めのうさとえすこな散歩

古事記と出雲㊹ 大国主命⑨ ~ オオクニヌシの甦り 清水井 清水川神社 ~

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みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
ブログを更新しました。
しばしお付き合いください。

 

前回は本物といわれている赤猪岩」や
赤猪岩神社が合祀される前の「赤猪神社跡」
などをご紹介させて頂きました。

さてさて、今回は八十神の策略で
命を落としてしまったオオクニヌシの
その後のストーリーを進めていきます。

赤い猪と騙され、捕まえようとした
オオクニヌシですが、真っ赤に焼けた
大岩に焼き付き死んでしまいます。
生身で捕まえようとしたのですね。

オオクニヌシを見つけた母神は
泣きながら天の神様に助けを求めます。
天の神様は貝の女神を二柱を遣わし
オオクニヌシを治療し生き返らせます。
ざっと流れはこの様に進みます。

母親ってスゴイなあと思います。
神話の中に、どうやってオオクニヌシを
見つけたかは具体的に書いては無いのですが
母親とはそういった超能力があるものだと

個人的には納得しています。

助け舟を出してくれた天の神様は
古事記では冒頭3番目に登場する
造化三神の一柱、カミムスヒ。

出雲大社から200mほど東にある境外摂社の
命主社(いのちぬしのやしろ)」に
祀られています。

1000年椋といわれる
ムクの巨木が社殿前にどーんと構えている
人気の神社ですね。

そして遣わされた貝の女神は
赤貝の女神キサガイヒメ、
蛤(はまぐり)の女神ウムガイヒメです。
二柱が祀られる神社は出雲大社の境内摂社
天前社(あまさきのやしろ)。
本殿に向かって右に2つ目のお社で、
二柱は「看護の神」といわれています。

岩に焼き付いて命を落とした
オオクニヌシの蘇生方法の現代語訳が
本によって様々の様です。
問題となるのは「塗母乳汁者」といった
原文の箇所の解釈です。

「蛤の女神がオオクニヌシの母神の
母乳で貝殻の粉を練って軟膏を作った。」
ですとか
「蛤の女神の母乳で・・・」と
「母乳汁」を「女神の母乳」と
解釈している現代語訳が多い様です。

私なりにその一文を現代語訳すると
「キサガイヒメは焼き付いた
オオクニヌシの体を刮げ(こそげ)集め

ウムガイヒメは蛤の水をもちて
母の乳汁の様に
塗ったところ、
オオクニヌシの火傷は
元通りに治り、
麗しきオトコとなり
往来を歩いた。」
といった感じでしょうか。

本居宣長は
「昔から母乳を塗る治療法があり
赤貝を焼き焦がした貝殻の粉を
蛤のぬめり水で溶いて、
母乳を塗るように塗った。」と
解釈しています。
蛤の「ぬめり水」とは体液の事で
蛤を水で溶いたわけではなさそうです。

現代の医学においても火傷治療、
皮膚の再生に必要な成分は
タウリン、キチン、そして
カルシウムだそうです。
赤貝の貝殻と蛤の身を体液ごと
すり潰したものを調合したものは
それらの成分が確保できるのだとか。
理に叶った薬のようですね。

そしてオオクニヌシは蘇生し
「麗しき壮夫(おとこ)」になった
と書かれています。

この「壮夫(おとこ)」と
わざわざ書いてあることは
「成人男性」という意味に読めます。
この事から、二柱の女神はオオクニヌシの
妃神となられたとも解釈できるようです。
この考えに沿えば
出雲大社の玉垣内にある摂社の
女神を祀る三社は全てオオクニヌシの
妃神のお社という事になります。

さて。
前回ご紹介した赤猪岩神社の近くに
キサガイ、ウムガイの二柱を
合祀する神社があります。

こちら 清水川神社。

また、この神社の近くに
火傷治療の際に用いた水と伝わる
神蹟があります。
清水井。

別名、於婆御前(ウバゴゼン)の井
干ばつでも枯れたことが無いと伝わる
湧き水です。
治療に使った水ということは
この辺りが治療・看護の場所
という事でしょうか?

また出雲国風土記掲載の古社、
「秋鹿(あいか)神社」も
オオクニヌシの火傷に関わる

由緒がある神社です。
松江市秋鹿町2853

ご祭神はアイカヒメ。この女神は
オオクニヌシの火傷を治療されたと

御由緒にあり、このことからか
ウムガイヒメとされている
と書かれています。

大火傷で命を落としたオオクニヌシ。
女神たちのお陰で蘇る訳ですが
火傷が完治するには一朝一夕には
行かないはずです。
オオクニヌシが「壮夫(おとこ)」と
呼ばれるまで歳月がかかったのでは
ないでしょうか?
稲羽のヤガミヒメはこの事を
知っていたのでしょうかね?

母神の機転で蘇ったオオクニヌシ。
ですが、災難はまだ続くのでした。

お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。
またの機会に。
ご自愛くださいますように。

 

オオクニヌシの甦りに関わる
過去ブログはこちらからどうぞ。
また違ったアプローチで
書かせて頂いています。

新コスメにまつわる神話や風土の話 その4   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編①~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その5   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編②~

 

大国主の命編 過去のブログはこちら

古事記と出雲㊱ 大国主命① ~ その出生地はどこか?~

古事記と出雲㊲ 大国主命② ~ オオクニヌシのお爺さんお婆さん 長浜神社編 ~

古事記と出雲㊳ 大国主命③ ~ オオクニヌシのお父さん 日御碕神社 編 ~

古事記と出雲㊴ 大国主命④ ~ 稲羽の素兎 白兎神社 編 ~

古事記と出雲㊵ 大国主命⑤ ~ 稲羽の素兎 白兎海岸 編 ~

古事記と出雲㊶ 大国主命⑥ ~ ヤガミヒメの故郷 賣沼神社 編 ~

古事記と出雲㊷ 大国主命⑦ ~ オオクニヌシの受難その1 赤猪岩神社 ~

古事記と出雲㊸ 大国主命⑧ ~ オオクニヌシの受難その2 赤猪石・赤猪神社跡(元宮) ~

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