こんにちは。
オンラインショップ担当の畑です。
星座にまつわる神話を中心に守護石となる星座石の紹介をしています。
前回は、『オリオン座』狩人オリオンのもうひとつの死の紹介をしました。
本日は、黄道12星座の中でも9番目にくる『射手座』について、紹介していきたいと思います。
11月23日から12月21日の間で、この世に生を享けた方が射手座の生まれとなります。
射手座の見つけ方
夏の夜空でひときわ目立つ星といえば、蠍座や夏の大三角が有名ですね。
今回紹介する射手座も夏の星座です。
射手座は文字通り、弓を射る人の姿を描いた星座ですが、モデルとなっているのは人間ではなく、半身半馬のケンタウルス族の一人「ケイロン」です。
射手座は、蠍座のすぐ隣で輝く星座ですが、蠍座には1等星で赤く輝くアンタレスがあるのに対して、射手座は2等星以下の星たちで構成されているため、人工光の強い都会では見つけづらい星座となっています。
しかし、この射手座の特徴でもある南斗六星が、結構目立って見えるので見慣れてくると、蠍座よりもむしろ見つけやすいかもしれません!
南斗六星?…。
シン…、レイ…、ユダ…、シュウ…、サウザー…
そして、ユリアが…。
私の頭の中を駆け抜けていきました…。笑
それは、置いといて…。
まずは南斗六星から見つけましょう。
幸運を呼ぶ星の並び
南斗六星は、北の空の北斗七星に対してつけられたもので、その形は北斗七星を小さくした柄杓(ひしゃく)の形をしています。
中国ではこの星の並びを、幸運を呼ぶものとして考えられています。
なぜ幸運を呼ぶ星の並びと言われるのか?…。
それは中国に伝わる、あるお話によるものです。
中国では古くから、北斗七星は「死」を、南斗六星は「生」を司る星と言われてきました。
そのことを表わす、中国に古くから伝わるお話がありますので、簡単に紹介させていただきます。
【南斗六星の伝説】
昔、中国には管輅(かんろ)という『神卜(しんぼく)』と称賛される程の占い師がいました。
ある日、管輅(かんろ)は田で作業している若者のそばを通りかかりました。
若者はまだ17歳でしたが、真面目で非常に働き者でした。 しかし、その若者がどうしても気になった管輅(かんろ)は、その若者を占うと、「20歳になる前に死んでしまう」という占いの結果を告げるのでした。
いきなり死の予言を聞かされ、驚いた若者は急いで家に戻ると、その話を父親に伝えます。
話を聞いた父親はたいへん驚き、息子と共に管輅(かんろ)を追い掛けました。
そして、困った父親は管輅(かんろ)にアドバイスをもらうのでした。
そのアドバイスに従い、次の日の朝、若者は高級な酒と干し肉を持って南の山へ行き、大木の側で碁を打つ二人の仙人らしき人にそっと差し出します。
碁を打つ二人は、酒と干し肉を平らげ勝負が付いた頃に、やっと若者の存在に気づきます。
この碁を打つ二人は、北の仙人と南の仙人でした。
ここで若者は、寿命を延ばして欲しいと仙人達に頼みます。
北の仙人は怒りましたが、南の仙人は「酒と肉に手を付けてしまって、何もしないわけにはいくまい」と言って、懐から寿命帳を取り出すと、この若者の寿命を調べるのでした。
すると、若者の名前のところには十九歳という寿命が書き込まれていました。
「なるほど、これを延ばして欲しいというわけだな…」とつぶやくと十九の前に「九」の文字を書き加え、九十九歳としたのです。
そして、「管輅(かんろ)には軽々しく天機を漏らすでないと言っておけ」と言い放つと、二人とも鶴に姿を変えて飛び去ってしまったと言います。
若者は戻ると管輅(かんろ)に報告しましたが、そこで、この北側の仙人が死を司る北斗七星の精で、南側の仙人が、生を司る南斗六星の精であったことを知らされるのでした。
射手座のむこうは銀河系の中心…
西洋では北斗七星が、ビッグ・ディッパー(大きな柄杓)と呼ばれるのに対して、南斗六星はミルクディッパー(ミルク匙)と言われています。
そして、南斗六星のある射手座は、天の川のもっとも明るいところにその姿があります。
天の川がミルキーウェイ(ミルクの道)と呼ばれていることから、ミルクをすくうスプーンに見立てられたわけですね。
天の川のもっとも明るいところに射手座があるのは、射手座の方向に銀河系の中心があるからです。
その為、この方向にはたくさんの星や星雲、星団などがあるのです。
射手座の向こうに、銀河系の中心が…。
そう考えると、いつまでも射手座を見ていたくなっちゃいますね…。
射手座(サジタリアス) 11/23~12/21
星座石・・・ラピスラズリ、ターコイズ
射手座の守護石となる星座石も複数割り当てられております。その中でも代表的なものとして二つをあげさせていただきます。
それぞれに石の持つ意味合いもあるので、一緒に下記でまとめております。
【ラピスラズリ Lapis-Lazuli】
和名…青金石(せいきんせき)
魔除け、幸運をもたらす、災いから身を守る
【ターコイズ Turquoise】
和名…トルコ石(とるこいし)
危険から身を守る、旅の守護石、勇気とやる気をもたらす
☆射手座にまつわる神話☆
ギリシャ神話では、射手座のモデルとなっているのは、ケンタウロス族のケイロンだと伝えられています。
ケンタウロス族は一般的に、野蛮で粗暴であるとして知られていますが、ケイロンはその中でも逸材で、太陽神アポロンからは音楽、医学、予言を学び、月の女神アルテミスからは狩猟を学んだと言われています。
そして、ペーリオン山の洞穴に住み、薬草を栽培しながら病人を助けて暮らしていました。
野蛮で粗暴と言われるケンタウロス族に、なぜこのような逸材が誕生したのでしょうか…。
実はこのケイロン…。
全知全能の神であるゼウスの父であるクロノスと、女神ピリュラーとの間に生まれました。
クロノスは妻であるレアーの目を盗むために、馬に姿を変えて、女神ピリュラーと交わったことから、生まれてきたケイロンは半人半馬のケンタウロスの姿であったといいます。
神は姿を変えられてスゴイです!
男という生きものは、妻の目を盗むために姿を変えてまでしてでも、女性を訪問するのでしょうか?…。笑
ゼウスは牛になったり、白鳥にもなったりして女性を訪問しています。
ゼウスの父、クロノスも今回、馬になりました…。
(『親も親なら子も子』ということわざがありますが…。)
(血は争えません…)
以前紹介したギリシャ神話で、ゼウスが動物に変身したお話が気になられた方は、こちらのお話もご覧になられて下さいね。
≪ゼウス、牛に変身!(牡牛座の神話)≫
≪ゼウス、白鳥に変身!(双子座の神話)≫
家庭教師はお馬さん!
薬草を栽培しながら病人を助けて暮らしていた、半人半馬のケンタウロスであるケイロンですが、もうひとつの顔をもっていました。
太陽神アポロンや月の女神アルテミスから多くのことを学んでいたので、その知識は家庭教師としての能力を大いに発揮しました。
生徒の顔ぶれは超有名です!
英雄ヘラクレス、双子座の「カストル」と「ポルックス」、アルゴ船の冒険王イアソン、そして英雄アキレウスです。
その上、自分が教わった太陽神アポロンの子であるアスクレピオスには、医術を教えたと言われています。
このアスクレピオスは、のちに医術の神と呼ばれるほどの名医になり、現在でも医学の象徴的存在となっています。
その腕は、死者すら蘇らせたとか…。
お酒は喧嘩のもと
ケンタウロスのケイロンが射手座となったことには、教え子であるヘラクレスが大きく関わっています。
ヘラクレスは与えられた12の試練のひとつである『エリュマントスの暴れ猪の生け捕り』に向かう途中で、善良なケンタウロスのポロスに食事を出され、もてなされていました。
≪他のヘラクレスの試練≫
ネメアの森のライオン退治(獅子座の神話)
レルネアの谷の怪物ヒドラ退治(蟹座の神話)
そんな中、酒が飲みたくなったヘラクレス…。
ポロスの静止も聞かず、酒甕(さかがめ)を開けてしまうのですが、その酒甕(さかがめ)はケンタウロス一族が共有するものだったのです!
すると、酒の匂いにつられて武装をしたケンタウロスが集まってきたのです。
そして、酒を飲んでいたヘラクレスに襲い掛かってきました。
しかし、そこは英雄ヘラクレス。
持ち前の武勇で、いとも簡単に襲い掛かってきたケンタウロス達を追い払ってしまうのです。
これは敵わないと感じたケンタウロス達は逃げ出し、ケイロンを頼ってケイロンのいる洞穴に逃げ込むのでした。
話が英雄ヘラクレスよりになりましたので、心配になったので聞きますが…。
覚えていますか?
ケイロンは、ケンタウロス族の一人で、かつてのヘラクレスの先生です!
不死によって、苦しみ続けることとなる…
ヘラクレスはケンタウロス達を追って、ケイロンのいる洞穴までやってきます。
そして、彼らを追い込むと矢を放ちます。
この放った矢のうちの1つが、一人のケンタウロスの腕を貫通し、ケイロンに当たってしまったのです。
この矢はただの矢ではありませんでした。
矢にはレルネアの谷で退治した怪物ヒドラの毒が塗りこまれていたのです…。
ケイロンはヒドラの毒に苦しみ続ける事となりますが、誤って先生であるケイロンを射てしまったヘラクレスにもどうすることも出来ませんでした。
そういえば、ヘラクレスをもてなしていた、善良なケンタウロスのポロスはどうなったかというと…。
屈強な同族達が放たれる矢によって、いとも容易く倒れていく様子を不思議に思い、遺体から矢を抜いて見ようとした時に、誤って自分の体を矢の鏃(やじり)で傷つけてしまい、ヒドラの毒で死んでしまうのでした。
一方、ケイロンは大神ゼウスの父であるクロノスの血を受け継ぎ、不死なために死ぬことも出来ず、毒に苦しみ続けなければなりませんでした。
そして、苦しみに絶えかねたケイロンは、とうとう大神・ゼウスに不死の身を解いてもらえるよう願いでます。
ゼウスは仕方なくケイロンの不死の能力を、巨人族の英雄プロメテウスに譲らせて、ケイロンには安らかな死を与えたのでした。
ケイロンの才能と死を惜しんだゼウスは、その姿を夜空に上げて星座にしました。
本日は、射手座にまつわる神話と星座石を紹介させていただきました。
ケイロンは優れた学識を称えられて、射手座となって夜空に輝いているわけですが、射手座は半身が人で半身が馬の姿をしています。
これは、ケイロンがケンタウルスの一族であるためで、手に矢を番えているのは、狩りの名手でもあり、武勇に優れている姿を表わしているからであると言われています。
射手座の星のもとに生まれた方の能力の高さが、神話からもうかがえたように思えます。
次回は黄道12星座の10番目にくる『山羊座』の神話を紹介したいと思います。
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星座ものがたり 第1話 牡羊座
星座ものがたり 第2話 牡牛座 前編
星座ものがたり 第3話 牡牛座 後編
星座ものがたり 第4話 『天の川銀河』
星座ものがたり 第5話 双子座
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星座ものがたり 第14話 山羊座
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星座ものがたり 第16話 魚座
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夜空のイベント ☆ ペルセウス座流星群 ☆
2021年10月の天体ショー 「オリオン座流星群」「りゅう座流星群」
2021年12月の天体ショー 「ふたご座流星群」
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