石の音、ときどき日常

新コスメにまつわる神話や風土の話 その14  ~神様の隠れ籠もる山  神奈備山その2~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

出雲発 祈りをテーマとした
温泉水×和漢コスメ誕生。

この冬、めのやから新しく誕生する
コスメブランドについて、
出雲地方に伝わる神話や
まつわる風土をご紹介します。

今回も神様がいらっしゃる山と伝わる
神奈備山を先週に引き続き
ご紹介したいと思います。

 

その14 ~出雲の神奈備山 その2 仏経山~

さてさて件の仏経山。
4つの神南備山の中で
最も奥が深い山ではないかと
私個人的に思っている山であります。

国道9号線を松江市から出雲方面へ向かう途中、
道の駅湯の川を過ぎしばらくすると
左手に目立つ山があります。
出雲方面からですと
斐伊川を渡る頃、右前にその姿がはっきり
目に飛び込んで来るかと思います。

反対側は山が連ねっていますので
独立峰のこちらの山は否が応でも
目立つ山です。

私も山の名前も知らないのに
何故か気になる山だと
出雲に来たばかりの時に思っていた山です。

この山にすっかり魅せられた人が
昨年本を出されました。
「仏経山石神ガイドブック
仏経山の石神に魅せられて」。

編者は衣料品店を経営されている原修二氏。
仏経山 石神会(しゃくじのかい)を
主催されている個人なのです!
実に20年余り、
古老に話を聴き、
自身で足を運び、
古文書を開き文献をまとめたり,
苦労の末出来たガイドブックです。

題名でお察しの方も
いらっしゃると思いますが、
なんと言ってもこの山の魅力は石神さま!
ガイドブックに34もの巨石や石神さまが
掲載されています。

366mほどの山とその近辺も合わせて
34の石神さまは、なるほど「カンナビ」と
呼ばれるべく存在する山なのかもしれません。

私、実際足を運んだのはその中の15ほど。
半分にも届きませんが
34の石神様を紹介出来たらなぁと
憧憬とちょっぴり決意があったりします(笑)

山の名前「仏経山」。
今でこそ この名称ですが、

風土記当時は「神名火山」の名前で
記載されています。
神様の山から仏様の山に

名前が変わってしまった山なのです。

これは尼子経久が仏経山と命名したとされ、
経久はこの山に12の寺を建て
お薬師様を12体を安置し、
尼子家の安泰を祈りました。

その中の一つでしょうか?
岩屋寺と呼ばれる場所に観音さまが
奉安されていました。

写真は2016年7月のもの。
かろうじて観音様がありましたが
もしかしたら今は朽ちてしまってるかも・・

真ん中が観音様。
脇にあるのは日光、月光菩薩の様です。
4年以上前でもシロアリの被害が如実です。

前出のガイドブックに観音様は
2018年秋まで祀られていたとあります
麓にあるお寺、本誓寺に
お移りになった様ですね。

この岩窟は古代の「氷室」と伝えられ
地名由来になっています。

ですがガイドブックに著者、原氏は
神様が宿る「ヒモロギ」の
「ひもろ」から転じたのでは?
という説を唱えています。

確かに366mの標高では
いくら日が射さないとはいえ
氷を蓄える場所としては

信憑性に欠ける様な気がします。
面白いですね(^^)

風土記には伎比佐加美高日子命が
いらっしゃるので神名火山という
と記載があります。
神様の名前の読みはキヒサカミタカヒコ。
お社は山の嶺にあったようです。

実際に山に登ってみると
西の方の峰に奥宮跡があります。

2019年1月撮影。

この神様を祀る神社は
仏経山の麓にある曽枳能夜神社。
読みは神社のご由緒によると
「そぎのやしんじゃ」と読みます。

この辺り一帯を守る首長神と考えられ
出雲大社の祭祀も司る祭主だったそうです。

境内には出雲大社を遥拝する磐座があり
その磐座に宿る神様は出雲大社の
境外摂社、命主社のご祭神カミムスビ。
曽枳能夜神社の神様の親神様です。

また境内社の中で
最も立派なお社は「出雲大神社」。

ご由緒にはこのお社の説明が無く
もしかしたら祭祀のための建物かもと
想像しました。

境内社に「支比佐社(きひさしゃ)」
というお社があります。(向かって左)

祀られている神様は伎比佐加美長依彦命
(キヒサカミナガヨリヒコ)。
本殿に祀られている神様の名前と
似ているお名前です。

ご由緒には同じ一族の神様とあります。
またご由緒にはお社がいつ
ここに遷されたかは不明だそうですが、
元は神名火山の山頂付近にあったとか。

・・・あれ?
先程の奥宮跡の事でしょうか?

ですがこの支比佐社の元宮は
西の峰の中腹にある石神さまの
傍らにあった元宮との説もあり、
神社のご由緒と異なるようです。

その場所がこちら。
伎比佐の大岩。


「山の宮元宮 岐比佐神社跡」の文字。

この巨石の近くの説明には
氷室邑(ひむろむら)神社萬記(1764年)に
支比佐神社がここを離れ曽枳能夜神社に
遷座された事を記しています。

山頂→支比佐の大岩→曽枳能夜神社と
遷座されたとの考察もあるようです。

かなりの巨石ですよ!

2016年6月撮影。

本日は出雲國風土記掲載の
神奈備山、仏経山と
まつわる神社や石神様をご紹介しました。

そうそう、ガイドブックの表紙のイラスト!
名前は宮隠し岩(まがくしいわ)。

表紙の隣に並べてみますね。

この岩の詳しいお話は
機会がありましたら
ということで
本日はこの辺で。

お付き合いくださって
ありがとうございます。
ではまたの機会に。
ご自愛くださいますように。

 

新ブランドについて◆

出雲の人は雨が降れば土地を清め、
風が吹けば厄を吹き払うといって
目には見えない存在を身近に感じ
大切にしています。

遠い昔から人々の生活と共にあった
出雲の薬草。
遠い昔からやさしく、
柔らかく湧き続けている玉造の温泉。

この土地の人たちは自然に感謝し、
生があることへの感謝を静かに宣って
繋いできました。

一日の終わりに、
自分の中のささやかな儀式のように、
明日に祈るように。

「リセット、癒し、整える」ことで
健やかに明日を迎えるためのプロダクトです。

 

◆おなじ風土のもとに織りなす文化が共鳴し循環することを目指して◆

化粧品は温泉水と自然由来の成分から製造。
出雲地方で生まれた文化が造り手と共に共鳴し
循環していくことを目指しています。

主成分は島根県産の真菰(まこも)、
やまもも、塩、そして日本古来の御守り
「勾玉」を継承している
めのや本店から湧き出ている玉造温泉水。

真菰はしめ縄や神事にも使われ、
「神が宿る草」と呼ばれており、
やまももはイザナミイザナギの
黄泉の国のくだりに登場。
神の名前を持つ果物と呼ばれていました。

いずれも出雲風土記に登場する薬草です。
古代出雲は医薬の国とも
いわれていたことからも、
古来より出雲の人にとって
薬草は身近な存在でした。

日本古来より伝わる薬草と
洗い浄めるという文化。
気持ちをリセットし、
心身を癒しながら
みずみずしい肌へと導きます。

この冬の発売を
どうぞ楽しみにお待ちください。

 

 

新コスメにまつわる神話や風土の過去のブログは下記から

新コスメにまつわる神話や風土の話 その1  ~ 玉造温泉 ~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その2  ~古代出雲は医薬の国だった 稲羽の素兎編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その3  ~古代出雲は医薬の国だった ヤガミヒメ編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その4   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編①~

新コスメにまつわる神話や風土の話その5   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編②~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その6 ~伝説の医者がモデル?スクナヒコナ編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その7 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編②~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その8 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編③~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その9 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編④~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その10 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編⑤~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その11 ~出雲國風土記~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その12 ~出雲地方に見る荒神信仰(藁蛇)~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その13  ~神様の隠れ籠もる山  神奈備山~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加