石の音、ときどき日常

新コスメにまつわる神話や風土の話 その36 ~ 牛馬信仰の山「大山」と「大山さん」編 ~

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出雲発 祈りをテーマとした
温泉水×和漢コスメ kiu 祈雨 。

めのやから誕生した
コスメブランドについて、
出雲地方に伝わる神話や
まつわる風土、伝承をご紹介します。

中国地方最高峰の「大山」。
「伯耆富士」とも呼ばれる
標高1709mの名峰は

晴天の日は出雲市内からも
その姿を望むことができます。

古くは出雲國風土記(733年)に
「火神岳(ひのかみたけ)」の名称で
登場し、当時から特別視された山です。

その大山中腹にある「大山寺」。
かつて牛馬信仰で栄えた寺院です。

本日はその信仰の足跡を追ってみます。

 

遥かから、牛の健やかな成長を願う

さてさて、件の大山。
現在、その中腹には大神山神社と
大山寺があります。
大神山神社。

大山寺本堂。

 

※鳥取大山観光ガイドのHPより転載。

大山寺は奈良時代に成立したお寺です。
山岳信仰の霊場であり、
平安時代以降
「牛馬信仰」の山として栄えました。

平安時代に大山寺の高僧、
基好(きこう)上人が、
牛馬安全を祈願する守り札を配った事で
大山寺の地蔵菩薩は
「牛馬守護の仏」と信仰されます。

さらに山の中腹に広がる牧野で
牛馬の放牧も盛んになっていきます。
農業神としても大山信仰が盛んなっていき、
こうして大山の「牛馬信仰」が
広まって行きました。

その広がりの足跡が
出雲市内の里を離れた山中に
今もひっそりと残っていました。

こちら。

この小堂のある場所は古くは
立久恵峡の霊光寺の参道として
開かれた道でした。
入り口にその石碑があります。

「 南無薬師如来 左立久恵道 」と読めます。

道幅は古道にしては広く、荒れていますが
今でもその跡を歩くことが出きます。

この古道に入る前、
路傍の草刈りをしていた
男性に話しを伺うと、
約50年くらい前までは
この古道を整備されていた方が
いらっしゃたそうです。

さて、前出の小堂。
「大山さん」と呼ばれ
牛を飼い、畜産をされていた方は
この場所まで牛を連れてきて
牛の健やかな成長を祈ったのだそうです。

富士山信仰(富士講)が隆盛の江戸時代、
富士山に見立てた山「富士塚」に昇ることで
富士山に登った事とみなしたそうです。
通じるところがありますね。

祠の向きは大山の方角です。
現在は木が遮り、大山を見ることは
出来ませんでした。

そして連れてきた牛に
付近に生えている「熊笹」を
食べさせると、その1年、牛は
病気をしないといった民間信仰が
あったのだとか。

もう一度先程の祠を見てみましょう。

屋根の部分とお堂の部分が
それぞれ一つの岩から
整形して作られた小堂の様です。
ノミ痕が残っていました。

道すがらお地蔵さんを探したのですが
見つけられず、もしかしたらこの小堂に
お地蔵さんが置かれていたのかもしれません。

大山寺の起源は地蔵菩薩を祀った草庵で
牛馬信仰の仏様だからです。

やがて畜産農家の減少と
道路の整備により、古道の需要は無くなり
前出の草刈りをしていた男性も
「大山さんは下ろしてしまった
(遷してしまった)。」と
おっしゃっていました。

立派な石造りの小堂は
当時の牛飼い農家の方々の祈りの足跡を
現在に伝えているかの様でした。


お付き合いくださって

ありがとうございます。
本日はこの辺で。

ではまたの機会に。
ご自愛くださいますように。

 

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【新コスメにまつわる神話や風土の話】過去のブログは下記から

新コスメにまつわる神話や風土の話 その1  ~ 玉造温泉 ~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その2  ~古代出雲は医薬の国だった 稲羽の素兎編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その3  ~古代出雲は医薬の国だった ヤガミヒメ編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その4   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編①~

新コスメにまつわる神話や風土の話その5   ~古代出雲は医薬の国だった 大国主の蘇生編②~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その6 ~伝説の医者がモデル?スクナヒコナ編~

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