出雲発 祈りをテーマとした
温泉水×和漢コスメ誕生。
この冬、めのやから新しく誕生する
コスメブランドについて、
出雲地方に伝わる神話や
まつわる風土をご紹介します。
神社の境内に五角柱の
石碑をみることがあります。
その多くは側面に五柱のご神名が
刻まれ祀られているようです。
これは「社日」という信仰で
西日本に多く見られるそうですが
ここ出雲にも多く見られます。
今回はこの「社日」を掘り下げてみます。
境内に立つ社日塔
さてさて件の「社日」。
元々は中国から入ってきた信仰の様です。
Wikipediaによると
社日(しゃにち)は、雑節の一つで、
産土神(生まれた土地の守護神)を祀る日。
と解説しています。
雑節とは二十四節気(太陽の一年の巡りを
24等分し季節を表す名称を付けたもの。
大寒や立春などがあります。)や
五節句(端午の節句や七夕など)の他に
季節の移り変わりを知るために設けられた
暦上の特別な日です。
「節分」や「八十八夜」も雑節の一つです。
産土神(うぶすながみ)はその人が
産まれた土地の守護神です。
雑節の中に「社日」があります。
これは春分の日と秋分の日にもっとも近い
「戊」の日の事。
「戊」は「十干」の一つです。
「十干」とは
甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の
10の要素からなる集合の事。
この10の要素は陰陽五行思想から来ています。
まず「五行説」とは万物は5つの元素からなる
という説で、対する相手を
活性させる陽の関係と
弱体させる陰の関係があります。
甲乙丙丁戊己庚辛壬癸。
コウ・オツ・ヘイ・テイ・・・と読めますが
五種類の構成元素「木火土金水」と
陰陽を組み合わせ、
陽を「兄(え)」、陰を「弟(と)」と
読み、下記の様にも読みます。
甲(コウ/きのえ) →木の兄(陽)
乙(オツ/きのと) →木の弟(陰)
丙(ヘイ/ひのえ) →火の兄(陽)
丁(テイ/ひのと) →火の弟(陰)
戊(ボ/つちのえ) →土の兄(陽)
己(キ/つちのと) →土の弟(陰)
庚(コウ/かのえ) →金の兄(陽)
辛(シン/かのと) →金の弟(陰)
壬(ジン/みずのえ)→水の兄(陽)
癸(キ/みずのと) →水の弟(陰)
表にすると下記の通りです。
甲 | 乙 | 丙 | 丁 | 戊 | 己 | 庚 | 辛 | 壬 | 癸 | |
五行 | 木(き) | 木(き) | 火(ひ) | 火(ひ) | 土(つち) | 土(つち) | 金(か) | 金(か) | 水(みず) | 水(みず) |
陰陽 | 兄(え) | 弟(と) | 兄(え) | 弟(と) | 兄(え) | 弟(と) | 兄(え) | 弟(と) | 兄(え) | 弟(と) |
話を先の「社日」に戻します。
社日は春分、秋分に一番近い
戊(つちのえ)の日。
つまりは「土の陽」の日です。
この日は土の神様、土地の神様を祀る日。
元々中国で「社」は土の神様の事であり
その社を祀るという事です。
また春の社日は「春社(しゅんしゃ)」、
秋は「秋社(しゅうしゃ)」といわれ
春は豊穣を願い、
秋は収穫に感謝していたようです。
この風習が日本に入り、日本の田の神信仰と
習合して行きました。
春社は田植えの時季、
秋社は稲刈りの時季と重なり、
春社は土地神様、または稲作の神様が
いらっしゃる日。
秋社はお帰りになる日といわれ
神様を祀る日なので、この日は土に触れては
行けない日と伝わる所もあるようです。
説明が長くなりました(^^;)
では佐太神社にある社日塔を見てみましょう。
松江市鹿島町佐陀宮内73
三殿並立のお社の向かって左の方、
南末社の傍ら、イザナミの御陵と伝わる
母儀人基社の入り口手前にあります。
社日塔に一般的によく見る五柱の神々です。
その他の神社にも。
朝山神社 出雲市朝山町1404
2019年11月撮影。
コチラは塔と柵の経年が違いますね。
柵を新しく作った様です。
場所も様々でコチラは玉垣の中に。
山代神社 松江市古志原6-73。
コチラは境内の摂社末社と一緒に。
御津神社 出雲市三津町1593-1
ですが必ずしもこの五柱が
刻まれている訳では無く
微妙に違っている場合もあるのだとか。
また、全く違う場合もあるようです。
例えばコチラ。
比婆山 島根県安来市伯太町横屋。
山頂の比婆山神社奥宮へ向かう
山道(参道)の途中に案内板があります。
案内に従い行ってみると・・・
大山を望む広場にひっそり佇む社日塔。
御神名は見当たりません。
2020年8月撮影。
社日は前述の様に土の神様や土地の神様。
多分、五行思想の流れから五角柱になり、
いつぞからかアマテラスを正面に
日本国土の地主神のオオナムチ
(オオクニヌシ)や食物・穀物神の
ウカノミタマ、土や肥料の女神、
ハニヤスヒメなど関わりの深い神々が
5面に刻まれていったのがスタンダードに
なっていったのではないでしょうか!?
対して古来の様式でお祀りされている
神社もあります。
六所神社 松江市大草町496。
2018年3月17日撮影。
2018年の春社の日の様子です。
神前にお神酒とご洗米が
振る舞われていました。
コチラの社日塔は自然石に近い状態で
五角柱の様ですが成型されたものではなく、
偶然五角柱になっている様にも見え
ご神名も刻まれていません。
六所神社の宮司さんが
教えてくださったのですが
江戸時代の古記録・古文書にも
「社日大神」と書かれており祝詞もその様に
奏上されるのだそうです。
五角柱や神名の刻まれた社日塔は
新しい仕様なのですね。
中国から伝わった陰陽五行の考えが
今では日本にすっかり馴染んだ
祭祀になっているのではないでしょうか。
社日塔は全国にあるようです。
もしかしたら皆さんのお住いの
土地にある神社にも境内のどこかに
祀られているかもしれませんね。
ちなみに今年の春社は3月21日(日)、
秋社は9月27日(月)です。
様々な祈りの形の一つ「社日」をご紹介しました。
お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。
ではまたの機会に。
ご自愛くださいますように。
◆新ブランドについて◆
出雲の人は雨が降れば土地を清め、
風が吹けば厄を吹き払うといって
目には見えない存在を身近に感じ
大切にしています。
遠い昔から人々の生活と共にあった
出雲の薬草。
遠い昔からやさしく、
柔らかく湧き続けている玉造の温泉。
この土地の人たちは自然に感謝し、
生があることへの感謝を静かに宣って
繋いできました。
一日の終わりに、
自分の中のささやかな儀式のように、
明日に祈るように。
「リセット、癒し、整える」ことで
健やかに明日を迎えるためのプロダクトです。
◆おなじ風土のもとに織りなす文化が共鳴し循環することを目指して◆
化粧品は温泉水と自然由来の成分から製造。
出雲地方で生まれた文化が造り手と共に共鳴し
循環していくことを目指しています。
主成分は島根県産の真菰(まこも)、
やまもも、塩、そして日本古来の御守り
「勾玉」を継承している
めのや本店から湧き出ている玉造温泉水。
真菰はしめ縄や神事にも使われ、
「神が宿る草」と呼ばれており、
やまももはイザナミイザナギの
黄泉の国のくだりに登場。
神の名前を持つ果物と呼ばれていました。
いずれも出雲風土記に登場する薬草です。
古代出雲は医薬の国とも
いわれていたことからも、
古来より出雲の人にとって
薬草は身近な存在でした。
日本古来より伝わる薬草と
洗い浄めるという文化。
気持ちをリセットし、
心身を癒しながら
みずみずしい肌へと導きます。
この冬の発売を
どうぞ楽しみにお待ちください。
【新コスメにまつわる神話や風土の話】過去のブログは下記から
新コスメにまつわる神話や風土の話 その2 ~古代出雲は医薬の国だった 稲羽の素兎編~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その3 ~古代出雲は医薬の国だった ヤガミヒメ編~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その4 ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編①~
新コスメにまつわる神話や風土の話その5 ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編②~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その6 ~伝説の医者がモデル?スクナヒコナ編~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その7 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編②~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その8 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編③~
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新コスメにまつわる神話や風土の話 その10 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編⑤~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その11 ~出雲國風土記~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その12 ~出雲地方に見る荒神信仰(藁蛇)~
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