めのうさとえすこな散歩

古事記と出雲52 大国主命⑰ ~ 大国主命の使いはウサギ?ネズミ? ~ 

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みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
ブログを更新しました。
しばしお付き合いください。

 

前回はスセリヒメゆかりの神社、
唐王神社の後編をお送りしました。

スサノヲのオオクニヌシに対する試練は
まだ続きがあります。
古事記のストーリーを進めて行きましょう。

蛇の部屋、ムカデと蜂の部屋で寝て
平然と出てきたオオクニヌシ。
スサノヲは今度は野原に連れ出し、
鏑矢(かぶらや→飛ぶと音が出る矢)を放ち
オオクニヌシに取ってくるように言います。

野に矢を探しに入るオオクニヌシ。
スサノヲは
火をつけ野を焼き払います。

火に囲まれ出口がなく、絶体絶命の
オオクニヌシに救いの手を差し伸べたのは
ネズミでした。
バンザイをするねずみのイラスト(子年)

「内側は広いよ、外側はすぼまっているよ」
(内はほらほら 外はすぶすぶ。)
と教えてくれたネズミ。
オオクニヌシは足元を踏みつけます。
足元の下には広い空間がありました。
地中に落ちたオオクニヌシは
火が通り過ぎるまで身を隠します。

その時、スサノヲが放った矢をネズミと
そのネズミの子もみんなで咥えて
オオクニヌシに
矢を運んできたのでした。

その頃、スセリはオオクニヌシがすでに
命尽きたと思い、お葬式に使う葬具を手に
野に立ち、泣いていました。
スサノヲもオオクニヌシは死んだと思い
野に立っていました。

ですが、オオクニヌシは矢を手に
スサノヲの前に現れました。

と一旦ここで区切らせて頂きます。
スサノヲは本当に殺すつもりで
火をつけたのではなく、
オオクニヌシの勇気と知恵を試した、と
古事記伝の中で宣長は語っています。
火が消えても現れず、死んだと思い
野に立っていたのは、スサノヲとしても
オオクニヌシが試練を
乗り越えられなかったと思い込み
残念だと佇んでいたのかもしれません。

現代語訳の多くがネズミ親子がみんなで
矢を運んできた場面を「子ネズミが矢の羽を
かじって食べてしまった」と
ちょっと笑えるエピソードに訳しています。
この部分は古事記には「その矢の羽は、
ネズミの子どもみな食いたりき」とあります。
宣長は「矢の羽を子ネズミ含めみんなが、
咥えて運んできた。」と解釈しています。
小さなネズミまでもがオオクニヌシの
味方だったという強調でしょうか。

出雲大社を見てみると、
境内にはネズミは見当たらず

ウサギの石像が点在しています。
出雲大社HPには「46羽」と書いてあります。
以前ガイドの方がおっしゃっていたのですが
これらの石像の起源は、
出雲大社の奨学金で
お世話になった方が、
ウサギの石像を
奉納したのが始まり
なのだとか。

相撲の神様といわれるノミノスクネを祀る
野見宿禰神社前のウサギ。
マワシを巻いてますね(^^)b
※2015年4月撮影。

本殿後ろのウサギ。
※2018年1月撮影。


神楽殿の奥にはリアルなウサギもいます。
※2017年11月撮影。

ウサギの石像は少しずつ増えている様です。
稲羽の素兎のくだりもありますので
関わりも深く、古事記では「兎神」と
書かれていますのでフィーチャーされるのは
当然かと思いますが、

ネズミはオオクニヌシの命の恩人。
ネズミを推す神社といえば
私は2社しか参拝の経験が無いようです。

出雲市の隣、大田市にある
八千矛山大国主神社の拝殿の鬼瓦の所には
ネズミが設えてあります。


八千矛山大国主神社 島根県大田市仁摩町大国
※2019年7月撮影。

宮司さんに伺ったところ、この近くに住む
宮大工の方が社殿を修造された際、
全ておまかせしたとおしゃっていました。

また、県外ですと、宮崎県にある
日向国一宮の
都農(つの)神社の本殿の
蟇股(かえるまた)に
ネズミが彫刻されていました。


都農神社 宮崎県児湯郡都農町。
※2018年10月撮影。

御祭神は大己貴命(オオナムチノミコト)。
オオクヌシの別名です。

本居宣長は、「ネズミは人に害を与えるが
家の中にいることは「吉」、
外にいることは「凶」とする。」と
古事記伝に書いています。
『「火災が生じる家からは、予知能力を持った
ネズミが逃げ出す。」などというのは
この、オオクニヌシとの故事による。』と
説明しています。
この事から先の2社は
ネズミを社殿に施す事によって

火事除けの意味をもたらしている
のかもしれません。

気になるのは宣長も
「ネズミは人に害を与える・・・」
と前置きしていることです。
稲荷神社の神使(しんし→神様のお使い)が
キツネなのは、その毛並みが実った稲穂を
表すともいわれますが、
穀倉のやっかいもの、ネズミの天敵と
いわれている事も要因のようです。
宣長の言う『家の中にいることは「吉」』も
ちょっと眉唾になってしまいます。

全国的にオオクニヌシの祀られている神社に
狛犬ならぬ「狛ネズミ」が置かれている
神社は何社かあるようですが、
兎は皮を剥がれた事から復活した

稲羽の素兎のエピソードから
皮膚病や疱瘡(天然痘)の神様と
伝わっている神社もあり、
命の恩人を置くより、神様を祀る、または
神様に近い存在を置く事の方が

神社としては自然なのかな?なんて
思ってしまうのは私だけでしょうか・・

鵜戸神宮参道のウサギ。
宮崎県日南市宮浦3232

※2019年6月撮影。


前出の都濃神社の撫でウサギ。


御井神社境内の撫でうさぎ。
島根県出雲市斐川町直江2518

※2020年10月撮影。

 

お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。
またの機会に。
ご自愛くださいますように。

 

大国主命編 過去のブログはこちら

古事記と出雲㊱ 大国主命① ~ その出生地はどこか?~

古事記と出雲㊲ 大国主命② ~ オオクニヌシのお爺さんお婆さん 長浜神社編 ~

古事記と出雲㊳ 大国主命③ ~ オオクニヌシのお父さん 日御碕神社 編 ~

古事記と出雲㊴ 大国主命④ ~ 稲羽の素兎 白兎神社 編 ~

古事記と出雲㊵ 大国主命⑤ ~ 稲羽の素兎 白兎海岸 編 ~

古事記と出雲㊶ 大国主命⑥ ~ ヤガミヒメの故郷 賣沼神社 編 ~

古事記と出雲㊷ 大国主命⑦ ~ オオクニヌシの受難その1 赤猪岩神社 ~

古事記と出雲㊸ 大国主命⑧ ~ オオクニヌシの受難その2 赤猪石・赤猪神社跡(元宮) ~

古事記と出雲㊹ 大国主命⑨ ~ オオクニヌシの甦り 清水井 清水川神社 ~

古事記と出雲㊺ 大国主命⑩ ~ オオクニヌシの受難その3 大石見神社 編 ~

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古事記と出雲㊼ 大国主命⑫ ~ イソタケルを祀る「韓国伊太氐神社」の不思議 編 ~

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古事記と出雲㊾ 大国主命⑭ ~ スセリヒメを祀る神社 佐比賣山神社 編 ~

古事記と出雲㊿ 大国主命⑮ ~ スセリヒメ終焉の地 唐王神社 前編 ~

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