めのうさとえすこな散歩

古事記と出雲60 大国主命㉕ ~ スセリヒメ再登場。 オオクニヌシの家系図 阿須伎神社・乙見社 編 ~ 

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みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
ブログを更新しました。
しばしお付き合いください。

 

え~、1週空きました(^^;)
前回は翡翠の女神、
越の国のヌナカワヒメを娶ろうと出かけた
オオクニヌシが歌でやり取りをした、
日本最初の長歌のお話でした。

今回は続くように妻、スセリビメとの
やり取りがまたしても歌で行われます。


さて、正妻スセリヒメとのやり取りは
どんなものだったのでしょう。
登場時にお話した通り、「スセリ」は
「自ら進む」といった積極性を表す神名。
よく解説には「嫉妬深い」など、多少
気性が荒い様に書かれています。
古事記の本文にも越のヌナカワヒメの
一件の後に「いたく嫉妬(ねたみ)・・」と
ストレートに書かれています。
オオクニヌシはその嫉妬を恐れ
大和の国へ出かけて逃れようとし、
正に馬に乗りかけた時に歌を詠います。
個人的には何故この様な歌を?と
不思議でたまりません。
その歌を要約すると

 黒の衣を纏い、旅の身支度をしたのだが
水鳥が羽ばたく時に自分の姿を見るように
自分を見てみると似合わないので
磯波が乱れる様に脱ぎ捨てた。
 次にカワセミの様な青い衣を
纏ってみたがやはり似合わないので
脱ぎ捨てた。
 最後に藍で染めた衣を纏ったみたら
自分にふさわしい色のようだ。
この服を着ていこう。
愛しい我が妻よ。
鳥の群れが飛んでいくように
私も飛んでいってしまったら
今は泣かなくとも、きっと
山の中の一本のススキの様に
お前は首をうなだれ泣くだろう。
朝の雨が霧のようになって降るように
お前は泣くだろう。
おお、若草の様な我が妻よ。
愛しい我が妻よ。

今、正に出かけるタイミングで
オオクニヌシはこんな歌を詠みます。

前半の着物を選ぶ件はいったい
どういったつもりで詠んだのでしょう?
ちょっと解りません。
また、自分が大和に行くことによって
妻スセリは泣くと解っているようです。
この歌はなんで?
と私、思わずにはいられません。

この歌にスセリヒメは歌で返します。

あなたは本当に雄々しい神ですから
あちこちにきっと若草のような妻を
お持ちになることでしょう。
私も一人の女ですが、あなた以外に
男や夫を考える事などできません。
ふんわりと柔らかな寝具の中で
淡雪のような私の胸を
白綱の様なあなたの力強い腕で抱きしめ
玉のようなあなたの手と私の手を
お互いの枕とし、いつまでもゆっくりと
共寝をしてください。
さあ美味しいお酒を一献差し上げましょう。

これに続いて、
直ちに酒坏を交わし、夫婦の契を固めた。
二神は現在に至るまで睦まじく
鎮座していらっしゃる。
と書かれています。(要約)

この「鎮座していらっしゃる」神社は
出雲大社と考えられ、本殿の向かって左に
「御向社(みむかいしゃ)」に
鎮座されています。

出雲大社公式HPより転載。

お社のまたの名称が
「大神大后神社」読みは長くて
「おおかみ おおきさき のかみのやしろ」。
「大后(おおきさき)」とある様に、
「大」が付きます。
スサノヲから言われた通り
「正妻」。私としては一夫多妻制の呼称
「第一夫人」に当てはまるのかな?
とか思っています。

この夫婦神の逸話の後、
オオクヌヌシの家系図が書かれています。
スセリヒメとの間には御子がいらっしゃらず
最初に紹介されている御子は、筑紫の女神、
タギリヒメとの間に生まれた
アジスキタカヒコネ、次いでその妹、
タカヒメ(シタデルヒメ)です。
タギリヒメはスサノヲとアマテラスが
誓約(うけい)をされた時、スサノヲの剣から
生まれた三女神の一柱。宗像三女神の一柱
宗像大社に鎮座されている女神です。

出雲大社では本殿の向かって左、
筑紫社に鎮座されています。
お社の別名が「神魂御子神社」。

出雲大社公式HPより転載。

(かみむすびのかみのみこやしろ)。
はて?出雲で「神魂神」といえば
「カミムスヒ」という神様で、出雲大社の
境外摂社「命主社(いのちぬしのやしろ)」に
鎮座されているのですが、そのカミムスヒの
御子でもないのに、何故「神魂御子神社」と
名称に「神魂」が付くのか不思議です。
ちょっと調べねば。

さてさて。
今回ご紹介する神社は、家系図筆頭にある
アジスキタカヒコネの神社とその妹、
シタデルヒメの出雲大社境外摂社を。

まずはこちら。
阿須伎神社 出雲市大社町遙堪1473。

ご祭神のアジスキタカヒコネはご神名に
「スキ=鋤」と農具の音が入ることから
農業神とも考えられ、出雲國風土記には
出雲郷に39社、同名の神社があることが
記されています。すべて、前出の阿須伎神社に
合祀されたといわれていますね。
出雲大社の境外社では最も大きな社殿の神社で
家系図筆頭の面目躍如と
いったところでしょうか?
また、古事記には「迦毛大御神」
(かものおおみかみ)と書かれていて
奈良県の高鴨神社の祭神ということなのですが
「大御神」と書かれていることが

ちょっと興味を引きます。
神様の尊称としては最上級・・・
なにか謎を含むような(^^;)

そして妹神シタデルヒメの境外摂社。
乙見社(大穴持御子玉江神社)
出雲市大社町修理免920。

「おおなもち みこのたまえ のかみのやしろ」
こちらも長い別称があります。
「おおなもち の みこ」は「おおなもち」は

オオクニシの別名ですからその子ども。
「玉江」は「玉」は美称、「江」は入り江や
湖岸を表し、元々は「菱根池」の湖岸にあった
神社を勧請したようです。菱根池は現在は無く
島根ワイナリーの辺りから
東へ広がっていたようです。

勧請元の神社は現在もあります。
乙見神社 出雲市大社町入南360。

ご祭神のシタデルヒメは万葉集に和歌載る
美麗で才女の女神といわれています。

今回は、オオクニヌシとスセリとの
歌のやり取り、それに続く家系図から
阿須伎神社と乙見社、乙見神社を
ご紹介しました。

本日もお付き合いくださって
ありがとうございます。
またの更新をお楽しみに。
ご自愛下さいますように。

大国主命編 過去のブログはこちら

古事記と出雲㊱ 大国主命① ~ その出生地はどこか?~

古事記と出雲㊲ 大国主命② ~ オオクニヌシのお爺さんお婆さん 長浜神社編 ~

古事記と出雲㊳ 大国主命③ ~ オオクニヌシのお父さん 日御碕神社 編 ~

古事記と出雲㊴ 大国主命④ ~ 稲羽の素兎 白兎神社 編 ~

古事記と出雲㊵ 大国主命⑤ ~ 稲羽の素兎 白兎海岸 編 ~

古事記と出雲㊶ 大国主命⑥ ~ ヤガミヒメの故郷 賣沼神社 編 ~

古事記と出雲㊷ 大国主命⑦ ~ オオクニヌシの受難その1 赤猪岩神社 ~

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古事記と出雲54 大国主命⑲ ~ 八十神討伐。オオクニヌシの築いた城「城名樋(きなび)」編 ~

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古事記と出雲56 大国主命㉑ ~ 八十神討伐にまつわる地名 加茂神社(屋代神社)・屋裏八幡宮 ~

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古事記と出雲58 大国主命㉓ ~ コノマタの神は稲羽に里帰り出来なかった? 阿陀萱神社 編 ~

古事記と出雲59 大国主命㉔ ~ 翡翠の女神 ヌナカワヒメ ~

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