みなさまこんにちは。
いつもお読みくださり
ありがとうございます。
読み物を更新しました。
しばしお付き合いください。
前回でスクナヒコナ編が終了しました。
今回からスクナヒコナが常世の国へ
去っていなくなってしまった後の
古事記のストーリーを進めて行きます。
とその前に、前回載せ忘れました
鳥取県米子市の粟嶋神社の御朱印を。
初穂料800円でした。
さてさて。
では古事記のストーリーを進めていきます。
国作り半ばにして常世の国へ渡ってしまった
国作りのパートナー、スクナヒコナ。
独りになったオオクニヌシは憂いに沈み
「私独りでいかに国作りを進めれば良いのだ。
誰と一緒に私はこの国を共に作れば・・・」
とスクナヒコナの去就を嘆きます。
その時!
海原を照らしやって来る神がありました。
その神はこうおっしゃいました。
「私の御霊(みたま)を丁重に祀るならば
そなたと共に国作りを成し遂げよう。
もし、そうでなかったら国作りの達成は
難しいだろう」と。
オオクニヌシはその光輝く神に問いました
「では貴方の御霊を
どうやって祀れば良いのでしょうか?」
神はこう答えました。
「私を大和(奈良)の国を囲む山の中で
東にある山に清浄に祀れ。」
とおっしゃいました。
この神は御諸山(みもろやま)に
鎮座する神様である。
ここまで。
オオクニヌシは独りになり、
落ち込んでしまい、「誰と成せばいいか」と
国作りのパートナーと国作りをしなければ
達成出来ない様な発言をします。
推測するに、それだけ国作りは難儀な事であり
単独の知識や行動の範疇では難しいという
事なのかもしれません。
そして海原を照らしながら近づいてきた
神さまの名は、古事記には明記が無く
「御諸山(みもろやま)に鎮座する神」
とだけあります。
この件は日本書紀にオオクニヌシが
「いったい貴方はどなた様ですか?」と
尋ねる事が書かれていています。
オオクニヌシの問に対して光り輝く神は
「私は貴方の幸魂奇魂である。」と
答えています。『幸魂奇魂』の読みは
『さき(さち)みたま くしみたま』』。
これは一霊四魂説といった
考え方に基づくようです。
一霊四魂説はWikipediaによると
一霊四魂説のもっとも一般的な解釈は、
神や人には
荒魂(あらみたま)
和魂(にぎみたま)
幸魂(さきみたま、さちみたま)
奇魂(くしみたま)
の四つの魂があり、
それら四魂を直霊(なおひ)という
一つの霊がコントロールしている
というものである。
一霊四魂の概念図(Wikipedia 一霊四魂 より引用)
と、幕末から明治の国学者、
本田親徳の概念が解説されています。
さらにこれらの魂は
◇「和魂(にきみたま)」→勇
(前に進む力)
◇「荒魂(あらみたま)」→親
(親しみ交わるという力)
◇「幸魂(さきみたま)」→愛
(人を愛し育てる力)
◇「奇魂(くしみたま)」→智
(観察力、分析力、理解力)
と解説しています。
なお、本居宣長は
魂には大きく荒魂と和魂の2種があり、
和魂にはさらに幸魂と奇魂の働きがある
としており、四魂としてまとめて
みるようなことはしていない。
とWikipediaには別の説も見えます。
神社を巡るとこちらの考えが
しっくり来るような、
そんな気がします。
ともあれ、この光り輝く神は
オオクニヌシの分霊と考えられています。
魂によっては別人格(別神格?)の存在がある
ということでしょうか。
古事記ではこの光り輝く神との国作りは
一切記載が無く、
「御諸山に鎮座する神である。」
と書かれている後は、
別の話に展開しています。
ではこの「御諸山」に鎮座している
光り輝く神とはどなたでしょう?
「御諸山」は現在の「三輪山」と考えられ
そこにいらっしゃる神様は
「オオモノヌシのみこと(大物主命)」です。
車道をまたぐ鳥居としては
日本一の大きさの鳥居(32.2m)と三輪山。
2016年2月撮影。
三輪山にある神社がこちら。
大神神社(おおみわじんじゃ)。
奈良県桜井市三輪1422
※以下写真は全て2016年2月撮影。
三輪山自体が御神体といわれ
神名備(かんなび)と呼ばれる
古代からの信仰形式を踏襲しています。
鎌倉時代に拝殿が創建され、
現在の拝殿は1664年、
四代将軍徳川家綱により建立されたものです。
大神神社には本殿がありません。
拝殿を通し三輪山を拝礼します。
三輪山の前には「三ツ鳥居」と呼ばれる
明神鳥居を3つ並べた様な鳥居があります。
参拝時、社務所に申し出ると案内して頂き
鳥居前で拝礼することが出来ます。
撮影は禁止です。
三ツ鳥居(大神神社HP)
鳥居は結界の役目があり、
真ん中の鳥居には扉がありますが
山の側から開く様に作られていて、
神様が自ら通るための「門」
といった鳥居の様です。
三ツ鳥居の向こう側は禁足地です。
この禁足地から「子持ち勾玉」が
出土しています。
子持ち勾玉大神神社HP
禁足地から出土?
と不思議に思うかもしれませんが
三ツ鳥居を案内してくださった
神職の方のお話によると、
三ツ鳥居に防火用のスプリンクラーを
設備する時に見つかったものだそうです。
どうやら江戸時代にも見つかった記録が
残っているようです。
三輪山は登拝(とはい)する事が出来ます。
拝殿から三輪山の裾を回るように
狭井神社まで行き、社務所で申し込みます。
清掛け(きよかけ)を首からかけ、
自らを大麻(おおぬさ)で祓い清め入山します。
入山の心得を神職の方から聞くのですが、
本来は入れず、入るならば正装(白装束)で
登拝してもらうのだそうです。
清掛けは白装束の代わりなので
下山まで決して取ることの無い様言われます。
境内社 狭井神社。オオモノヌシの荒魂を
祀っているそうです。
登拝口にある大麻。
大麻を両手で持ち左→右→左と振り
自分自身を祓い清めます。そして入山。
入山口。
私はこの時、トレッキングシューズに
履き替えてから入山しました。
社務所の脇には鍵付きの下駄箱があります。
下山中、数人の素足の方と会いました。
白装束の方もいらっしゃいました。
神様の山、つまりは神様のお住いに
上がらせて頂く感覚なのかもしれません。
三輪山は標高467m。
周りにはもっと高い山がありました。私は
何故この山にオオモノヌシは鎮座されたのか
不思議な感じがしていました。
ですが登拝してみると、山中には水が流れ
禊の場所があり、山腹にはオオクニヌシが宿る
中津磐座(なかついわくら)があり、
山頂には巨石が転がりその中心には一際目立つ
奥津磐座(おきついわくら)がありました。
登ってみてなるほど、
特別な山なのだと認識しました。
また、大和盆地の東側ということは
朝日が昇る方角であり、
ご神威を感じずにはいられませんでした。
前出の大鳥居の写真は鳥居の真ん中から
朝日が昇る写真です。
先程の「中津磐座(→オオクニヌシ)」、
「奥津磐座(→オオモノヌシ)」と国作りの
神様がいらっしゃいますが、国作りの
もう一柱の功労者、スクナヒコナは?
三輪山周辺には磐座が点在しているようで
全て辺津磐座(へついわくら)と呼ばれます。
この「辺」は「山辺」=「山裾」という
事でしょう。
その中でもこの磐座にはスクナヒコナが
宿られる特別の磐座の様です。
今回は長くなってしまいました。
最後までお読みくださって
ありがとうございます。
またの更新をお楽しみに。
ご自愛くださいますように。
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