みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
読み物を更新しました。
しばしお付き合いください。
さてさて。
前回は小さな神様スクナヒコナの
様々なご神徳の一部を考察しました。
古事記にはオオクニヌシとスクナヒコナが
途中まで成し遂げた国作りの内容は
具体的に書かれてはありません。
今回も縁の神社や神蹟地を訪ねた写真を交え
出雲国風土記を参考に
私の想像も入れて紹介したいと思います。
Wikipediaに挙げられている御神徳は
医薬・温泉・まじない・穀物・知識・酒造
石の神などなど。前回はその中の
医薬・温泉・まじないを「医療」と
ひとくくりに考えご紹介しました。
今回は残る4つのご神徳、
穀物・知識・酒造、石の神です。
まずは「穀物」から。
これは出雲国風土記の飯石郡多禰(たね)郷の
地名由来にそのヒントがあると考えます。
地名由来には
オオナムチ(オオクニヌシ)とスクナヒコナが
天下をお巡りになった時、稲種をここに
落とされた。だから「種」という。
(後に多禰と改められました。現在は多根と書きます)
この様に多禰郷の名由来が記されています。
二神は稲の種を持って天下を巡るという事は
稲作を広めていったという事でしょう。
「稲種」は「水稲」でしょうから
種だけ広めるだけでは稲作はできず、
開墾や用水などの水田開発を広めたと
考えれば「国作り」であり穀物神として
性格を表していると思います。
この多根にある多根神社がこちら。
島根県雲南市掛合町多根1485
ご祭神は前述のオオクニヌシとスクナヒコナ。
2022年1月撮影。
そしてこの神社の近くの田んぼには
石碑が建っていました。
下部のプレートには
「伝説 大国主之命 稲種落給地」
とオオクニヌシが書かれていますが
風土記にはどちらとも書かれてない様です。
稲種を落としたと伝承される土地は
近くにもあり、多根神社から2.5㎞ほど
東にある雲南市多根交流センターの
近くにも石碑が立っています。
続いて「知識」。
言わずもがな、今までの事で
沢山の知識を持った神様と想像が容易ですが
私としては、違う側面で「知識」と
呼ばれているかな?と思う事があります。
それは菅原道真との合祀です。
これはスクナヒコナが祀られる神社名の
「天神社」の読みが関係しているのかも。
スクナヒコナが祀られる神社は
「てんしんしゃ」。「神」は清音で
「じん」と濁音読みすると菅原道真を祀る
いわゆる『天神さん』→『天満宮』となり
区別されています。
ですが「天」が付く神社で
同一視されてしまうのか、道真さんと
合祀されている神社もあります。
例えばこちら。
宇美神社境内社 平田天満宮。
出雲市平田町宮ノ町688-1
「知識」の神といわれる一端には
「学問の神」との混同があったような
そんな気がしてなりません。
次は「酒造」。
「出雲」「酒造」といえばこちら。
佐香神社 出雲市小境町108。
出雲国風土記に楯縫郡佐香郷の地名由来に
百八十神(ももやそのかみ)たちが
お集まりになって酒を醸し、百八十日に渡り
酒浸りの酒宴を行い、そして解散なさった。
だから佐香という。
と記されています。
この事から出雲は日本酒発祥の地と
いわれています。
御祭神として祀られている神様は
久斯神(くすのかみ)。これは
スクナヒコナの別名といわれ、
「くす」は「酒」の古語だそうです。
発酵醸造の神様と、以前宮司さまから
伺ったのを覚えています。
その他にもオオヤマクイが主祭神として
祀られています。
この神様は京都の松尾(まつのお)大社の神様。
松尾大社も酒に纏わる神社で「醸造祖神」と
謳われている神社です。
もともとは山の神様なのですが、
半島からきた一族が崇めた山に
このオオヤマクイの神がいらっしゃり、
その一族が酒造を伝えたことから
オオヤマグイが酒造の神となったと
何かで呼んだ覚えがあるのですが、スミマセン
出自が定かでないです(^^;)
最後の「石の神」。
このワードから個人的に思い浮かぶ神社が
こちら、生石(おうしこ)神社。
兵庫県高砂市阿弥陀町生石171。
2017年4月撮影。
この楼門の奥の左右にオオクニヌシと
スクナヒコナが祀られています。
向かって右、左殿にスクナヒコナ。
そして右殿にオオクニヌシ。
幾つかある「石の宝殿」の一つのこちらは
水の上に浮くように立つ、
人の手で切り出される途中の様な
不思議な佇まいの巨石がご神体です。
宮城県塩竈にある「神釜」、
宮崎県高千穂峰の「天の逆鉾」と合わせ
「日本三奇」に数えられる
こちらの不思議な人造物?は何の用途で
この状態にあるか、ハッキリ解って
いないようですね。
こちらの神社と「石の神」の繋がりは
はっきりしませんが、元々この神社が
オオクニヌシとスクナヒコナと関わりが
あるのは、国作りの際に居を構えたという
「静之窟(しずのいわや)」に
比定されているからの様です。
この静之窟についてはいずれご紹介を
予定しておりますのでお楽しみに。
本日もお付き合いくださって
ありがとうございます。
またの更新をお楽しみに。
ご自愛くださいますように。
大国主命編 過去のブログはこちら
古事記と出雲㊲ 大国主命② ~ オオクニヌシのお爺さんお婆さん 長浜神社編 ~
古事記と出雲㊳ 大国主命③ ~ オオクニヌシのお父さん 日御碕神社 編 ~
古事記と出雲㊴ 大国主命④ ~ 稲羽の素兎 白兎神社 編 ~
古事記と出雲㊵ 大国主命⑤ ~ 稲羽の素兎 白兎海岸 編 ~
古事記と出雲㊶ 大国主命⑥ ~ ヤガミヒメの故郷 賣沼神社 編 ~
古事記と出雲㊷ 大国主命⑦ ~ オオクニヌシの受難その1 赤猪岩神社 ~
古事記と出雲㊸ 大国主命⑧ ~ オオクニヌシの受難その2 赤猪石・赤猪神社跡(元宮) ~
古事記と出雲㊹ 大国主命⑨ ~ オオクニヌシの甦り 清水井 清水川神社 ~
古事記と出雲㊺ 大国主命⑩ ~ オオクニヌシの受難その3 大石見神社 編 ~
古事記と出雲㊻ 大国主命⑪ ~ 救世主 オオヤビコはスサノヲの御子神? ~
古事記と出雲㊼ 大国主命⑫ ~ イソタケルを祀る「韓国伊太氐神社」の不思議 編 ~
古事記と出雲㊽ 大国主命⑬ ~ オオクニヌシの根の国訪問 スセリヒメとの出会い 編 ~
古事記と出雲㊾ 大国主命⑭ ~ スセリヒメを祀る神社 佐比賣山神社 編 ~
古事記と出雲㊿ 大国主命⑮ ~ スセリヒメ終焉の地 唐王神社 前編 ~
古事記と出雲51 大国主命⑯ ~ スセリヒメ終焉の地 唐王神社 後編 ~
古事記と出雲52 大国主命⑰ ~ 大国主命の使いはウサギ?ネズミ? ~
古事記と出雲53 大国主命⑱ ~ オオクニヌシの琴 琴引山・琴弾山神社 編 ~
古事記と出雲54 大国主命⑲ ~ 八十神討伐。オオクニヌシの築いた城「城名樋(きなび)」編 ~
古事記と出雲55 大国主命⑳ ~ 八十神討伐とその後のオオクニヌシ。 木次神社・三屋神社 編 ~
古事記と出雲56 大国主命㉑ ~ 八十神討伐にまつわる地名 加茂神社(屋代神社)・屋裏八幡宮 ~
古事記と出雲57 大国主命㉒ ~ ヤガミヒメ再登場 御井神社 実巽神社 編 ~
古事記と出雲58 大国主命㉓ ~ コノマタの神は稲羽に里帰り出来なかった? 阿陀萱神社 編 ~
古事記と出雲59 大国主命㉔ ~ 翡翠の女神 ヌナカワヒメ ~
古事記と出雲60 大国主命㉕ ~ スセリヒメ再登場。 オオクニヌシの家系図 阿須伎神社・乙見社 編 ~
古事記と出雲61 大国主命㉖ ~ オオクニヌシの家系図その2 美保神社 編 ~
古事記と出雲62 大国主命㉗ ~ 小さな小さな神様 スクナヒコナ登場 手間天神社、常世神社 編 ~
古事記と出雲63 大国主命㉘ ~ 小さな小さな神様 その2 美保神社の摂社を巡る 編 ~
古事記と出雲64 大国主命㉙ ~ 小さな小さな神様 その3 スクナヒコナのご神徳の考察 編 ~