石の音、ときどき日常

新コスメにまつわる神話や風土の話 その16  ~風土記掲載の古湯を訪ねる~

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出雲発 祈りをテーマとした
温泉水×和漢コスメ誕生。

この冬、めのやから新しく誕生する
コスメブランドについて、
出雲地方に伝わる神話や
まつわる風土をご紹介します。

出雲國風土記には四つの
温泉が書かれています。
その中で名前の付いている温泉は二つ。

そのうちの一つは
このブログのシリーズ「その1」で
ご紹介した
玉造温泉です。

そしてもう一つは現在の湯村温泉です。
その当時から伝わる二湯から

当時の人々の想いを
考察してみたいと思います。


風土記の時代に名称のある温泉。

さてさて。件の名称のある温泉。
風土記にある二湯は
現在の玉造温泉と湯村温泉です。

玉造温泉は「神の湯」の名称で
記載されています。

風土記での記述は次の通りです。

ここの川のほとりに温泉が湧いてる。
温泉のある場所は
海でもあり陸でもある。
それでも男も女も老人も子供も
あるいは道路を行き交い、
あるいは海中を浜辺に沿って行き、
毎日集まり市がたったようなにぎわいで
入り乱れて宴を楽しむ。

一度温泉を浴びれば
たちまち姿も麗しくなり
再び浴びれば病気も全て治る。
昔から今に至るまで
効き目がないということがない。
だから土地の人は神の湯と言っている。
(解説 出雲国風土記 島根県古代文化センター編より抜粋)

人が集まり市がたったような賑わい!
病気も全て治る!
大変人気の温泉で、特別な事が伺えます。

そして名称を持つもう一つの温泉、
湯村温泉は次のように書かれています。

川のほとりに薬湯がある。
一度浴びれば体はやすらかになり、

再び浴びればどんな病気も消え去り、
老若男女、昼夜休まず、
行列を作り通い、
効き目がないということがない。
だから、土地の人は
名づけて薬湯という。
(解説 出雲国風土記 島根県古代文化センター編より抜粋)

湯村温泉は「薬湯」の名称です。
病気が全て消え去るといった
優れた効能と人が集まっている事は
神の湯、玉造温泉と共通です。

名前のない温泉は「出湯あり」ですとか
「湯が出る」の記載のみです。

一般社団法人 温泉協会のHPには
「温泉の歴史(古代)」と題し
奈良・平安時代の温泉の事が書かれています。

その中では
温泉には様々な成分が含まれていて、
入浴すると病気が良くなったりしたことから
非常に神聖なものとして崇められていた
と言うことが出来ると思われます。
と書かれています。

確かに風土記の時代に
「神」や「薬」のワードが付くという事は
至極特別な事だったと想像できます。

玉造湯神社では
温泉が湧くのは神様のなせる業と考え、
オオクニヌシを温泉の神様として考える時は
「湯山主(ゆやまぬし)の大神」の
尊称で呼んでいます。

温泉は川のほとりで湧いているのですが
それは山にいらっしゃる神様が湧かせている
と考えたからでしょう。

前回のブログで、川の水源が山にあり
その神秘性から古代の人は神様の御業と
感じたのではないかと

私なりに考察しました。
それが熱いお湯が湧くなら
ことさらだったと思います。

現在では地図を流れる川は
斐伊川と載っていますが

当時はこの地域を流れる部分のみ
「漆仁(しつに)川」と
この土地の名称「漆仁」で
呼ばれていたそうです。

雲南市のHPに、2011年の市報に掲載された
記事があり、それによると

漆仁神社は以前、
湯村温泉の湯船山に鎮座していました。
祭神はオオナムチとスクナヒコナ。
江戸時代の「出雲神社巡拝記」には
『湯布称大明神』(ゆぶねだいみょうじん)
と称されています。
(市報うんなん2011年5月号)

湯村温泉には明治の終わり頃まで
土地の名前を冠する「漆仁神社」があり
それは湯船山の山頂にあったそうです。
・・・湯船山!!

詳しいことが知りたくて
雲南市役所に電話で聞いてみました。

雲南市情報政策課の栂さんという方が
調べてくださり、湯船山の場所の
地図を送ってくださいました。

頂いた地図をGOOGLEの航空写真に
当てはめてみると下記の通りです。

赤丸の部分が湯船山。
標高線で見ると280m前後の山。
温泉のすぐ後ろの山です。
もしかしたらこの山の
右手の山かもしれません。

玉造温泉では温泉の背後の山は「湯山」と
呼ばれていました。
また境内には摂社「湯姫大明神社」があり、
「湯船大明神」から転じたのでは!?という
説明が神社入り口に書いてあります。

湯船山がいつ頃からの名称か
解らないのですが、
「神の湯」「薬湯」に共通することは
山に温泉の神様、湯船大明神(湯山主)
が鎮座され、温泉という
神秘の恩恵を与えてくださる。
という事ではないでしょうか。

この場合の湯船の「船」は入れ物。
ヤマタノオロチを酔わせた強い酒の
入れ物も古事記には「酒船」とあります。
山は温泉を蓄える入れ物と考えたのでしょう。

昨年、実際に湯村温泉に行ってきました。

気になったのは「湯村温泉露天風呂野湯」。
野湯???

川の中にあります(^^;)

ネットで調べると24時間無料で入れる
露天風呂があるようです!
まさに古事記の時代そのままなのでは!
こちらです。

川の脇にあり、
石で囲まれているところが温泉です。
向こう側の湯船は気持ち温度が高く

手前はかなりぬる目、魚が泳いでいました。
解りにくいと思いますが
赤丸の中に魚がいます。

川の水位が上がれば水風呂に
なってしまうようで、
天候によっては入れない日も
あるようです。

水苔の生えた底はちょっと滑ります。
ポコポコとその底から昇る気泡と
水面に広がる波紋。
源泉が湧き出てくるのが解ります。

ゆっくりと1時間ほど半身浴してきました。
ぬる目のお湯はゆっくり浸かるのに
いい感じの温度。
気分は風土記時代。
私の前に先客が一人、
その後、
お父さんと小学生の男の子が二人。
ワイワイはしゃいで
入浴していきました(^^)

現代のように掘削して湯脈を掘り当てる
といった事が無かったと考えると
入れる温度に湧き出る温泉は
奇跡的だったと感じます。

川の流れを目の前に、
ぬる目のお湯に身を任せていると
山が温泉タンクに思えてきて
なるほど「湯船山」かと
言い得て妙だなと思えました。

言い忘れました。
脱衣所も壁もありませんので
空の下、全裸になるのがちょっと・・
という方は日が沈んだ夜、
暗くなってからの方が良いかも。

ただ、今はかなり冷えますので
全裸より覚悟がいるかも知れませんが(笑)

お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。

ではまたの機会に。
ご自愛くださいますように。

 

新ブランドについて◆

出雲の人は雨が降れば土地を清め、
風が吹けば厄を吹き払うといって
目には見えない存在を身近に感じ
大切にしています。

遠い昔から人々の生活と共にあった
出雲の薬草。
遠い昔からやさしく、
柔らかく湧き続けている玉造の温泉。

この土地の人たちは自然に感謝し、
生があることへの感謝を静かに宣って
繋いできました。

一日の終わりに、
自分の中のささやかな儀式のように、
明日に祈るように。

「リセット、癒し、整える」ことで
健やかに明日を迎えるためのプロダクトです。

 

◆おなじ風土のもとに織りなす文化が共鳴し循環することを目指して◆

化粧品は温泉水と自然由来の成分から製造。
出雲地方で生まれた文化が造り手と共に共鳴し
循環していくことを目指しています。

主成分は島根県産の真菰(まこも)、
やまもも、塩、そして日本古来の御守り
「勾玉」を継承している
めのや本店から湧き出ている玉造温泉水。

真菰はしめ縄や神事にも使われ、
「神が宿る草」と呼ばれており、
やまももはイザナミイザナギの
黄泉の国のくだりに登場。
神の名前を持つ果物と呼ばれていました。

いずれも出雲風土記に登場する薬草です。
古代出雲は医薬の国とも
いわれていたことからも、
古来より出雲の人にとって
薬草は身近な存在でした。

日本古来より伝わる薬草と
洗い浄めるという文化。
気持ちをリセットし、
心身を癒しながら
みずみずしい肌へと導きます。

この冬の発売を
どうぞ楽しみにお待ちください。

 

 

【新コスメにまつわる神話や風土の話】過去のブログは下記から

新コスメにまつわる神話や風土の話 その1  ~ 玉造温泉 ~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その2  ~古代出雲は医薬の国だった 稲羽の素兎編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その3  ~古代出雲は医薬の国だった ヤガミヒメ編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その4   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編①~

新コスメにまつわる神話や風土の話その5   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編②~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その6 ~伝説の医者がモデル?スクナヒコナ編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その7 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編②~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その8 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編③~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その9 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編④~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その10 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編⑤~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その11 ~出雲國風土記~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その12 ~出雲地方に見る荒神信仰(藁蛇)~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その13  ~神様の隠れ籠もる山  神奈備山~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その14  ~神様の隠れ籠もる山  神奈備山その2~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その15  ~ 古代の人々の想い 水編 ~

 

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