めのうさとえすこな散歩

古事記と出雲⑲ スサノヲの降臨 ~八岐大蛇退治その7 雨叢雲剣出顕の地~

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明けましておめでとうございます。
オンラインショップの朝倉です。
ブログを更新しました。
しばしお付き合いください。

前回はヤマタノオロチに飲ませた
強い酒を満たした酒船、
それが「壷」と伝わる神社を
ご紹介しました。

今回はその強い酒を飲んだ
ヤマタノオロチの続きです。

今回も余談から始まります。

大抵の本では「大蛇」と書いて
「オロチ」と訳されています。
原文は「遠呂智」。
昔は大きさによって蛇の呼び方が
変わっていたようです。

小さく一般的なのが「クチナワ」。
やや大きいのを「ヘビ」。
更に大きくなると「ウワバミ」。
極めて大きいのを「ジャ」。
本居宣長が古事記伝の中に
そう書いています。

アオダイショウのイラストアナコンダのイラスト

極めて大きい「ジャ(蛇)」に更に
「大」を付けて「おろち」。
これは宣長の造語かもしれません。

「オロチ」は「尾の霊(チ)」と
変換することが出来、
尾の霊的な化身と考えられています。
なるほど、蛇って全身が尾の様ですものね。

ちなみに大酒飲みを「ウワバミ」と
揶揄することがありますが、
多分「ウワバミ」は「上喰み」、
丸呑みの意味かと。
ゴクンと丸呑みする様が
お酒をゴクゴク飲む姿に
重ねられたのでしょうね。

さてさて。続きを。
酒船に頭を突っ込み
強い酒を飲んだヤマタノオロチ。
頭は八つでも胴体は一つ。
肝臓も一つでしょう(笑)
酔ったオロチは横たわって寝てしまいます。

チャンス到来!
スサノヲは十拳剣(とつかのつるぎ→
握り拳10個分の長剣)を抜き
オロチを切り刻みます。
原文:切散(きり はふる)

尻尾を切った時、切った剣の刃が
欠けてしまいました。
この尾を割いてみると
神剣「草薙の剣」が出てきたわけです。
原文:草那芸大刀)
剣のイラスト(三種の神器)
さあ、これらの伝承を追ってみます。

酩酊して横たわった、ヤマタノオロチ。
その伝承が残る場所がこちら。
草枕山。雲南市加茂町神原121

この地で山に首をもたげたので名前が「草枕山」。
赤い屋根の左奥の山だと思っていました。

この近くに住む方に伺う機会があり
教えてもらうと・・・

こうだったそうです。
左の山と右の小さい山は
もともと一つの山だったのです。

この辺は川の氾濫が度々あり、
真ん中の山を切り崩して
川を引いたようです。

その川がこちら。

灌漑のお陰で当たりは整地され
田んぼになったそうです。

そしてこの近くに
スサノヲを祀る神社があります。
八口神社。 雲南市加茂町神原98

境内に看板がありました。
草枕山の説明がちゃんと書いてあります。
何度も見ていましたが
理解してなかったんですね、私・・・

看板には社名の由来もありました。
男命(みこと→スサノヲ)が矢をもって
射られたので矢代郷矢口社という。

スサノヲは弓矢を使ったのですね。

もう一つのご由緒によると
斐伊川の川上でオロチ退治の際、
オロチは川を流れ下って
かろうじてこの地までたどり着き、
草を枕にうめき苦しんだ。
スサノヲはオロチの八頭を斬り伏せた
故事にちなみ「八口」という。
とあります。

先の看板は八つの頭を斬られたにより
八口大明神といわれた。
また酒に酔って草枕山を枕に
伏せっていた所を矢をもって射られたので
矢口社という。

次の看板は草を枕にうめき苦しんでいた時、
八頭を斬り伏せた故事にちなみ八口という。

面白いですね。微妙に違います。
伝承は伝言ゲームのように
少しずつ変化する場合があります。
私も「矢でトドメをさした。」と
頭の中で変換していました。

前回紹介した「印瀬の壷神さん」と
同じ社名ですが由来が違うのですね。

そして尾を切った時、出てきた神剣!
その出顕の伝承地もこの近くです。
八口神社から800mほど南東へ。

尾留大明神旧社地。雲南市加茂町三代522


「御代神社旧社地跡」とあります。

この場所でオロチの尾から
雨叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)が
見つかったのだそうです!
今は坂道の途中にある
ちょっとした土地。
以前はここに神社があったそうです。
川の氾濫で流されたのだとか。

ちょっと小高い場所なのですが
ここまで水が来たのですね!

現在は500m先の御代神社に
合祀されています。
御代神社。雲南市加茂町三代485

この辺一体はスサノヲと
ヤマタノオロチが戦った場所なのですね。
先程の尾留大明神旧社地からの眺めです。

激しい戦いだったのでしょう
古事記には「肥河 血となりて流れき」と
書いてあります。
斐伊川は血に染まったのです。

もう一本の川は「赤川」。
斐伊川の支流です。
名前から想像するに

そちらも血に染まったと思います。
そちらも赤くしてみました。
といいいますか、川だけでなく
見渡す限り血の海でしょうね(^^;)

それにしても三種の神器の剣は
出雲で出顕したとは!
ちょっと驚きの私でした。

お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。
またの機会に。
ご自愛くださいますように。

 

過去のブログは下記からどうぞ。

古事記と出雲① ~黄泉の国譚 比婆山その1~

古事記と出雲② ~黄泉の国譚 比婆山その2~

古事記と出雲③ ~黄泉の國譚 黄泉比良坂~

古事記と出雲④ ~黄泉の國譚 黄泉の穴~

古事記と出雲⑤ ~黄泉の國譚 出雲以外のイザナミ御陵 その1~

古事記と出雲⑥ ~黄泉の國譚 出雲以外のイザナミ御陵 その2~

古事記と出雲⑦ ~禊と三貴子の誕生 その1~

古事記と出雲⑧ ~禊と三貴子の誕生 その2~

古事記と出雲⑨ ~天岩戸隠れ アマテラスとスサノヲの誓約(うけい)~

古事記と出雲⑩ ~天の岩戸隠れ スサノヲの追放~

古事記と出雲⑪ ~天の岩戸隠れ スサノヲの追放 三種の神器~

古事記と出雲⑫ ~スサノヲの降臨 追放されたスサノヲ~

古事記と出雲⑬ ~スサノヲの降臨 八岐大蛇退治その1 箸拾いの地~

古事記と出雲⑭ ~スサノヲの降臨 八岐大蛇退治その2 ヤマタノオロチとは?

古事記と出雲⑮ ~スサノヲの降臨 八岐大蛇退治その3 伝承地「八頭」

古事記と出雲⑯ ~スサノヲの降臨 八岐大蛇退治その4 八塩折の酒~

古事記と出雲⑰ スサノヲの降臨 ~八岐大蛇退治その5 佐久佐女の森~

古事記と出雲⑱ スサノヲの降臨 ~八岐大蛇退治その6 酒船?酒壷?~

 

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