めのうさとえすこな散歩

古事記と出雲⑭ ~スサノヲの降臨 八岐大蛇退治その2 ヤマタノオロチとは?~

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みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
ブログを更新しました。
しばしお付き合いください。

 

前回から八岐大蛇退治編が
スタートしました。
ストーリーを進める前に
いったい八岐大蛇とは何なのか?
ちょっとご紹介したいと思います。

 

その正体は暴れ川だった説!

古事記でスサノヲが教えてもらった
八岐大蛇の説明はこうでした。
「目はホオズキの様に赤く
体は一つですが頭は八つ、尾も八つ
体には苔や桧や杉が生え
体の長さは谷を八つ尾根を八つ
渡ります。
そして腹は常に血でただれています。」

・・・怪獣ですね(^^;)
本当に怪獣がいたのでしょうか?

いたのかもしれませんが
何かを暗に表現したと考える方が
やはり素直だと思います。

では何を?

ご存じの方も多いと思いますが
「斐伊川」ではないかというのが
よく耳にする説ですね。

実際、斐伊川の川からの景色がこちら。

オロチを川に例えイメージしてみると
赤みを帯びた流れ、

いくつもの支流に分かれ
長い距離を流れる大河。
といった感じでしょうか。

斐伊川は川底は荒い砂で
赤みを帯びています。

また、川床が水面に現れると
何やらうごめく様に
見えなくもありません。

実際、斐伊川は天井川で氾濫が
頻繁に起きたようです。

今は洪水に備え
神戸川に水を送る「放水路」が
整備されています。

※島根県HPから引用

この暴れ川の灌漑整備を
スサノヲが行った(指揮した)、これが
ヤマタノオロチ退治だというワケです。

ここで疑問が浮かびます。

古事記にはヤマタノオロチは
「高志(こし)のヤマタノオロチ」と
書かれているからです。

「高志」?
これは「越」の事で
現在の福井~富山県辺りといわれています。

実は出雲にも「古志町」という地名があり
「風土記には河川工事に高志の国のものが
来て堤を作った。その彼らが住んでいた所」
と書かれています。
ですので「高志」は地名で間違いないのでは
と推測されます。

福井~富山辺りといえば
福井県を流れる「九頭竜川」。
「8」と「9」で数違い?と
思ってしまうかもしれませんが
股が8つあるとすれば
首は9本という事になります。
手のひらのイラストを見てくださると
お解りになると思います。

手の場合、股が4つで指が5本ですね。
という事は股が8つですと首は9本です。

そんな感じでヤマタノオロチ=九頭竜川!
と何か共通性を探しましたら
九頭竜川の名前の由来は
福井の地誌にあるようで
889年6月からこの名で呼ばれ始めたと
記載があるようです。
古事記より170年以上後という事。
ヤマタノオロチと九頭龍は
イコールでは無いようですね(^^;)

私としては「古志」本当に地名なのかな?と
疑問に思っていたりします。
しかし地名でなければ何か?
という疑問に対して
答えの見つからない状況です。(T_T)

その正体は山を崩し金属を精製する集団だった説

また別の説があります。
これは奥出雲町の伊賀多氣神社の
略記に書かれています。
伊賀多氣(いがたけ)神社
仁多郡奥出雲町横田1278

ご祭神はイソタケル。
そして父神のスサノヲと
オオナムチ(オオクニヌシ)が
祀られています。

参道の神社の略記に
次のように書いてあります。

(イソタケルは)父神(スサノヲ)
共に簸乃川上にのぼられ、

稲田の里にて
稲田の地頭・脚摩乳(あしなづ)、

妻の手摩乳(てなづち)より
「オロチ」の被害を聞かれ、
父神(スサノヲ)と共に
鳥髪山(船通山)に登られ、

オロチ族の鉄穴(かんな)流し
(鉄の原料である砂鉄を採るため
山を崩して流す)のため
四方の山々が禿げ山となっており、
これでは雨期に洪水となり人々が
難渋(なんじゅう)するので、
命が、父神はオロチ族に
斬様なことをしないよう直接談判
して下さい(オロチ退治)。
私は鳥髪山から
乾(いぬい)の方角に當る地にとどまり、
住民と共に樹木の苗を育て荒れ山に
植樹して治山治水を行いますと申された。
(参道略記より抜粋。黒字は加筆)

山を崩しているオロチ族にかんな流しを
止めさせるのとそのアフターフォローを
「オロチ退治」としています。
ですが古事記との違いは
その指揮を執ったのは
スサノヲの御子神イソタケル。
イソタケルは古事記にその名前の
登場しない神様です。

かんな流しとは山を崩し、
引いた川にその土砂を流し
重い砂鉄が流されず沈みそれを採取する
といった方法で、どんどん山を崩しました。
またタタラに必要な木炭を作るため
山の木々はこれもまた
どんどん伐採されていったそうです。
山崩れや鉄砲水を誘発したんでしょう。

こちらの神社の拝殿に以前は
古事記の本が置いてあり、
大蛇退治の所に紙が充てられ
ストーリが略記の内容に
書き換えられていたのですが
いつからか無くなってしまいました(^^;

漫画家の水木しげる氏の
「水木しげるの古代出雲」という
角川文庫から出版されている
古事記のマンガには
「タタラ族」という製鉄を営む集団の
守り神としてヤマタノオロチが登場し
スサノヲがオロチを退治することによって
一心同体のタタラ族が滅ぶといった
マンガチックな紹介をしています。
その後で水木氏は銅と鉄を大量生産した
スサノヲが出雲の初代王となり・・・と
解説をしています。

この当時、鉄は農具にと
全国各地の豪族は喉から手が出るほど
欲しがったと加えています。
焼畑農法から水稲農法への転換期だったと
考えられ、鉄製の農具を使える所は
収穫量も違ったのでしょうね。

その他にも斐伊川に特定せず
「自然神」と唱える教授の講演会も
聴講したことがあります。
「諸説あり」といった感じでしょうか?

しつこいようですが、
ホントにいたかもしれませんしね(^^)

今回はヤマタノオロチのその正体とは?
伝わる2つの説をご紹介しました。

お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。
またの機会に。
ご自愛下さいますように。

 

過去のブログは下記からどうぞ。

古事記と出雲① ~黄泉の国譚 比婆山その1~

古事記と出雲② ~黄泉の国譚 比婆山その2~

古事記と出雲③ ~黄泉の國譚 黄泉比良坂~

古事記と出雲④ ~黄泉の國譚 黄泉の穴~

古事記と出雲⑤ ~黄泉の國譚 出雲以外のイザナミ御陵 その1~

古事記と出雲⑥ ~黄泉の國譚 出雲以外のイザナミ御陵 その2~

古事記と出雲⑦ ~禊と三貴子の誕生 その1~

古事記と出雲⑧ ~禊と三貴子の誕生 その2~

古事記と出雲⑨ ~天岩戸隠れ アマテラスとスサノヲの誓約(うけい)~

古事記と出雲⑩ ~天の岩戸隠れ スサノヲの追放~

古事記と出雲⑪ ~天の岩戸隠れ スサノヲの追放 三種の神器~

古事記と出雲⑫ ~スサノヲの降臨 追放されたスサノヲ~

古事記と出雲⑬ ~スサノヲの降臨 八岐大蛇退治その1 箸拾いの地~

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