みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
ブログを更新しました。
しばしお付き合いください。
前回まで古事記を主体に
イザナミ♀の御陵のお話を進めてきました。
今回は視点を変えて
日本書紀に書かれている内容と
そこからの考察をご紹介します。
日本書紀は本文と幾つかの異伝から
構成されています。
古事記とは若干ストーリーが
変わる場合も有るんですね。
その日本書紀本文ではイザナミ♀は
国生み・神生みをイザナキ♂と共に
最後まで全うします。
イザナミ♀は亡くならないのです。
これは陰陽の考えが根底にあるようで
陰陽揃わなければ、国生み・神生みは
叶わないとの考えからの様です。
異伝には火の御子神を生み火傷を負う
古事記と同じ流れの話があり、
埋葬地は「紀伊国熊野の有馬村」
とあるようです。
その有馬村の埋葬地候補がこちら。
三重県熊野市有馬町上地130 花の窟神社。
イザナミ♀の御陵。高さ45mもある岩肌です。
岩というか巨石というか山肌というか・・・
「ほと穴」と呼ばれる岩肌のくぼみ。
その前に葬られているとか。
ということは後ろの岩肌は墓標でしょうか?
この向かい側にはイザナミ♀が
命を落とす原因となった御子、
火の神カグツチのお墓があります。
この場所から3㎞ちょっとの場所に
イザナミ♀がカグツチを
産んだ場所があります。
つまり死に至った場所です。
「産田神社(うぶたじんじゃ)」。
熊野市有馬町1814
ご祭神はイザナミ♀とカグツチ。
古事記と日本書紀では伝承が異なり
全く違う場所に
イザナミは眠っているようです。
このイザナミ♀の御陵に関する
キーマンはスサノヲ。
古事記の話を先走ってしまいますが
古事記ではスサノヲは
イザナミ♀に会いたいと、紆余曲折あり
出雲の地に降臨します。
出雲の地でヤマタノオロチを退治した後、
根の国(死者の国)へ行ってしまいます。
対して日本書紀は異伝にこうあります。
スサノヲは体のあちこちの毛から
様々な木々を生み出します。
そして木の種類によって
何に利用すべきかを民衆に伝えます。
その後、日本中に木々を植えていく仕事を
息子や娘、御子神たちに託し、
自身は根の国へ旅立ちます。
その御子神たちは紀伊の国の
伊太祁曽(いたきそ)神社のご祭神です。
和歌山が紀伊の国と呼ばれる所以は
「木の国」が元になっていると
いわれています。
スサノヲはイザナミ♀がいる
死者の国へ旅立つのですが
古事記では出雲国から、
日本書紀では紀伊国から
死者の国の根の国
(黄泉の国)へ向かうのです。
スサノヲが根の国に旅立つ場所と
イザナミ♀の御陵の場所が
連動している様です。
そしてスサノヲ、
出雲では冶金神(やきんしん→
金属精製の神)として、
紀伊では植林神としての性格が
それぞれ伝わっています。
その根拠は
「五行思想」にあると考えます。
五行思想とは森羅万象、全てのものが
「木・火・土・金・水」の
5つの元素が根源となり
それぞれが関わり合い
変化や循環していく考えです。
季節や方角もこの思想に当てはまり
方角に五行を重ねたのが下の図です。
イザナキ♂が隠居する
国産み最初の国、淡路島。
この淡路島を起点と考え、さらに
島を中心に五行の方角図をあててみます。
北西にある比婆山の方角は
「金(きん)」の方角。
中国地方は金(金属→たたら)に
関わる場所が多く、
そして出雲地方には
黄泉の入口候補があります。
南東の花の窟神社や熊野の方角は
「木(もく)」の方角。
熊野はスサノヲが御子神たちに後を任せて
根の国に旅立った場所。
根の国に旅立ったということは
そこには黄泉の入口があるはず。
まとめると、
根の国に向かうスサノヲ。
候補地の一つは、
「金」、たたらにに関わる
出雲地方にある黄泉の入口から。
もう一箇所。
「木」に関わる
熊野地方にある黄泉の入口から。
それぞれ、
イザナミ♀の御陵候補があります。
「金(きん)」と「木(き)」と読めば、
語呂も似ており、
伝承が別れた可能性も考えられます。
私の妄想の範囲を出ませんが
説の一つとして
楽しんでくだされば幸いです。
さて、次回からは
「禊と三貴子の誕生」の話を予定しております。
本日もお付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。
またの機会に。
ご自愛くださいますように。
過去のブログは下記からどうぞ。
古事記と出雲⑤ ~黄泉の國譚 出雲以外のイザナミ御陵 その1~