石の音、ときどき日常

新コスメにまつわる神話や風土の話 その17  ~築地松のある風景~

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出雲発 祈りをテーマとした
温泉水×和漢コスメ誕生。

この冬、めのやから新しく誕生する
コスメブランドについて、
出雲地方に伝わる神話や
まつわる風土をご紹介します。

岩手県の胆沢平野、富山県の砺波平野と並び
日本三大散居集落と呼ばれる出雲平野。
(または簸川平野)。

この出雲平野には独特な風貌の
「築地松(ついじまつ)」という
屋敷林が多く存在します。

今回はその築地松の
背景にある風土と信仰を

私なりに考察してみたいと思います。

起源は洪水対策 ⁉ 

さてさて。件の築地松(ついじまつ)。
出雲平野の景観を飾る風物詩と
言えるのではないかと思います。
皆様ご存知でしょうか?

まずは写真を。

出雲市から松江市方面へ農道を進むと、
田園地帯にこの独特な景観が
散在している風景、正に散居が
目に飛び込んできます。

家屋の北側や西側に松が植えられ
その天辺が見事に水平に剪定されています。

出雲市役所建築住宅課には
「築地松景観保全対策推進協議会」という
協議会があります。

この独特な散居景観の保全や築地松に関する
調査・研究を行う機関で
平成6年(1994年)発足されました。

というのも、
松くい虫の被害、市街地化や
生活習慣の変化、そして剪定の職人の
減少等によって築地松の
散居集落の景観は
消滅の危機に瀕してるそうです。

HPもあります。
貼っておきますね。

守っていきたい心のふるさと ついじまつ


「ついじまつ」のHPより写真をお借りしました。
散居の雰囲気がわかると思います。

こちらのHPによると
築地松の起源は定かで無いそうですが
郷村社会の成り立ちの頃とありますので
室町時代~江戸時代初頭から
続いているようです。

どのお宅も黒松が植えられ
見るからに風除けと見受けられますが
元々はこの地方の豪族が河川の洪水時に
浸水を防ぐため、屋敷の土地の高さを
数メートル高くしたうえ、
屋敷周りに土居(築地)を築いたそうです。

その土居を固めるため
水に強い樹木や竹を植えたのが
起源とあります。

なるほど、この場所は
江戸時代は寛永年間に起きた大洪水で
斐伊川が流れを変えた場所でもあります。

そう、近世の始めの頃は
斐伊川は西へ流れ
神門水海(かんどのみずうみ)と呼ばれる
内海に流れていました。

以前、GOOGLEさんの地図に加筆し
風土記の時代の斐伊川の流れを書き入れ
させて頂いたものです。

以前川だった場所に「川跡(かわと)」と
地名が残り斐伊川の当時を偲ばせます。
一畑電鉄で出雲市駅に乗り換える駅ですね♪

現代の斐伊川はこうです。

タタラ製鉄で切り崩された山の土石が
堆積して出雲平野を作ったともいわれます。
非常に地盤が緩かったかもしれません。

更にその上に土居を盛る訳ですので
補強は必須だったのではないでしょうか。

加えて冬の季節風の厳しい日本海側。
背が高く育ち、赤松に比べ
葉の密集度も高い黒松。
「男松」と呼ばれる黒松が主流なのは
そんな理由かもですね。

そして洪水のあった寛永といえば
家光の時代ですから江戸時代の始めの頃、
築地松の歴史は斐伊川が
流れを東に変える頃より先かもしれません。

やがて、灌漑により、川の氾濫は
以前ほどでなくなり、「防風」の意味が
強くなっていったかもしれません。
そして立派に剪定し、見栄えを良くと
様変わりしていったのではないでしょうか。

先程のHP「ついじまつ」によると
築地松の効用として、
①冬の季節風を防ぐ。
②斐伊川の氾濫から土地を守る。
③枝おろししたものを燃料として蓄える。
④火災の時、隣家への延焼を防ぐ。
⑤マテバシイの実や竹の子を食料の足しにする。
⑥家屋に風格を持たせる。

⑥は「効用」としては面白いな(^^)と
私、思うのですが
起源としては大事な要素ですね。

そして気になるのはこの平野の立地と
まつわる神社についてです。
この辺から私見が多くなります(^^;)

話は飛びますが、以前のブログ、
その11 ~出雲國風土記~の回で
意宇郡の地名由来のところで
国引き神話をご紹介しました。

出雲の国を作った神様が
狭く作ってしまったと
土地を縫い足さねばならないと
アチコチの土地に綱をつけて
引っ張って縫い足したのが
島根半島という広大な神話でした。

国引きされた時、
杵築の国と佐太の国の境目を
許豆の折絶(こずのおりたえ)と呼び
今でもその境目がはっきり解ると
ご紹介しました。
写真がその「許豆の折絶」です。

写真はいずもまがたまの里伝承館からの
眺めです。

折絶と散居集落の多く見られる地域を
GOOGLE さんの地図に入れてみました

海側から見て折絶の平地の向こう、
山と山が切れたその先に

散居集落が広がっています。

ちょうど集落から見て北西の方角。
冬の季節風が真正面から
進入する角度です。
しかも山と山の間を通る風は
その強さを増すのではないでしょうか。

風の強さを物語るように
今でも折絶の海側、海苔で有名な
十六島(うっぷるい)町には
風力発電施設があります。

この半島には26基の風車が乱立しています。

そしてその地域にある神社がこちら。
許豆神社。出雲市小津町92

2019年12月撮影。

この辺りには5つの許豆神社があるのですが
その内の2社が出雲國風土記の掲載社で
南宮、北宮と呼ばれています。

南宮のご祭神は風の男神と女神
風の神様夫婦が祀られています。

こちらだけなら
この辺りは風が強かった、くらいにしか
思わなかったかもしれません。

この十六島町と折絶の反対側にある山
旅伏山の9合目にある神社も
許豆神社と同じご祭神、
風の神様夫婦なのです。

都武自(つむじ)神社 出雲市国富町1


2018年5月撮影。

山の名前にもなっている「旅伏(たぶし)」。
全国にも「たぶし」の地名はある様で、
多分、他の土地も田園が
広がっているのではと想像します。

というのも、「田伏し」が由来のようで
稲作のための仮の住まいを建てた場所
という意味のようです。

「田仕事の寝床」の意味なのでしょう。

散居地区は田園が広がる稲作地帯。
旅伏の地名からも想像出来るように

稲作や豊穣の祈願が素直な印象です。
であれば、山の上に稲作の神、
「大歳神」や「御歳神」または
お稲荷さんをを祀る方が
しっくり来ます。

ですが、折絶の谷を挟むようにして
風の夫婦神がいらっしゃるという事は
稲作以前にきっと古代から風の脅威を
やわらげて欲しい古代の人達の
祈りがあったように思えます。

風と人々の共存。
過ぎたるは及ばざるが如し、
程よいものにと願う
その行方に2社の風神様の
神社の存在を感じました。

お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。

ではまたの機会に。
ご自愛くださいますように。

 

新ブランドについて◆

出雲の人は雨が降れば土地を清め、
風が吹けば厄を吹き払うといって
目には見えない存在を身近に感じ
大切にしています。

遠い昔から人々の生活と共にあった
出雲の薬草。
遠い昔からやさしく、
柔らかく湧き続けている玉造の温泉。

この土地の人たちは自然に感謝し、
生があることへの感謝を静かに宣って
繋いできました。

一日の終わりに、
自分の中のささやかな儀式のように、
明日に祈るように。

「リセット、癒し、整える」ことで
健やかに明日を迎えるためのプロダクトです。

 

◆おなじ風土のもとに織りなす文化が共鳴し循環することを目指して◆

化粧品は温泉水と自然由来の成分から製造。
出雲地方で生まれた文化が造り手と共に共鳴し
循環していくことを目指しています。

主成分は島根県産の真菰(まこも)、
やまもも、塩、そして日本古来の御守り
「勾玉」を継承している
めのや本店から湧き出ている玉造温泉水。

真菰はしめ縄や神事にも使われ、
「神が宿る草」と呼ばれており、
やまももはイザナミイザナギの
黄泉の国のくだりに登場。
神の名前を持つ果物と呼ばれていました。

いずれも出雲風土記に登場する薬草です。
古代出雲は医薬の国とも
いわれていたことからも、
古来より出雲の人にとって
薬草は身近な存在でした。

日本古来より伝わる薬草と
洗い浄めるという文化。
気持ちをリセットし、
心身を癒しながら
みずみずしい肌へと導きます。

この冬の発売を
どうぞ楽しみにお待ちください。

 

 

【新コスメにまつわる神話や風土の話】過去のブログは下記から

新コスメにまつわる神話や風土の話 その1  ~ 玉造温泉 ~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その2  ~古代出雲は医薬の国だった 稲羽の素兎編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その3  ~古代出雲は医薬の国だった ヤガミヒメ編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その4   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編①~

新コスメにまつわる神話や風土の話その5   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編②~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その6 ~伝説の医者がモデル?スクナヒコナ編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その7 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編②~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その8 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編③~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その9 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編④~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その10 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編⑤~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その11 ~出雲國風土記~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その12 ~出雲地方に見る荒神信仰(藁蛇)~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その13  ~神様の隠れ籠もる山  神奈備山~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その14  ~神様の隠れ籠もる山  神奈備山その2~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その15  ~ 古代の人々の想い 水編 ~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その16  ~風土記掲載の古湯を訪ねる~

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