地をご紹介しました。
さて今回はイザナキ♂から三貴子それぞれに
統治する国や場所を命ぜられたその後です。
今回は古事記のストーリー説明が
ちょっと長いですが、ご了承ください。
イザナキ♂が最後に生んだ
貴い三柱の神たち三貴子。
アマテラス、ツクヨミ、スサノヲ。
イザナキ♂はこの三貴子に
統治する場所をそれぞれ言い渡します。
アマテラスは天上の神様の国
「高天原」を。
ですが、スサノヲはヒゲが胸まで
伸びる時が過ぎても
海原を治めることをせず泣き続けました。
そのせいで悪神がはびこり、
あらゆる災難という災難が起こります。
イザナキ♂は母イザナミ♀に会いたいと
泣き続けていました。
その理由を知ったイザナキ♂は激昂し、
この国には住んではいけないと
追放してしまいます。
そして、古事記では
イザナキ♂は近江の多賀にいらっしゃる
と説明が入ります。
これ以降イザナキ♂の登場はありません。
最後のシーンというか、
もしかしたら最期のシーンかもしれません。
割とあっさりな印象です。
かのスサノヲというと、
割り切ったのでしょうか?
それではアマテラスに挨拶してから
根の国へ行こう!と宣言し
アマテラスの治める高天原に向かいます。
かたや高天原。
荒ぶる神スサノヲがやってくるその影響で
山も川も鳴り響き、
大地は地震の様に揺れ動きました。
その知らせを聞いたアマテラスは
スサノヲが善良な心で来るわけがない、
私の治める国を奪うつもりだ・・・と
スサノヲを迎え撃とうとします。
そこでアマテラスの取った行動は、
まず男装でした。
女性の髪型から男性の髪型に変えます。
髪を2つに分け角髪(みづら)に束ねます。
イラストのこれですね。
そしてさらに左右の角髪(みづら)、
頭、両腕と、紐に通した沢山の勾玉を
身に巻きつけます。
「八尺の勾玉の五百津の御統の珠」と
古事記には書かれてます。
勾玉が古事記で初めて登場する場面です。
(原文:八尺勾璁之五百津之美須麻流之珠)
①八尺(やさか)一般的には「大きな」と
訳されています。ですが、髪や腕に着けるのに
大きいものはどうでしょう?、
単に枕詞かもしれないですね。
②五百津(いほつ)。量の表現と考え
沢山のと訳されています。
③御統(みすまる)「すまる」は「すばる」
という言葉から来ていて
まとまる事を意味します。
まとまった沢山の勾玉という事は
紐に通した勾玉を巻きつけたと
読めるようですね。
そして男装の次は武装です。
背と腰にそれはそれは沢山の
矢を矢筒に携え、
弟スサノヲを仁王立ちで待ち構えます。
アマテラスにこの国にやってきた理由を
問われると、スサノヲは自分に野心はなく
母の国に行く前に挨拶に来たと説明します。
ですがアマテラスは信じません。
そこでスサノヲはお互いの持ち物から
子どもを生み正邪を確かめようと
「誓約(うけい)」を提案します。
誓約とは占いの様なもので、例えば
硬貨を投げ、表が出ればA、裏ならばBと
起こりうる2つの結果から正邪や吉凶、
成否などを判断することです。
よく神社の神事でも耳にしますね。
例えば東の集落と西の集落で綱引きをして
東が勝てば稲の豊作、
西が勝てば作物の豊作ですとか。
天に流れる川を挟み、対峙する姉弟。
まずアマテラスは、スサノヲの剣を取り
「天の真名井」という清冽な水で濯いでから
3つに折り、それを口に含み
噛みに噛んで息吹として吹き出すと
三柱の女神を生みます。
次にスサノヲは男装の際に巻き付けた
アマテラスの勾玉を左の角髪、右の角髪
頭、左腕、右腕と順番に手に取り
やはり天の真名井で濯いで口に含み
噛みに噛んで息吹として吹き出し
順々に五柱の男神を生みます。
そしてアマテラスはこう宣言します。
剣はお前の持ち物だから
剣から生まれた三女神はお前の子ども、
対して私(アマテラス)の勾玉から生まれた
五男神は私の子どもであると。
スサノヲは自分の持ち物からか弱い
女神が生まれたので自分の心は潔白で
邪心が無いと一方的に勝利宣言をします。
身の潔白を有耶無耶に証明したスサノヲは
この後、姉神アマテラスに
挨拶をするわけでもなく、
母の国、根の国へも行かず
アマテラスの国で傍若無人に暴れるのですが
それは次回に回しましょう。
さて、スサノヲの剣から生まれた三女神は
宗像大社のご祭神です。
福岡県宗像市田島2331
また広島の厳島神社のご祭神も
この三女神ですね。
国家鎮護の神様や海上守護の神様として
祀られています。
「道主貴(ミチヌシノムチ)」という
別名もお持ちで「貴(ムチ)」の
尊称が付く神様は、アマテラス、
オオクニヌシとこの三女神のみで
最高に高貴で尊い神様の意味があります。
三女神の長女タギリヒメは
オオクニヌシのお妃の一人でもあり
出雲大社では本殿の西側の
筑紫社に祀られています。
ご祭神は長女のタギリヒメ。
一説には宗像からオオクニヌシに嫁がれ
出雲にやってきた時、この地から
上陸されたという伝承があるそうです。
または三女神はみんなオオクニヌシに
嫁がれたとも。
かたやアマテラスの勾玉から
生まれた五男神。
長男は天皇家の始祖神、
次男は出雲国造家の始祖神、
他三柱の神々は各地方の国造家の
始祖神となっているようです。
(国造こくそうとはその地方を治める
役職で主に朝廷より派遣されました。
後に祭祀を司る名誉職になっていきます。)
誓約で生まれた五男・三女神、この
八柱が祀られている神社もあるようです。
全国にある「宇気比(うけい)神社」は
そのようで、八柱の神様たちを
「八王子」と呼び、祀っているようですね。
出雲の日御碕神社。
アマテラスの日沈宮、スサノヲの上の宮、
この2社を合わせた呼び名が日御碕神社。
日沈宮。
それぞれの御子神、
アマテラスのお社の日沈宮には五男神が、
スサノヲのお社の上の宮には
三女神が一緒に祀られています。
もし参拝の機会がありましたら
アマテラスとスサノヲの
誓約を思い出してくださいね。
そして誓約前にそれぞれの持ち物を
濯いで清めた「真名井」。
出雲でしたら「真名井の清水」があります。
出雲大社の祭祀にも関わる大事な井戸です。
通常 井戸や湧き水の場所は
特別な場所と考えられ、神様が
いらっしゃるのだそうです。
その場合はどなたが祀られている
というわけではなく、漠然と
「水神さま」とか「龍神さま」という様に
特定されない神様がいらっしゃるのだとか。
ですが特別な井戸には神様が祀られる場合が
あるようですね。
こちらには「ミズハノメ」とおっしゃる
水の女神が祀られています。
旧暦の6月1日に「清水祭」が斎行され、
地域の多くの方が参列されます。
みなさんがお住まいの所に
「真名井」の名前の湧き水や
滝がありましたら綺麗な水が湧いたり、
干ばつでも枯れないなど
いわれが特別かもしれません。
特に「天の真名井」の名前でしたら
さらに特別な様ですよ。
さて、次回は誓約で勝ったと
傍若無人ぶりを振る舞うスサノヲ、
そしてその後のお話です。
本日もお付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。
またの機会に。
ご自愛下さいますように。
過去のブログは下記からどうぞ。
古事記と出雲⑤ ~黄泉の國譚 出雲以外のイザナミ御陵 その1~
古事記と出雲⑥ ~黄泉の國譚 出雲以外のイザナミ御陵 その2~