出雲発 祈りをテーマとした
温泉水×和漢コスメ kiu 祈雨 誕生。
めのやから新しく誕生する
コスメブランドについて、
出雲地方に伝わる神話や
まつわる風土をご紹介します。
出雲市斐川町。
神様が隠れこもる山、仏経山の
裾野に広がる地区に「出西(しゅっさい)」
「神氷(かんぴ)」という所があります。
裾野の谷間に民家や集落もあり
独自の祈りの場を持つ所があります。
今回はそんな祈りの場を
ご紹介したいと思います。
山に坐(いま)す神様。
さてさて件の斐川町出西、神氷。
「古事記と出雲」のブログの取材中に
この地区に残るヤマタノオロチ伝承を
知りました。
「斐川の地名散歩」の中にそのくだりが
書かれています。
ヤマタノオロチ伝承は次回の
「古事記と出雲」でご紹介するとして、
今回はその取材中でお会いした
谷あいにお住まいの方々の信仰について
ご紹介したいと思います。
久武神社の元宮。
オロチ退治に関係する神社で
出西に「久武神社」があります。
この神社の元宮が、個人の持ち物の山の
山頂にあります。
それを知ったのは出西の
コミュニティセンターに
「剣御崎荒神(つるぎみさきこうじん)」
というお社の場所を聞きに伺った時でした。
「私有地の山なので勝手には入れない」と
出西コミセンのセンター長から教えて頂き、
目当ての元宮に関する記事が掲載された
新聞のコピーを頂きました。
簡単な地図で場所がわかり
山の持ち主の方のお名前もありましたので
アポイントも取らず、検討を付け
その方のお宅を探してみました。
偶然にも最初に訪ねたお宅がその方の家で
突然にも関わらず、親切にその場所を案内して
くださいました。
岡田さんという方なのですが、私、この後
さらに2回こちらの山にお邪魔しています。
山仕事の作業中の手を止められ
案内してくださった剣御崎荒神がこちら。
社殿は無く、御幣が祀られています。
イノシシがあちこち掘り起こし
整備に大変な様子でしたが
大変清浄な佇まいで、これは神様も
喜んでいらっしゃるのでは?
私の第一印象です。
側溝が整備され、山から水が伝うという事は
やはり特別に感じます。
祀られているのはスサノヲさん。
「剣」はスサノヲの大蛇退治の際に
出顕した神剣、「アメノムラクモ」が
由来で冠した社名でしょうか。
「御崎」は考え方に様々な派生がありますが
地形から想像するに
「崎」は「先(前)」に考えられますので
谷奥から先に出た峰を表すと想像します。
先にはクシナダの神蹟地があります。
そして「荒神」。
荒神さんもまた沢山の派生があり、
火の神様だったり土地神様だったりします。
オロチ退治の伝承から土地神としての
スサノヲさんでしょうか?
山頂にもお社跡があり、それがどうやら
冒頭に書いた「久武神社」の元宮の様です。
日を改めて案内して頂きました。
案内して頂いた日は気温26度と
汗ばむ気温でした。
嫌な顔ひとつせず案内してくださった
岡田さんにはこの場を借りて感謝を。
ありがとうございます!
私の知人、三代氏も同行です。
イノシシの獣道を登ったり、
急峻な斜面を木の幹を掴みながら
山頂にたどり着くと、そこには
仏像らしき面影の石像がありました。
久武神社の遷宮の際まとめられた
久武神社の由緒に関する本には
この石像は火の神様「カグツチ」と
書いてありました。
また、山頂には鳥居の上の部分、
笠木の一部と見られる石材が残り
お社が在ったことが伺えます。
花崗岩でこの山の石ではありませんので
わざわざ麓から山頂まで石を運んだと
言うことになります。
信仰心の厚さを感じます。
前出の本にはオオヤマツミを祀る
お社が在ったと書かれていますが
久武神社の元宮であればスサノヲでは?
この谷の奥には後谷川が流れ、
川の下流には後谷遺跡が発掘されました。
炭化した米が出土している事から、
米倉があり、この地を治める
長の存在が推測されています。
「長者原」という地名が残り
「長者」はこの地方を治める人の
呼び名だそうです。
岡田さんが清浄を保っていらっしゃる
先程の荒神さんは六戸のお宅で講中を組み
「御崎講」として祭祀を行っているとか。
例祭は11月。できれば参列させて頂きたいと
考えております。
祭祀の痕跡が伺える龍神さん
もう一社、石神さんをご紹介します。
出西との境、斐川町神氷(かんぴ)に
お住まいの陰山さんというお宅があります。
地図で見ると、どうやって行くのだろう?
と、不思議に思った場所です。
「仏経山の石神さんに魅せられて」によると
1769年の「神社萬記」という本に
オオヤマツミの神が陰山宅に祀られていて
氏子は無く、陰山氏のみの龍神と
あるそうです。
この方の畑の奥に「龍神岩」といわれる
石神様があるのだそうです。
神社萬記の通りですね。訪ねてきました。
私道の坂を抜け、
地図の通り開けた土地に出ました。
森に囲まれた畑と家。
隔離された別世界にお伺いした気分です。
畑仕事中のご夫婦に入山のお許しと
龍神さんの場所を伺い山へ。
写真を撮り忘れましたが
山からの湧き水を2つの池に溜め
水田や畑の農業用水にされているようです。
池の注ぎ口に通された水管の上には
立派な屋根が建てられ、
森の木々の葉や枝などが沈殿しない様な
設備にされていました。
解りづらいですが、
森を流れる水量は決して多くありません。
溜池2つに蓄えるには一朝一夕には
いかないようです。
山に入って300m程でしょうか?
開けた空間があり、その奥に磐座が
ありました。
目指していた龍神さんです。
本によると割れて落ちたのかもしれない
岩が足元にありました。
覆う落ち葉を払い参拝。
そして帰り道、灯籠らしき台座か
もしくは笠の部分でしょうか?
明らかに作られたものを見つけました。
この龍神さんは本の著者、
原氏も探せずにいたところ、
2016年に木挽(こびき→製材業)を
されていた金山さんという古老の方から
「行った事がある」と情報を得て
一緒に山中を探し回ったと本にあります。
1923年生まれの方だそうです!
山から下りてきて
陰山さんにお話を伺いました。
広い空間があるので、もしかしたら
何人か集まって祭祀を行っていたかも
しれない痕跡だと思うとのことでした。
はっきりした記録は無く、見つかるまで
存在に気が付かなかったそうです。
溜池に注ぐ水源は他の場所からも
引いた跡の様な場所もありました。
そこは水が枯れたのかもしれません。
水の枯渇は死活問題だったと察します。
想像ですが、以前はもっと水量があり
何戸かそれで耕作していたかもしれません。
龍神さんは「白岩権現」とも
呼ばれているのですが、「白岩」は
陰山さんの屋号なのだそうです。
先の龍神岩は苔むしていましたが
もともとは白い岩だったのかも
しれません。
辺りには白い石が見つかりました。
集落や個人のお宅の山にある祈りの場。
その山は水に関わり、神様の御業と
考えたのでしょうか?
古代から続く人の歴史と共にある
祈りの歴史を見たような気持ちでした。
お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。
ではまたの機会に。
ご自愛くださいますように。
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【新コスメにまつわる神話や風土の話】過去のブログは下記から
新コスメにまつわる神話や風土の話 その2 ~古代出雲は医薬の国だった 稲羽の素兎編~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その3 ~古代出雲は医薬の国だった ヤガミヒメ編~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その4 ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編①~
新コスメにまつわる神話や風土の話その5 ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編②~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その6 ~伝説の医者がモデル?スクナヒコナ編~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その7 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編②~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その8 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編③~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その9 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編④~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その10 ~ちっちゃな神様の足跡を追う スクナヒコナ編⑤~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その11 ~出雲國風土記~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その12 ~出雲地方に見る荒神信仰(藁蛇)~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その13 ~神様の隠れ籠もる山 神奈備山~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その14 ~神様の隠れ籠もる山 神奈備山その2~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その15 ~ 古代の人々の想い 水編 ~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その16 ~風土記掲載の古湯を訪ねる~
新コスメにまつわる神話や風土の話 その17 ~築地松のある風景~
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