めのうさとえすこな散歩

古事記と出雲68 大国主命㉝ ~ 小さな小さな神様 その7 日本書紀のスクナヒコナ 編 ~

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みなさまこんにちは。
オンラインショップの朝倉です。
読み物を更新しました。
しばしお付き合いください。

 

今回はなんだかヘンテコリンな題名に
なってしまいました。
「古事記と出雲」で日本書紀(^^;)
あ、過去には出雲国風土記で考察したりも
ありましたね。元々ヘンテコリンでしたか。
・・・(。。;)

さてさて。
古事記ではあっさりとしか書かれていない
オオクニヌシとスクナヒコナの国作り。
日本書紀ではどう書かれているのでしょう?

日本書紀の「神代上第八段一書六」には
オオナムチ(オオクニヌシの別名)
スクナヒコナは力を合わせ心を一つにして
天下(あめのした)を経営(つく)る。

とあります。更に国作りの内容として
①人々や畜産の病の治療方法。
②鳥・獣・昆虫の害を除くまじないの方法。
③農業に勤しむ民は恩恵を戴いた。

と古事記に比べ国作りの内容が
具体的に書かれています。

そしてオオクニヌシはスクナヒコナに問います
「我々の国作りは果たしてうまく
出来ているのだろうか?」
この問に対してスクナヒコナは
「出来ている所もあれば、
出来ていない所もある」と答えます。
そしてその後、スクナヒコナは
熊野の御碕(みさき)から常世の国へ去り
居なくなってしまいます。
または淡嶋(あわしま)から
粟の茎に登り
弾かれて
常世の国へ去ってしまいます。

残されたオオクニヌシは独り国を巡り
国作りを成し遂げます。
そして出雲の国に至り
「この地上世界は荒れた国で
岩や草木まで逆らっていたが
私が統治し、逆らう者も居なくなった。」
と宣言します。国作りは完結を迎えます。

二神の功績に③の農業指導があります。
日本書紀にはこの恩恵を
「恩頼(みたまのふゆ)」と表現し
祭祀の際の祝詞にも奏上される
言葉でもあります。
これは「みたま」=「御霊」、
「ふゆ」=「増ゆ」、または「振るう」
と訳され
「多大なる恩恵」と考えられています。

また次の話が書かれています。
オオクニヌシが稲佐の浜に
食事をしようと訪れた時、
寄せる波間から声が聞こえましたが
誰も見当たりません。

暫くしてオオクニヌシはガガイモの葉の船に
鳥のミソサザイの羽根の着物としてまとう
小人を見つけます。
オオクニヌシはこの小人を手に取り
もてあそびましたところ、頬に飛びつき
噛み付かれてしまいました。

いったい誰だ?といぶかしげに思った
オオクニヌシは天の神様に遣いを出し
尋ねさせます。
すると古事記では2番めに登場する神様
(タカミムシビ)が次のようにおっしゃいます。
「私には1,500の御子がいるが、その中で
出来が悪く、手の指の間から漏れ落ちた
子神がいる。その子神に違いない。
愛でて育てよ。」
この神はスクナヒコナである。

古事記では3番めに登場する神様
(カミムスビ)の御子神と書かれている
スクナヒコナは、日本書紀では御親神が
違って書かれています。

ちょっと気になるのは二神の尊称。
日本書紀では尊称で格付けがあります。
図式としては
「神」>「尊(みこと)」>「命(みこと)」。
同じ「みこと」と読む字でも「尊」と「命」
では、「尊」は「貴い神様」「皇統」に関わる
神様に用いられ、それより上の格付けに
「神」の尊称が用いられています。
二神の尊称はオオクニヌシが「神」、
スクナヒコナは「命(みこと)」とあり
スクナヒコナがちょっと格下、もしくは
成長途中の神さまの様に感じられます。

また、天の神が自身の御子だと言った最後、
「愛て養せ (めぐみて ただせ)」とあり
「養」から「育てる」「成長させる」といった

印象を受けるのと、
出来が「悪い」と言った事に対し
「ただせ」→「正せ」
と言っているようにも
読み取れます。

オオクニヌシが手のひらで弄ぶのが
からかっている様にも感じられ、
それに対して噛み付くスクナヒコナも
ちょと幼くカワイイ感じもしますね。

さて。
国作り半ばにして海の向こうの永遠の国
「常世の国」に去ってしまうスクナヒコナ。
その場所は
①熊野の御碕
②淡嶋
と書かれています。
扶桑社のマンガならわかる!『日本書紀編』
には、①は島根県松江市八雲町熊野、
②は鳥取県米子市内といわれていると
書かれています。
さらに①について岩波文庫の日本書紀(一)の
解説には出雲国風土記に載る熊野大社のある
「熊野山」を候補地に挙げ、
「ミサキは、海岸に限らず
山でも岡でも突出部をいう。」と書いています。

そこで、私が思うスクナヒコナの
旅立ちに場所がこちら。
松江市八雲町熊野 天宮山。


この山の山頂付近にある斎場(祭祀の場所)。

2018年5月元宮祭の様子。
この斜面の奥に巨石が並んでいます。
ここが御碕?

この巨石は熊野大社の元宮で
御祭神降臨の場所といわれています。
前述の岩波文庫日本書紀(一)を参考にすると
ここから旅立ったのかもしれません。

また、「常世国」は海の向こうにありますので
「船」を使ったかもしれません。
この元宮のある「天宮山」の東側は
島根県安来市広瀬町の地名。
「広瀬」の「瀬」は「浅瀬」に繋がり
もしかしたら中海に通じていたかもしれません。

そして日本書紀にもう一つ載る
神去の場所、淡嶋。
前出の日本書紀(一)による鳥取県米子市内の

「あわしま」といえば、
「静之窟(しずのいわや)」でご紹介したこちら。
粟嶋神社 鳥取県米子市彦名町1404。

「粟嶋」の名前のある通り、」以前はこの丘陵は島で
船で参拝したのだそうです。今は陸続きですね。
標高は38mだそうです。


38mと侮るなかれ、石段は急です(^^;)

小さい小さい神様ですが、立派な社殿に
いらっしゃいます。
千木がシュッとしていてスタイリッシュですね。

大社造りとはちょっと違い、仏閣の様な
造りに見えます。大社造りは柱が9本ですが
こちらは12本ある様に見えるからです。

和歌山県に「淡嶋神社」があります。
Wikipediaには「淡島神社・粟島神社・淡路神社の
総本社」と書かれており、御祭神はスクナヒコナ
オオナムチ(オオクニヌシ)そして神功皇后。
ですが「常世の国」の事は記載が無く、
その伝承は伝わってないのでしょうね。
行ってみたい神社のマイリストにある一社です。

 

本日もお付き合いくださって
ありがとうございます。
またの更新をお楽しみに。
ご自愛くださいますように。

 

大国主命編 過去のブログはこちら

古事記と出雲㊱ 大国主命① ~ その出生地はどこか?~

古事記と出雲㊲ 大国主命② ~ オオクニヌシのお爺さんお婆さん 長浜神社編 ~

古事記と出雲㊳ 大国主命③ ~ オオクニヌシのお父さん 日御碕神社 編 ~

古事記と出雲㊴ 大国主命④ ~ 稲羽の素兎 白兎神社 編 ~

古事記と出雲㊵ 大国主命⑤ ~ 稲羽の素兎 白兎海岸 編 ~

古事記と出雲㊶ 大国主命⑥ ~ ヤガミヒメの故郷 賣沼神社 編 ~

古事記と出雲㊷ 大国主命⑦ ~ オオクニヌシの受難その1 赤猪岩神社 ~

古事記と出雲㊸ 大国主命⑧ ~ オオクニヌシの受難その2 赤猪石・赤猪神社跡(元宮) ~

古事記と出雲㊹ 大国主命⑨ ~ オオクニヌシの甦り 清水井 清水川神社 ~

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古事記と出雲㊼ 大国主命⑫ ~ イソタケルを祀る「韓国伊太氐神社」の不思議 編 ~

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古事記と出雲57 大国主命㉒ ~ ヤガミヒメ再登場 御井神社 実巽神社 編 ~

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古事記と出雲60 大国主命㉕ ~ スセリヒメ再登場。 オオクニヌシの家系図 阿須伎神社・乙見社 編 ~ 

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古事記と出雲62 大国主命㉗ ~ 小さな小さな神様 スクナヒコナ登場 手間天神社、常世神社 編 ~

古事記と出雲63 大国主命㉘ ~ 小さな小さな神様 その2 美保神社の摂社を巡る 編 ~

古事記と出雲64 大国主命㉙ ~ 小さな小さな神様 その3 スクナヒコナのご神徳の考察 編 ~

古事記と出雲65 大国主命㉚ ~ 小さな小さな神様 その4 続・スクナヒコナのご神徳の考察 編 ~

古事記と出雲66 大国主命㉛ ~ 小さな小さな神様 その5 国作りの軌跡 大黒山 兵主神社 編 ~

古事記と出雲67 大国主命㉜ ~ 小さな小さな神様 その6 国作りの軌跡 静之窟 編 ~

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