石の音、ときどき日常

新コスメにまつわる神話や風土の話 その33 ~ 潮汲み 忌明けの儀式 編 ~

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出雲地方に伝わる神話や
まつわる風土をご紹介します。

その30 ~ 潮汲み 出雲大社 編 ~の回に
ご紹介させていただいた
出雲大社界隈の潮汲み。
毎月1日に土地や神棚、
氏神様の神社や
境内を清めて参拝する風習として
ご紹介させて頂きました。

今回はこの潮汲みが「忌明け」の
儀式としての風習を持つ地区の神社を
ご紹介させて頂きます。

神道では葬儀の後、50日を経て
「忌明け」となります。
一般的にはそれまでは神社参拝を控え
忌明けの際に禊の風習があります。

海水と海藻

海側の神社に限らず
不思議と内陸部に入った所にある
神社の境内でも潮汲みの
竹筒、「箍(たが)」を
目にすることがあります。

それらは忌明けの儀式として
置かれていった箍です。

神道では死は穢(けがれ)と考え、
そのため、忌中は神社の参拝を控えます。

忌明けに穢を祓う儀式を「潮汲み」
または「潮掻き(しおかき)」と言い、
それまで控えた神社の参拝を再開する為
汲んだ潮(海水)を箍に入れたまま
境内に置いてきます。

葬儀が終わり
十日ごとに「霊祭(れいさい、

みたままつり)」という法事を行い
五十日祭を通じて、故人を家庭を守る
守護神として自宅の神棚に迎え入れます。
この五十日祭を終えると忌明けとなります。

その時、海で身を清めた証に、または
神様へのお供え物として海藻を拾い、
海藻を波で清め境内に箍と一緒に
収めます。
収める海藻は「ジンバ草(ホンダワラ)」
と呼ばれる種類です。
浮き袋が付いている海藻で、
海岸に打ち上げられている事が多く
容易に見つけられるものです。
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では、忌明けの潮汲みの風習のある神社を
ご紹介させて頂きます。

佐太神社。 松江市鹿島町佐陀宮内73

石段の傍らに「藻汐祓」とあり、
箍とジンバ草が掛けられています。

佐太神社は境外に「身澄ヶ池」と呼ばれる
池が
ありました。
現在はその跡を残すばかりですが
その池はイザナキが禊をした池と伝承があり
その池跡に忌明けの潮汲み箍と
ジンバ草を収めた後、佐太神社を参拝する
風習もあるようです。

池跡のモニュメント。

次に日御碕神社。 松江市島根町野波313

こちらは向かって右手の木の根元に
箍が掛けられ、木の足元にジンバ草が
置かれています。

神社は道路を挟んで
海岸の立地にあります。
忌明けに関わらず参拝の時に
ジンバ草を浜辺で拾い、鳥居をくぐる際
海藻をクルッと回し、海水を散らし、
清めて参拝する風習があり、箍の数に対して
ジンバ草の量が多いようです。

こちらが漢字違いの日御崎神社。
松江市美保関町笠浦449。


こちらの地域は小さな箍を使われるようです。
ジンバ草や海藻は拝殿前にも見当たりません。

生馬神社(大岩大明神)
松江市西生馬町320。

本殿の後ろに巨石があるこちらの神社。
海岸近くにある神社ではありませんが
潮汲み箍が境内の木に下げてあります。

こちらのペットボトルも
忌明けの潮汲みの様です。

また、忌明けの際、潮汲みの儀式は無く
身体を清めた証に海藻をもって参拝する
神社もあるようです。
長浜神社 出雲市西園町上長浜4258。

お供え物である海藻は
「厳(おごそ)かな藻」という意味の
「厳藻(いづも)」と呼ばれ
「出雲」の地名由来の
ともいわれています。
「いづもがけ」と呼ばれる木枠は
「出」の文字に見え、「出雲」の由来を
後押しするかの様です。

拝殿前にカゴやザルが置かれ
お供え物として海藻を持って
参拝する神社もあります。

伊奈頭美(いなずみ)神社 松江市美保関町北浦304


爾佐(にさ)神社 松江市美保関町千酌1061


出雲地方の神社の参拝時、境内に
竹筒や海藻を見つけられましたら
それは忌明けの儀式の跡か
もしくは神前にお供え物を施した形跡です。

 

お付き合いくださって
ありがとうございます。
本日はこの辺で。

ではまたの機会に。
ご自愛くださいますように。

 

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新コスメにまつわる神話や風土の話 その1  ~ 玉造温泉 ~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その2  ~古代出雲は医薬の国だった 稲羽の素兎編~

新コスメにまつわる神話や風土の話 その3  ~古代出雲は医薬の国だった ヤガミヒメ編~

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