石の音、ときどき日常

新コスメにまつわる神話や風土の話 その34 ~ 石切場の石神さま 出西石 石切場 編 ~

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出雲発 祈りをテーマとした
温泉水×和漢コスメ kiu 祈雨 。

めのやから誕生した
コスメブランドについて、
出雲地方に伝わる神話や
まつわる風土、伝承をご紹介します。

出雲地方には過去、採石を
産業としていた場所が点在するようです。

石切り場が残る場所も未だにあり、
その当時の隆盛を語るかのようです。

今回ご紹介する「出西石」は
1950年ころまで切り出され、
竈やこたつ用の火櫃(ひびつ)などに
使われたそうです。

戦後、モルタルやコンクリートの
工業製品に
主流が移り、やがて衰退。
現在はその場所は石切場跡として
谷間にひっそり残っています。

今回はそんな石切場に残る
先人たちが名付けた巨石をご紹介します。

石切場跡に鎮座する二組の夫婦。

江戸時代末期に作られた「出雲名物」
と名付けられた番付表があります。

出雲名物番付(弘化2年版→1845年)。


(安政5年版→1858年)
 松江工業高等専門学校人文科学科の
鳥谷智文教授がまとめられた
〈史料紹介〉「出雲名物番付」から転載。

安政5年版には11もの石が載っています。
ちなみに番付以外の行事は全て石ですので
番付+行事で14の石が載っています。
もちろん、瑪瑙の様な宝飾用だけではなく

火打ち石や建築用もあるようです。
全てを含めて名物にそれだけ石がある事に
個人的に驚いています。

その中の西前頭に
「出西石」が記載されています。

出西石は白質軟質凝灰岩という石で
その名の通りに白く、軟らかく、
そして火山灰からなるこの石は
軽石質で熱に強いのが特徴です。

この石は広く流通したわけでは無いと
来待ストーンの学芸員の方に伺いました。
軟質で軽石質な事から

採掘、運搬、加工がしやすく、
重宝された
石だったとは思いますが
この土地から他所の国で使われるほど
流通してはいなかったようです。

採掘場所は出雲市斐川町出西の
後谷川を1㎞ほど遡った

地図上の◯の辺りと記憶しています。
この時も、採石場の入り口にお住まいの

岡田さんに案内して頂きました。

川沿いを進み、途中ぬかるみを超え
やがて目印を見つけました。

この後ろに白っぽい石の壁があり、
そこが石切り場だったようです。
写真の看板は、石切り場は4ヶ所あり、
ここだけかと思ってしまわない為の
注意書きのようです。

更に斜面を登ると開けた場所に出ます。


最も高い所で20mを超える断崖は
石が切り出された跡です。

石ノミの痕でしょうか?
細かく筋状の痕が無数に走っています。

近くに落ちている石で白いものは
軽石質の石だけあって軽く、
気泡が多い結晶の様です。
石英質を含まず、気泡が多いことから
熱せられても割れず、断熱するようです。
正に竈に適した石なのでしょう。

この石切場の傍らに
目を引く巨石があります。
こちら。
スサノヲ岩。高さ7mあります。
人面岩とでもいいましょうか
横顔のように見えます。
よく見るとアゴの辺りに
石ノミの痕が見え、人為的に
削ったのかもしれません。

薄く削がれた様に立っています。

そしてこのスサノヲ岩から
9m離れた場所にあるのがこちら。


姫岩。
岩と岩の間に50センチほど隙間があります。


同行した友人の三代氏に
通ってもらいました。

スサノヲに対して「姫」とは
妃神のクシナダではないかと思われます。
この場所に至る入り口には
スサノヲの宮があったといわれる山があり
その谷の入口にはヤマタノオロチ退治の際
クシナダをかくまった
「稲城の森」があります。

「仏経山の石神に魅せられて」の本には
「お姫さんの岩はあの地には
あまりない質の岩で、
岩の間が
通り抜けられる」と
地元の人の話が載っています。

もしかしたら、先にあったのは姫岩で
スサノヲ岩は、石の切り出しの後に
残った岩でしょうか?
スサノヲ岩は白色軟質凝灰岩、
出西石と同じ石の様です。

さらにこのスサノヲ岩と姫岩の先にも
対になる巨石があります。

夫婦白岩(めおとしらいわ)。


「仏経山の石神さんに魅せられて」には
手前の男岩(おいわ)は高さ5.3mと
書いてあります。

奥の女岩(めいわ)は高さ3m、
2つに割れています。
お互いの岩は6m離れています。

男岩の下部にも石ノミの痕の様な
筋状の削り痕があります。

私が思うに、元々あったのは
「女岩」と「姫岩」。
石質が違うように思えるからです。
やがて採石が行われ、用途の石に向かない
質の石が残されたのかもしれません。

それらは写真の様に不純物として
違う質の石を
含んだところだと想像します。

採掘時に残した岩に手を施し、
対になるように「男岩」と
「スサノヲ岩」と名付けたのでは
ないでしょうか?

男岩・女岩はともかく、
スサノヲ岩・姫岩に関しては
その採石場の近くに八岐大蛇の伝承に基づく
スサノヲとクシナダの神蹟があることを
知っての上で名付けられたのでは
ないかと思います。

元々あったのか、
採石に携わる人達が安全祈願に削ったのか、
定かではありませんが
そこには以前の採掘の現場を見守った
二組の夫婦の岩が今でもひっそりと
佇んでいます。

 

お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。

ではまたの機会に。
ご自愛くださいますように。

 

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【新コスメにまつわる神話や風土の話】過去のブログは下記から

新コスメにまつわる神話や風土の話 その1  ~ 玉造温泉 ~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その2  ~古代出雲は医薬の国だった 稲羽の素兎編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その3  ~古代出雲は医薬の国だった ヤガミヒメ編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その4   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編①~

新コスメにまつわる神話や風土の話その5   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編②~

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新コスメにまつわる神話や風土の話 その11 ~出雲國風土記~

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