旧暦10月になると、神々がお集まりになられる地『出雲地方』より、こんにちは。
オンラインショップ担当の畑です。
大人気のパワースポットでもある出雲大社を中心に、神在月に行われる神事の日程や参拝方法、故事・由来などのお話を複数回にわたり紹介する企画…。
前回は、八百万の神々は出雲大社をお立ちになられた後、どこに向かわれるのか?のお話をしました。
縁結びのパワースポットとして広く知られる出雲大社ですが、じつは縁結び以外にも、とても強いパワーを頂ける場所があるのです。
また、そこからはご利益たっぷりの『お砂』をいただくことができます。
テレビ、雑誌等でも紹介され、すっかり有名にもなっていますが…。
この『お砂』には、邪気を祓う力、幸福の力があるといわれ話題です。
そして、この『お砂』…。
ただ出雲大社を参拝すればいただけるというわけではありません。
『お砂』をいただく為に、準備しなくてはならないことがあるのです。
8回目となるこの度は、この『お砂』の入手方法と、出雲大社の正しい参拝方法についてお話をさせていただきます。
せっかくの出雲大社への参拝です。
「縁結び」はもちろんですが、それ以外にご利益をいただくためにも、この『お砂』をいただいてお帰りになられることをおすすめしますよ。
是非、参考にされてくださいね。
【準備するもの】
・ビニール袋
・スコップ
※スコップはちょっと大きいので、プラスチックのスプーンでも十分
出雲大社の参拝は『稲佐の浜』から
真っ白な砂浜と美しい海岸線が続く『稲佐の浜(いなさのはま)』は神話の舞台でもあり、とても美しく日本のなぎさ100選にも選ばれている景勝地です。
また、この海岸線の『稲佐の浜』の近くには「天日隅宮(あめのひすみのみや)」(出雲大社)が、そして、『日御碕』には「日沉宮(ひしずみのみや)」(日御碕神社)と、それぞれ夕日にちなんだお社があり、この地から望む海に沈む夕日は、神々が創り出したものと伝えられ、とても美しく、『日が沈む聖地出雲~神が創り出した地の夕日を巡る~』として、2017年に日本遺産として認定されています。
そんな『稲佐の浜』は、出雲大社から西に約1.4km離れたところにある砂浜です。
駐車場もあるので車で行くこともできるのですが…
『稲佐の浜』まで徒歩で向うことが出来る神聖な道がせっかくあるので、ここでは敢えて、この「ありがたい道」を進むルートで紹介します!
この「ありがたい道」は、『神迎の道(かみむかえのみち)』といって、出雲大社境内の一番南、正門にあたるところにある広場「勢溜(せいだまり)」の横から『稲佐の浜』へと続く道となっています。
旧暦の10月に出雲の地に集まる八百万の神々は、日本海から『稲佐の浜』にお上がりになられると、この『神迎の道』を進み、出雲大社へとお入りになられるのです。
神々がお通りになられる道なのです!
時間にすると、徒歩で約15分くらいになりますが、このありがたく神聖な『神迎の道』を行きと戻りと往復していただきたいです。
八百万の神々を迎えた出雲大社の神迎え神事は、別記事で紹介しています。
そちらも是非、ご覧になられて下さい。
古くからの風習が残る『神迎の道』
「勢溜(せいだまり)」の横、道を挟んだところにあるファミリーマートさんの横から、『神迎の道』は続いています。【写真①】
この『神迎の道』は民家の間を通る道で、『稲佐の浜』まで道なりに進んでいくルートになります。
そしてこの道には、神々をお迎えする神在月になると紙垂(しで)が渡されるのです。【写真②】
では、『神迎の道』を進んでいきましょう。
道の両側には民家が並びます。
その道を歩いていると、目に飛び込んでくる共通点があるのです。
それがこれです…。
道を進んでいくと所々のお家の玄関口などに、さりげなくお花が生けられた竹筒が掛けられているのです。
なんとも心が和む景観であるのですが…。
花の生けられたこの竹筒には、古くから続く風習があるのです。
その風習とは、毎月1日の早朝になると「潮汲み箍(しおくみたが)」と呼ばれるこの竹筒に、稲佐の浜で海水(潮)を汲み、出雲大社までの道のりの摂社に潮を振り撒き清め、最後に出雲大社に参拝するというものです。
その後、海水(潮)は自宅に持ち帰り、玄関・神棚・仏壇・各部屋そして家族に 撒いて 清めるのだそうです。
昔から代々伝えられる風習を感じつつ、『稲佐の浜』へと向かうわけですね。
歩みを進めていくと、目の前に二つ並んだ石灯篭が…。
そして、その向こうには広がる日本海…。
あまりの美しさに、そのまま吸い込まれ直進してしまいそうになるのですが、そこはぐっと我慢して、手前を右に曲がり路地に入ります。【写真③/④】
すると、車が通る別の大きな通りにでますので、そこを左折して『稲佐の浜』に到着です。【写真⑤】
ここまでが、「出雲大社」と「稲佐の浜」をつなぐ『神迎の道』です。
八百万の神々は日本海から「稲佐の浜」に上がると、この逆の道のりで『神迎の道』を進み、出雲大社にお入りになられるのです。
神話の舞台『稲佐の浜』で砂をいただく
『稲佐の浜』に到着すると目に飛び込んでくるのは、美しく綺麗な白い砂浜、どこまでも広がる綺麗な海…。
そして、砂浜に弁天島…。
なんとも美しい光景が広がります。
そうです!
ここが大国主命(オオクニヌシノミコト)が「国譲り」をした神話の舞台なのです。
天上界である高天原の天照大御神(アマテラスオオミカミ)の使者として遣わされた建御雷神(タケミカヅチノカミ)が降り立ち、大国主命(オオクニヌシノミコト)と対峙したのがこの『稲佐の浜』です。
また、八百万の神々が日本海からお上がりになられる砂浜で、出雲大社の「神迎え神事」が執り行われるのも、この『稲佐の浜』なのです。
≪大国主命「国譲り」神話はこちら≫
≪出雲大社「神迎え神事」はこちら≫
まずは弁天島を参拝します。
この弁天島に祀られているのは、豊玉毘古命(トヨタマヒメ)で、初代天皇である神武天皇のおばあちゃんにあたります。
因みに豊玉毘古命(トヨタマヒメ)の旦那様は火折尊(ホオリノミコト)で、天照大御神(アマテラスオオミカミ)の孫で天孫降臨をした瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)の息子になります。
参拝を済ませたら、砂浜から砂をいただきましょう。
ここで活躍するのが、準備していた「ビニール袋」と「スコップ(スプーン)」です。
砂をすくい、ビニールに入れていきます。
(柔らかい砂なので、手で掘ってすくう事もできますが…。)
そんなに沢山は必要ないので、適度に必要な分だけ頂くことにしましょう。
冒頭で紹介しました御利益たっぷりの「お砂」は、これでGet!ではないので注意して下さいね。
ここから再度、ここで頂いた砂を持って、出雲大社に向かわなくてはならないのです。
では再び、『神迎の道』を通り、出雲大社に向かうことにしましょう。
『稲佐の浜』の周辺には他にも見どころが…
歩いて5分程度のところにある「屏風岩(びょうぶいわ)」は、「国譲り」の話し合いが行われた場所で、この岩を背にして高天原から派遣された建御雷神(タケミカヅチノカミ)と大国主命が論議をしたと伝えられています。
また、そのすぐ近くには八百万の神々によって行われる「神議り(かみはかり)」の会場となる『上の宮(かみのみや)』や、伊勢神宮・内宮にご鎮座される日本国民の総氏神であられる天照大御神(アマテラスオオミカミ)を祀った『下の宮(しものみや)』があるのです。
因みに『上の宮(かみのみや)』の御祭神は須佐之男命(スサノオノミコト)なので、近く寄り添うように姉弟が並ぶ姿も想像できますね…。
これらを巡って、出雲大社へ向かうというのもよいのではないでしょうか。
いざ、出雲大社へ!参拝時は禊をしっかりと…
出雲大社境内の一番南、正門にあたる「勢溜(せいだまり)」まで戻ったら、いよいよ出雲大社への参拝です。
勢溜の大鳥居から参道に入り少し進むと、右手に小さなお社が見えてきます。
「祓社(はらえのやしろ)」です。
小さいお社にはなりますが、出雲大社を参拝する上では非常に重要なお社となっていますので、忘れずに参拝をしてください。
この「祓社(はらえのやしろ)」にお祀りされている神様は、神社でお祓いを受ける際に祝詞(のりと)で最初に召喚される全ての神様です。
まずはここにお参りすることで、第一の禊を行うのです。
そして、珍しい下り坂の参道を進むと、祓端(はらえのはし)を渡ることで第二の禊となり、橋を渡った後は松並木の参道を進み、銅鳥居手前にある手水舎で三度目の禊を行いましょう。
神様にお会いするには、きちんと禊を行う事が大事です。
『二礼、四拍手、一礼』
禊をすませたら、拝殿へ。
出雲大社の参拝作法は他の神社と違うので注意が必要です。
他の神社での一般的な作法は「二礼、二拍手、一礼」ですが、ここ出雲大社は『二礼、四拍手、一礼』なのです。
出雲大社の四拍手には一拍手ごとに深い意味があります。
人と神の魂である「一霊四魂(いちれいしこん)」を意味しているのです。
四つの魂から成り立つ心を、天と繋がる一霊である「直霊(なおひ)」がコントロールし導いているという神道の考えです。
出雲大社での正しい参拝作法が分かったところで、拝殿、そして八足門で本殿への参拝をしましょう。
その後、時計の反対まわりに進み、東十九社への参拝を行います。
十九社は、全国の神々が出雲大社にお集まりになられた際に、お泊りになられるお社です。
そして、『素鵞社(そがのやしろ)』への参拝に向かうのです。
ここでいよいよ、『稲佐の浜』から頂いた砂の出番です!
御利益たっぷりの『お砂』をいただく!
『素鵞社(そがのやしろ)』の御祭神は、須佐之男命(スサノオノミコト)です。
出雲大社の御祭神である大国主命(オオクニヌシノミコト)は、「古事記」によると須佐之男命の六代後の子孫とされていますが、「日本書紀」では須佐之男命の子ともされています。
また、大国主命の正妻である須勢理毘売命(スセリビメノミコト)は、須佐之男命の娘になります。
『素鵞社(そがのやしろ)』は御本殿の真裏、出雲大社でも最も北に位置し、後ろからそっと見守っているようにも感じられます。
まずは参拝をしたら、そのまま振り返らず、『素鵞社(そがのやしろ)』の横にまわります。
すると、社殿の床下に砂の入った箱があります。
この砂箱に『稲佐の浜』からいただいた砂を奉納しましょう。
そして、代わりにそこに置いてある『お砂』をいただくのです。
この砂には、須佐之男命(スサノオノミコト)の力が宿っていると言われています。
ここで大事なことがひとつ…。
ここでは、持ってきた砂よりも少なく頂くのがマナーです。
欲張ってはダメです…。笑
四魂をコントロールです!
この『お砂』には、邪気を祓う力、幸福の力があると言われています。
家を建てる時の地鎮祭などにも使われ、自宅の四隅(東西南北)に撒いたり埋めたりすることで、お家全体が守られるとか…。
農家の場合だと、田畑にまかれると作物の成長を見守って頂けるそうです。
アパートやマンションなどにお住まいの方は、『お砂』を撒く場所がないですよね…。
そんな時は『お砂』を小袋に入れ、部屋の四隅に置くと住んでいる人を守って頂けると言われています。
そこで、おすすめなのがコレ!
部屋の四隅に置くにも便利な上に、お守りとして持ち歩くにも最適です!
出雲大社参拝の思い出にもいいですよね!
また、お友達や知り合いに、ご縁のお裾分けとするのにもいいです…。
神門通りは「勢溜(せいだまり)」の前にある店舗『めのや 出雲大社前店』でも販売していますので是非、お越しくださいませ。
屈指のパワースポット!『素鵞社』
これで御利益たっぷりの『お砂』を頂くことは出来たわけですが、ここで見逃せないポイントがあります。
『素鵞社(そがのやしろ)』の後ろには『八雲山』という山があるのです。
実はこの『八雲山』は出雲大社の御神山で神々が住み、力が宿る神聖なエリア。
聖域として禁足地となっており、山に入ることは許されていません。
ところがです…。
社殿の後ろにまわってみましょう。
禁足地である『八雲山』の岩肌に唯一、触れることが出来る場所があるのです。
この岩肌は、神の御座所である磐座(いわくら)といわれています。
これが、『素鵞社(そがのやしろ)』が出雲大社の中でも最大級のパワースポットであるといわれる所以です。
そっと触れて、パワーを分けていただきましょう。
御祭神と向き合える場所へ…
『素鵞社(そがのやしろ)』でパワーを分けていただいた後は、御本殿の西側にある遥拝所に向かいます。
これが意外と忘れがち…。
出雲大社の御本殿は南向きに作られているのですが、御祭神であられる大国主命(オオクニヌシノミコト)の御神座は西を向いているのです。
そのため、この遥拝所が御神座正面にあたり、大国主命とバッチリ目が合う場所なのです。
ここから、再度参拝をするのが古くより伝わる正式な参拝方法とされています。
そして、最後に西側にもうひとつある西十九社を参拝します。
出雲大社参拝方法のまとめ
①稲佐の浜で砂をいただく
(用意するもの…ビニール袋、スコップまたはスプーン)
②勢溜の大鳥居から入り、参拝に向かう
③祓社を参拝し、一度目の禊
④手水舎に向かう途中で、祓端を渡り二度目の禊
⑤手水舎で清めて、三度目の禊
⑥拝殿を参拝
⑦御本殿前の八足門で参拝
⑧東十九社を参拝
⑨素鵞社を参拝
⑩用意した稲佐の浜の砂と素鵞社社殿床下にある『お砂』を交換し頂く
⑪素鵞社の裏側にある八雲山の磐座に触れる
⑫御本殿西側の遥拝所を参拝
⑬西十九社を参拝
※出雲大社参拝は、すべて『二礼、四拍手、一礼』
マナーを守り、正しい参拝方法で清々しく参拝をすることで、よりよいご縁をいただけるのではないでしょうか。
皆様に、素敵なご縁がありますように…。
正しい参拝方法を知るだけでも、出雲大社を詳しく知ることとなるのですが、出雲大社にはこの他にも知っておくと、同伴者にドヤ顔できる豆知識があるのです。
次回は同伴者をガイドできる、そんな豆知識をお届けしたいと思います。
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