石の音、ときどき日常

新コスメにまつわる神話や風土の話 その48 ~ 須佐神社 切明神事(念仏踊り)編 ~

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出雲発 祈りをテーマとした
温泉水×和漢コスメ kiu 祈雨 。

めのやから誕生した
コスメブランドについて、
出雲地方に伝わる神話や
まつわる風土、伝承をご紹介します。

出雲地方に伝わる伝統芸能に
「神事花(じんじばな)」と
呼ばれるものがあります。

出雲市のHPには27もの地域で、
その伝統芸能が受け継がれている事を
伝えています。

去る8月15日(日)に行われた須佐神社の
念仏踊りを拝観して参りました。

神仏習合の名残り? 五穀豊穣の祈念。

8月15日。
この日、須佐神社では午前11時より
境内で「夏祭り(切明神事)」が
斎行されました。


※須佐神社公式HPより転載

この祭祀の後、午後3時より
「念仏踊り」の奉納があります。
「神前」で「念仏踊り」。
不思議な字面ですね。
神仏習合の名残の神事とでもいいましょうか
しっとりした、先祖を供養するような
そんな雰囲気が漂う踊りの奉納に感じました。
確かに15日は「お盆」。
そんな習合もあるのかもしれないと
私の想像が飛躍します。

この念仏踊りに関しては1933年(昭和8年)
当時の尋常小学校、高等小学校の児童、
生徒が編纂した「郷土に就いての調査」に
非常に詳しくまとめられています。

この踊りを行う集落や、
それぞれに微妙な違いがある事。
そして須佐神社で行われる念仏踊りの内容、
鐘、太鼓、鼓、笛の楽器で構成される事や

歌に関してや踊りの順序、足取りまで
約10ページに渡り記してあります。

多分、古老たちの口伝えを必死に文字に
書き留めた様な、そんな雰囲気が
手書きの文字から伝わってきます。

太鼓の担当は左に映る少年一人。
これは先の調査書の時代と変わりありません。
太鼓担当は最年少の小学生でしょうか?
途中、バチを落としたり、素足で砂地で
踊りますので、足が痛いのでしょう、
一足遅れたりと、そんな光景もまた
微笑ましく見えます。
一人という事は、もしかして間違えても
同じ楽器の人とズレるという事が
解りにくいのかもしれませんね。

このお祭りの終わりに控えているのは
神事花を頂く争奪戦。
なのですが、コロナ禍。
神事花は縮小され、本来なら天を突くような
3m以上の高さで作られるものなのですが
その上部だけが作られ、
神楽殿に飾られています。

本来、3mもの高さになるこの飾りは、
台座が大人二人ががかりでやっと
運べるような重さのあるもの。
最後にはその台座から数人がかりで
神事花を抜き、倒すのです。
上下に揺らし、少しずつ抜く作業は
「花廻し」と呼ばれ、倒れると
参列者は一斉にこの垂れ下がる飾りや
てっぺんにある飾りを取り合います。
それが例年の様子でした。

(一社)出雲観光協会HPより転載

今年は密を避けるため、
並ばれた人に配られました。

私も頂いてきました。

ひょうたんは「ひょんな」事の言霊から
突然の幸いや、思いがけない好事を
示唆する縁起物。
また、霊の器ともいわれます。
これは家に飾るといいと教えて頂きました。

垂れ下がる竹に飾られているのは「桜」。

「さくら」の「さ」は田の神様の意味。
そして
「くら」はいらっしゃるの意味。
「桜」は田の神様のより代(神霊が依り憑く
(よりつく)対象物のこと)といわれます。
こちらは田や畑に刺して
豊穣を祈念するそうです。

先の調査書に歌の歌詞がありますが
「なァーまァーみーどー。」という
歌詞が繰り返し登場します。
これは「南無阿弥陀仏」の韻を
歌にしたと解説しています。

最後の方では神社にその由来を聞き、
この念仏踊りをまとめているのですが、
仏教由来ではなく、神事から発展したと
解説しています。

これは高くそそり立つ神事花に
神霊が降臨するためのもので
そのために綺麗な花を掲げたのだと。

前出の写真をもう一度。

赤いノボリには「奉仰神霊御光臨」と
書かれています。
これは「神の霊(みたま)の光(降)臨を
仰ぎ奉(たてまつ)る」と読め、
「神様の霊(みたま)が降りて来られるのを
謹んで仰ぎ見る。」と訳せます。

この神様は須佐神社のご祭神、
スサノヲに他なりません。
このスサノヲのご神徳を戴く神事に
仏教色が徐々に付いて行ったのでしょう。

調査書には花は「桜」とありますが
「現今は菊も用ひる」とありました。
今回の写真の枝垂れの先が
もしかしたら菊かもしれません。
というのは調査書にある絵図には
その先の飾りが無いからです。

この切明神事と念仏踊りを
まとめた生徒の文章を抜粋します。
高等小学校の生徒だとして
この当時の高等小学生は13歳か14歳。
神事に対して想いを書いた、
名前も知らぬ著者に
尊敬の念を覚えました。

「上天の神須佐能袁大神(スサノヲ)・・・
敬慕せる大神の精霊の降下を希ふの至誠は、

集落挙って、そのいまそかりし宮殿の
前庭に集うて、
高く高く美しい花を掲げたのである。
自然に発露したる思想の一致である。
かく考え来つて我輩は
かの天照大神の威光を閉せる天岩戸の前庭に
八百萬の神の群衆を連想する。
古代の風俗の共通を連想することが
出来ると思ふ。」

「敬慕せる大神の精霊の降下を希ふの至誠」
本殿後ろの御神木が、
その象徴であるかの様にも思えて来る、
そんな生徒の文章でした。

 

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