めのうさとえすこな散歩

古事記と出雲㊽ 大国主命⑬ ~ オオクニヌシの根の国訪問 スセリヒメとの出会い 編 ~

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みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
ブログを更新しました。
しばしお付き合いください。

 

前回は八十神からまたもや
追いかけられるオオクニヌシの話でした。

さてさて。今回は
古事記のストーリーを進めて行きます。

オオヤビコ(イソタケル)から
根の国のスサノヲを頼るように言われた
オオクニヌシは言われた通り
根の国(根の堅州国)へ向かいます。

スサノヲの元へ着いたオオクニヌシを
出迎えたのはスサノヲの娘神の
スセリヒメでした。

二神は目と目を合わせた初見で
お互い惹かれ合い結ばれます。
キラキラハートマーク

そしてスセリヒメは父神の
スサノヲの元に戻り、こう言います。
「大変麗しい神がいらっしゃいました。」
スサノヲは表に出て、オオクニヌシを見て
娘のスセリに
こう告げます。
「これはアシハラノシコヲという神だ。」と。
そして住まいに招き入れます。
とまあ、このあたりまで。

後のオオクニヌシの正妻となる
スセリヒメの登場です。
ひと目で恋に落ちる二神。
あっという間に
夫婦になってしまいました。
スセリヒメの名前はその事を
裏付けるかの様な名前といわれています。

古事記伝で著者本居宣長は
【 スセリ=進む 】と解説しています。
つまり親から決められたり
勧められる婚姻ではなく、
自ら積極的に進み出て
夫に嫁ぐヒメであるという名だと。
また、「祓い」と関連した考え方もあると
述べていますが、これはまたの機会に。

スサノヲはオオクニヌシを知っていたのか
「アシハラノシコヲだ」と
娘に教える訳ですが、原文ですと
「葦原色許男」と字が充てられています。
古事記のオオクニヌシ登場の際、
5つの名前があると書かれていた
その3番めに出てきた名前です。

この字はあくまで「音」ですので、
漢字自体に意味がありません。
「葦原」は住んでいる所。
「色許男」は「屈強な男」という意味です。
よく「シコヲ」の「シコ」は
「醜(しこ)」=「醜い(みにくい)」
の字が充てられオオクニヌシは
見た目が良くない男神と
誤解してしまいそうですが、
お相撲さんの名前「四股名」も元々は
「醜名」と書いたそうです。
「屈強な名前」「逞しい名前」の意味です。
お相撲さん・力士のイラスト

もしかしたらスサノヲは、名前として
「アシハラノシコヲ」と言ったのでは無く
「葦原の国から逞しい男が来たな。」と
思ったことを口にしたのかもしれませんね。

それでは本日はスセリヒメにまつわる
神蹟や神社をご紹介していきます。

出雲國風土記にスセリヒメは
「ワカスセリヒメのみこと」の名前で
「滑狭郷(なめさのさと)」の
地名由来の項に登場します。
関わりの深い神蹟がこちら。
岩坪(いわつぼ) 出雲市東神西町。

過去に新コスメにまつわる神話や風土の話で
雨乞いの神蹟と紹介させて頂きました。

神代の時代は一夫多妻だった訳ですが
ご存知の通り、オオクニヌシには多くの
妃神がいらっしゃり、当時は通い婚でした。
妃神を各地に住まわせ、夫は妻の元へ
足を運んだのですね。
これを「妻問い」といいます。

この岩坪はスセリの元へ通う
道すがらにあったようです。
オオクニヌシはこの川底の岩肌を目にし
「滑らかな岩だ。」と仰った事が
「滑狭郷(なめさのさと)」の

地名由来として出雲國風土記に
書かれています。

岩坪で見つけたアメンボとミズスマシ。
前回訪れた時はなんと
マツモムシが泳いでました!

2016年6月撮影。

大きな穴が目立つ「岩坪」は
スセリヒメが産湯を使ったと伝わり
出生場所がこの地である事を
物語っています。
現在はこの川の傍らに祠、岩坪大明神が
昔を偲ぶように建っています。

この川は九景川(くけがわ)と呼ばれ
出雲國風土記にはこの近くに、字違いの
「なめさ神社」が2社あったことが
書かれています。
現在はこの近くの場所に勧請されています。
那賣佐(なめさ)神社 出雲市東神西町720

ご祭神は
アシハラノシコヲとスセリヒメ。
夫婦で祀られています。
アシハラノシコヲの字は
古事記とは違い「葦原醜男命」の

字が充てられているようです。

御神紋は二重亀甲に「髙」の文字。
「はしごだか」と呼ばれる「高」の
異体字ですね。

なぜだろうと調べましたら
この社殿のある山が高倉山。
江戸時代の地誌、雲陽誌には
「高倉明神」という社名で俗に
「岩坪明神」と呼ぶと
記載されているようです。

山頂は城跡で神西湖が眼下に
見渡せるロケーションでした。

スセリヒメ出生伝承の残る出雲市東神西町。
あ、今回は「風土記と出雲」だったかも!?

過去に岩坪と那賣佐(なめさ)神社を
紹介したブログのリンクを貼っておきます。
よろしかったら合わせてどうぞ。

新コスメにまつわる神話や風土の話 その39

次回もスセリヒメを祀る神社を
ご紹介させて頂きます。

 

お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。
またの機会に。
ご自愛くださいますように。

 

大国主命編 過去のブログはこちら

古事記と出雲㊱ 大国主命① ~ その出生地はどこか?~

古事記と出雲㊲ 大国主命② ~ オオクニヌシのお爺さんお婆さん 長浜神社編 ~

古事記と出雲㊳ 大国主命③ ~ オオクニヌシのお父さん 日御碕神社 編 ~

古事記と出雲㊴ 大国主命④ ~ 稲羽の素兎 白兎神社 編 ~

古事記と出雲㊵ 大国主命⑤ ~ 稲羽の素兎 白兎海岸 編 ~

古事記と出雲㊶ 大国主命⑥ ~ ヤガミヒメの故郷 賣沼神社 編 ~

古事記と出雲㊷ 大国主命⑦ ~ オオクニヌシの受難その1 赤猪岩神社 ~

古事記と出雲㊸ 大国主命⑧ ~ オオクニヌシの受難その2 赤猪石・赤猪神社跡(元宮) ~

古事記と出雲㊹ 大国主命⑨ ~ オオクニヌシの甦り 清水井 清水川神社 ~

古事記と出雲㊺ 大国主命⑩ ~ オオクニヌシの受難その3 大石見神社 編 ~

古事記と出雲㊻ 大国主命⑪ ~ 救世主 オオヤビコはスサノヲの御子神? ~

古事記と出雲㊼ 大国主命⑫ ~ イソタケルを祀る「韓国伊太氐神社」の不思議 編 ~

 

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