めのうさとえすこな散歩

古事記と出雲⑳ スサノヲの降臨 ~八岐大蛇退治その8 船通山~

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みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
ブログを更新しました。
しばしお付き合いください。

前回は草薙の剣の
出顕(しゅつけん)に関する
伝承地をご紹介しました。
今回は場所を奥出雲に移し、
また違った伝承が残る神蹟を
ご紹介します。

以前にブログでご紹介した山、
船通山を覚えていらっしゃいますか?

その時の回を貼っておきますね。
古事記と出雲⑬ ~スサノヲの降臨 八岐大蛇退治その1~

この⑬のブログの中に実は
草薙の剣に関するヒントがありました。
これです。

山頂にあるモニュメントです。
「雨叢雲劔出顕之地」
(あめのむらくものつるぎしゅつけんのち)
と書かれています。

雨叢雲劔とは草薙の剣の元の名前。
ヤマトタケルが火攻めの策略に遭った時、
この剣で草を薙ぎ払い難を逃れたことから
名前が草薙の剣に変わりました。

八岐大蛇の頭上には
いつも雲がかかっていたので
「天叢雲剣」と名付けられたと
日本書紀の説明にあるようです。

ですが不思議とヤマタノオロチの尾から
見つかった時は既に草薙の剣と
古事記には書かれています。

さて、スサノヲが降臨したと伝わる
この場所は、ヤマタノオロチの伝承も
残る山なのです。
今回は大蛇退治の視点で
この船通山を紹介していきます。

船通山。島根県仁多郡奥出雲町竹崎。

左側のぽっこりした峰が山頂かと思いきや
右側のなだらかな方が山頂です。

ぽっこりした峰は「家内住山」といい
ここに後のスサノヲの妃神、
クシナダとその家族が住んでいたと
伝わっています。

島根県奥出雲町と鳥取県日南町の
県境に位置する標高1,142mのこの山は。
島根県側から2箇所、
鳥取県側から2箇所の登山口があります。

斐伊川の源流がある鳥上滝登山口から登ると
途中に鳥上滝があります。

この場所はヤマタノオロチの
棲みかといわれています。

島根県側のもう一つの登山口の亀石登山口。
私、ずっと「亀石」という岩が
どこかにあるはず!とこの山に登るたび
あれかな?これかな?と
想像を馳せていたのですが

この登山道は「甕(かめ)石谷」と
呼ばれ、「甕」はオロチに飲ませた

強い酒を入れた石の甕が置かれた場所であり
スサノヲがヤマタノオロチを切った
場所でもあるのだそうです!

そしてこのもう一つの斐伊川の源流は
オロチの血で赤く染まり「赤川」と
呼ばれたのだとか。

という事は・・・
・スサノヲが天降りの際、この山に降臨。
・斐伊川源流に箸を見つける。
・家内住山で姫と老夫婦に出会う。
・向こうの谷にヤマタノオロチが棲む。
・家内住山に近い甕石谷に強い酒を入れた
 石甕を置きオロチを酔わせる。
・オロチ退治。
・川が血で赤く染まる。
・オロチの尾から神剣を見つける。
といった一連の流れの舞台が
船通山と
いうことです(゜0゜)

古代の人は
当時日本海に注ぐ大河、
斐伊川の源流を
特別な舞台と考えたのでしょうか!?

このブログで以前、ヤマタノオロチとは
いったい何だったのかに触れました。
古事記と出雲⑭ ~スサノヲの降臨 八岐大蛇退治その2~

天井川で暴れ川だった斐伊川。
この斐伊川がオロチと考えたのは
暴れ川の被害が大きい下流に見える考察かと
想像していましたが、
上流にもその元となる伝承があったのですね。
もしくは斐伊川がモデルと考えて
上流にもその元となる伝承が充てられたのか
定かではありませんが・・・

もう一つの由来の金属を精製する集団説。
これは船通山の裾野に足跡があります。
こちら。

棚田です。

これは「かんな流し」の跡。
(「かんな流し」住友金属HPより)

海外の製鉄も山を崩し、水でその土砂を流し
重い砂鉄が沈み採取する
といった方法はあったようです。
この採取法は山一つをすべて崩し、
水に流したそうです。

もちろん土地は荒れ
見るも無残に。

ただ日本が違っていたのは
その跡地を棚田に整地したこと。
船通山の裾野にはこの様な
棚田が広がっています。
この風景は海外には無く

その事情を知る来日者は
驚きを隠せないそうです。

鳥上滝登山口近くにたたら跡もあり
この辺りは製鉄が盛んだったようです。


写真は「鉧(けら)」。
たたらで作られた鉄の粗製品が残っています。

ヤマタノオロチの正体は
定かではありませんが
説の根拠はそこにしっかり有るように
改めて思えました。

お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。
またの機会に。
ご自愛くださいますように。

 

過去のブログは下記からどうぞ。

古事記と出雲① ~黄泉の国譚 比婆山その1~

古事記と出雲② ~黄泉の国譚 比婆山その2~

古事記と出雲③ ~黄泉の國譚 黄泉比良坂~

古事記と出雲④ ~黄泉の國譚 黄泉の穴~

古事記と出雲⑤ ~黄泉の國譚 出雲以外のイザナミ御陵 その1~

古事記と出雲⑥ ~黄泉の國譚 出雲以外のイザナミ御陵 その2~

古事記と出雲⑦ ~禊と三貴子の誕生 その1~

古事記と出雲⑧ ~禊と三貴子の誕生 その2~

古事記と出雲⑨ ~天岩戸隠れ アマテラスとスサノヲの誓約(うけい)~

古事記と出雲⑩ ~天の岩戸隠れ スサノヲの追放~

古事記と出雲⑪ ~天の岩戸隠れ スサノヲの追放 三種の神器~

古事記と出雲⑫ ~スサノヲの降臨 追放されたスサノヲ~

古事記と出雲⑬ ~スサノヲの降臨 八岐大蛇退治その1 箸拾いの地~

古事記と出雲⑭ ~スサノヲの降臨 八岐大蛇退治その2 ヤマタノオロチとは?

古事記と出雲⑮ ~スサノヲの降臨 八岐大蛇退治その3 伝承地「八頭」

古事記と出雲⑯ ~スサノヲの降臨 八岐大蛇退治その4 八塩折の酒~

古事記と出雲⑰ スサノヲの降臨 ~八岐大蛇退治その5 佐久佐女の森~

古事記と出雲⑱ スサノヲの降臨 ~八岐大蛇退治その6 酒船?酒壷?~

古事記と出雲⑲ スサノヲの降臨 ~八岐大蛇退治その7 雨叢雲剣出顕の地~

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