石の音、ときどき日常

新コスメにまつわる神話や風土の話 その20 ~ 熊野大社 元宮 ~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

出雲発 祈りをテーマとした
温泉水×和漢コスメ誕生。

この冬、めのやから新しく誕生する
コスメブランドについて、
出雲地方に伝わる神話や
まつわる風土をご紹介します。

神社の中には「奥宮」または
「元宮」といわれる
現在の社殿が建つ前の
祈りの場所を持つ神社があります。

神社が社殿を建立し
祈りを捧げる場所になる以前は
山や滝、山中にある巨石などが

神様が降臨した場所、宿る場所として
神聖視されました。

やがて、日常的な祈りの場所として
平地に社殿が建立され、
里宮と呼ばれるようになります。

今回は熊野大社の元宮をご紹介します。

 

神様が降臨された磐座(いわくら)。

さてさて。
件の熊野大社。
出雲大社(杵築大社)と並び
出雲国一宮です。

出雲國風土記の意宇郡の神社の記載の
筆頭にあり、出雲大社と熊野大社の二社が
この当時「大社」と呼ばれていました。
特別な神社なんですね。

風土記の意宇郡の山野の記述に
「熊野山」という山があり
「大神の社が鎮座」とあります。

熊野大社社伝にも頂上付近の磐座が
本来の鎮座地で古代末あるいは
中世に山の麗に遷座したとあります。

熊野山は現在は「天宮山」と呼ばれ
神仏習合の影響でしょうか、
「天狗山」の文字も目にする事があります。
この601mの山の9合目に神様が宿られる岩、

磐座があります。

熊野大神の降臨の場所と伝わり、
現在も5月の第四日曜日に祭祀が行われます。
残念な事に山に熊が出没した事と、
ハイキングのつもりで元宮へ行かれ、
帰って来れなくなり
社務所に電話が入るといった

事が何件かあったそうで、
2019年より「遥拝」といった形式の
祭祀になってしまいました。
今回は2018年に参列した時の様子を
ご紹介します。

当日、随神門脇に
登拝者名簿が用意されています。
これは帰ってきた時の確認にも
使われますので、ご迷惑のかからないように
ちゃんと書きます(^^;)

9:30。
修祓の祝詞で
清められます。
宮司さまからお言葉を頂き、
神社が用意してくださった
ジャンボタクシーや自家用車で
登山口まで移動します。

登拝者はその出で立ちや持ち物から
かなりの登山上級者であろう方から
そうでなさそうな方まで様々です。

季節は新緑も終わり、
緑が濃くなっていく頃、
本来は草が茂っているであろう登山道は
氏子の方々のお陰でキレイに
整備されていますね。


一週間前に氏子青年部の方が
草刈りをされたそうです。

途中、湧き水を汲みます。

一時間ほどでしょうか、
斎場に到着しました。

小さなスキー場の様な斜面の上に
磐座が鎮座されています。

神官は先に登られ祭服に
着替えられていました。
神饌も既に用意が済んでいます。

開祭。
まずは神楽。
呼応するかのように
ウグイスの鳴き声が聴こえてきました。

祓いの祝詞と祭祀の祝詞が奏上されます。

玉串拝礼。

祭祀が滞りなく終わりました。
ここから山頂を目指し
食事を取ります。
私は途中汲んだ水を沸かしカップ麺と
コーヒーを頂いたら皆さんより早く
磐座を目指します。

先の斜面は中々に急ですので
登山道途中から見当を付けて
クマザサのヤブに入っていきます。

クマザサに服が触れると白くなるのですが
お構いなしです(^^;)

磐座です。

降臨された神様は食物神としてのスサノヲ。
磐座は幾つかの巨石が横に
並ぶように鎮座しています。

注連縄が新調されていますね。

気になるのは向かって一番左の岩。

赤い斑点のような模様があり、
私は勝手にこの模様を
ヤマタノオロチの
返り血と言っています(笑)^^b

磐座から祭祀を行った斎場を見下ろすと

スキーならちょっとした上級者コースです。

名残惜しいですが
しっかり磐座と挨拶を済ませ下山します。

登山口に待機していたジャンボタクシーで
熊野大社へ。
着いたら記帳した名簿に印を付け、
下山を知らせます。

この日の予想最高気温は29℃
結構な汗をかきました。

社務所ではお茶とお菓子を用意してくださり
ご相伴に預かります。

宮司さんも同席され、
お話を聞くことが出来ました。

その昔は先程の磐座の前で祭祀を
行っていたそうで、
そのための登山道があったそうです。

遥拝の祭祀に変わり、
少し残念ではありますが
神社側も参拝者の安全を鑑みれば
やむを得ないのかと思います。
山には登れ無いわけではありませんので
迷惑がかからないような装備と
自己責任の上、
登山を楽しんではと思います。

ちなみに2019年の遥拝所からの
祭祀の様子の写真がこちら。


元々はお神輿を置いた台だそうです。
今は担ぎ手が足りず、お神輿の神事も
出来なくなってしまったのだとか・・・

以前、このシリーズのブログで
「水編」を
ご紹介した時、
意宇川の源流で登場したのが
天宮山です。

水源といい、巨石といい
特別な山だったことがわかります。

やがて里宮という考えの元、
麓に社殿を建立し、中世以降
紀州の熊野信仰が入ってくると

アマテラスを祀る下宮、
熊野権現を祀る
上の宮と
上下二社の体制となったと
いわれています。

明治に施行された一村一社制に従い
十数社が合祀され、下の宮の敷地に
現在の熊野大社はあります。

熊野大社境内にある
荒神さんのお社に集まる石像を見れば
その足跡を感じることが出来ます。


このお社に遷座された時に
それぞれの祠も集まってきたのかと。

そのルーツが山にある神社は
珍しくありません。
元宮に足を運ぶと
当時の人達の祈りがそこにあった事や
それにふさわしい場所だと感じずには
いられなかったりします。

お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。

ではまたの機会に。
ご自愛くださいますように。

 

新ブランドについて◆

出雲の人は雨が降れば土地を清め、
風が吹けば厄を吹き払うといって
目には見えない存在を身近に感じ
大切にしています。

遠い昔から人々の生活と共にあった
出雲の薬草。
遠い昔からやさしく、
柔らかく湧き続けている玉造の温泉。

この土地の人たちは自然に感謝し、
生があることへの感謝を静かに宣って
繋いできました。

一日の終わりに、
自分の中のささやかな儀式のように、
明日に祈るように。

「リセット、癒し、整える」ことで
健やかに明日を迎えるためのプロダクトです。

 

◆おなじ風土のもとに織りなす文化が共鳴し循環することを目指して◆

化粧品は温泉水と自然由来の成分から製造。
出雲地方で生まれた文化が造り手と共に共鳴し
循環していくことを目指しています。

主成分は島根県産の真菰(まこも)、
やまもも、塩、そして日本古来の御守り
「勾玉」を継承している
めのや本店から湧き出ている玉造温泉水。

真菰はしめ縄や神事にも使われ、
「神が宿る草」と呼ばれており、
やまももはイザナミイザナギの
黄泉の国のくだりに登場。
神の名前を持つ果物と呼ばれていました。

いずれも出雲風土記に登場する薬草です。
古代出雲は医薬の国とも
いわれていたことからも、
古来より出雲の人にとって
薬草は身近な存在でした。

日本古来より伝わる薬草と
洗い浄めるという文化。
気持ちをリセットし、
心身を癒しながら
みずみずしい肌へと導きます。

この冬の発売を
どうぞ楽しみにお待ちください。

 

 

【新コスメにまつわる神話や風土の話】過去のブログは下記から

新コスメにまつわる神話や風土の話 その1  ~ 玉造温泉 ~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その2  ~古代出雲は医薬の国だった 稲羽の素兎編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その3  ~古代出雲は医薬の国だった ヤガミヒメ編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その4   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編①~

新コスメにまつわる神話や風土の話その5   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編②~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その6 ~伝説の医者がモデル?スクナヒコナ編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その7 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編②~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その8 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編③~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その9 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編④~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その10 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編⑤~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その11 ~出雲國風土記~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その12 ~出雲地方に見る荒神信仰(藁蛇)~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その13  ~神様の隠れ籠もる山  神奈備山~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その14  ~神様の隠れ籠もる山  神奈備山その2~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その15  ~ 古代の人々の想い 水編 ~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その16  ~風土記掲載の古湯を訪ねる~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その17  ~築地松のある風景~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その18  ~ 真名井の清水 ~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加