めのうさとえすこな散歩

古事記と出雲72 大国主命㊲ ~ 来待神社 オオモノヌシ クシミカタマ 編 ~

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みなさまこんにちは。
いつもお読みくださり
ありがとうございます。

読み物を更新しました。
しばしお付き合いください。

 

いよいよオオクニヌシ編も最終回です^^b
今回は古事記からちょっと離れますが
オマケ的に読んでくださると幸いです。

オオクニヌシの和魂(にぎみたま)、いわゆる
穏やかな魂であるオオモノヌシ
出雲地方で祀られている神社を
探していたところ気になる神社がありました。
それは来待(きまち)神社。
気になったのは御祭神の御神名です。
題名にもありました御神名、

「オオモノヌシ クシミカタマのみこと」。
神社検索(島根)に漢字表記で
「大物主櫛厳玉命」とあります。
「櫛」は「奇し」。
「霊妙な」といった意味を持ち
「厳玉」(みかたま)は
「厳(おごそ)かな魂」という事でしょうか。
「魂」もしくは「霊」を尊重した
御神名のように感じます。

実はこの御神名は出雲大社に関わりの深い
御神名なのです。ちょっと説明を  d(^^;)
この御神名は出雲大社の国造が
天皇陛下の元へ参代する
「神賀詞奏上儀礼(かんよごとそうじょうぎれい)
の際に奏上される
「出雲国造神賀詞(いずもこくそうかんよごと)」に
登場します。
これは奈良・平安時代に斎行された儀礼で
出雲大社の国造が就任すると、朝廷に趣き
「神賀詞」という、いわゆる「祝詞」を
奏上し、幾つかの貢物をに天皇のご長寿と
時代がいつまでも盤石に続くよう願いを込め
奏上する儀礼です。
昭和23年第83代国造就任の際に復活しました。
弊社はその際に天皇に献上される勾玉、
「美保伎玉(みほぎだま)」作製の会社です。

その神賀詞の中に四柱の神々が四方から
天皇陛下を守護するというくだりがあります。
そこに登場する神様の一柱が
「大物主櫛厳玉命」です。
そのくだりを要約すると
オオナモチ(オオクニヌシ)
和魂(にぎみたま)を八咫鏡に御神体として
より憑かせて、倭の大物主櫛厳玉命と
御神名を唱えて、大御和(おおみわ)の社に
鎮めて・・・
とあります。
「御神名を唱えて」の箇所は
「和魂を『オオモノヌシ』と霊妙な御魂として
呼び名を変えて」と意訳出来るのでは?

古事記に対応する様なくだりと感じます。

 

さあ、今回ご紹介する来待神社は
崇神天皇の頃、大和国三輪より
ご神霊を勸請した
と御由緒にあるようです。
来待神社 松江市宍道町上来待242番地。

直線に長く続く石段の先の境内には
立派な出雲構え型の狛犬さん。
更に敷地に入ると空気が引き締まるような
張り詰めた雰囲気に一変します。

楼門の先に屋根のみの参拝スペースがあり
左右に社殿が回廊で繋がっています。



「大社造り」と思いきや、この両脇に
社殿が並ぶ造りから「春日造り」と
解説があるようですね。
左殿 御祭神はコトシロヌシ。

右殿 御祭神はイソタケル。

本殿の社額には「来待神社」。

その上に「三社大明神」の社額があります。

ご神紋は出雲大社と同じ「二重亀甲に花剣菱」
と思いましたら、亀甲は二重でなく一重。
「亀甲に花剣菱」でした。

「来待(きまち)」の地名由来には、人々が
大和(奈良)からオオモノヌシがるのをった
という説があるそうです。または
コトシロヌシが社殿を建て、
オオモノヌシを迎えたという
由来もあるそうです。

「玄松子の記憶」を参照。

そうそう!
「きまち」という名字の方がいます。
知っている「きまち」さんは「來海」と
字を充てられます。
なんで「海」が「まち」の音になるか
不思議に思ってました。
今回参考にさせていただいている
「玄松子の記憶」のブログには

『式社考』に「来待を来海と書くは、
入海の邊(へ→波打ち際)にて、
本、来待海といひしを

省してかけるべし。」
とありました。
オオモノヌシが海から来るのを待った
この「来待海」(海より来るを待つ)を
略したとの事ですので「来待」「来海」と
略され、読みが同じになったのでしょうね。

記録には金比羅さんも境内に祀られている様で
この辺りまで入海だったと考えれば
船でこの地までお越しになった訳で
船の神さまとして祀られているのも納得です。

波打ち際がそこまであり、
船で奈良からオオモノヌシが来られるのを
人々は待っていたのかもしれませんね (^^)b

 

古事記にあるオオクニヌシの国作りは
オオモノヌシの登場により完成します。
それにしても、不思議なのは

オオモノヌシは神名を
自身で名乗ることはありませんでしたし

オオクニヌシが尋ねることも
ありませんでした。

古事記にも「御諸山の神」とだけあり
「オオモノヌシ」の神名は出てきません。
この前に登場する国作りのパートナー
スクナヒコナは神名を尋ねられても
答えなかったので、
お付きの者にも尋ねましたが誰も知りません。

遂にはヒキガエルの神が
カカシの神が知っているという言葉を頼りに
カカシ神を呼び寄せます。
さらに高天原の親神の所に確かめに行きます。
まあ、国作りの命を受けるため、必要な
くだりとは思いますが、随分差がありますね。

解説にはよく、御諸山の神といえば誰もが知る
既知の事であるため、とか目にしますが
なにか意図がるような気もします。

37回に渡りご紹介してきた国作りのシリーズは
今回で最終回でした。
この次はスサノヲの御子神の大年神の系譜が
書かれています。
次回からこの大年神をご紹介していきます。

 

最後までお読みくださって
ありがとうございます。
またの更新をお楽しみに。
ご自愛くださいますように。

 

大国主命編 過去のブログはこちら

古事記と出雲㊱ 大国主命① ~ その出生地はどこか?~

古事記と出雲㊲ 大国主命② ~ オオクニヌシのお爺さんお婆さん 長浜神社編 ~

古事記と出雲㊳ 大国主命③ ~ オオクニヌシのお父さん 日御碕神社 編 ~

古事記と出雲㊴ 大国主命④ ~ 稲羽の素兎 白兎神社 編 ~

古事記と出雲㊵ 大国主命⑤ ~ 稲羽の素兎 白兎海岸 編 ~

古事記と出雲㊶ 大国主命⑥ ~ ヤガミヒメの故郷 賣沼神社 編 ~

古事記と出雲㊷ 大国主命⑦ ~ オオクニヌシの受難その1 赤猪岩神社 ~

古事記と出雲㊸ 大国主命⑧ ~ オオクニヌシの受難その2 赤猪石・赤猪神社跡(元宮) ~

古事記と出雲㊹ 大国主命⑨ ~ オオクニヌシの甦り 清水井 清水川神社 ~

古事記と出雲㊺ 大国主命⑩ ~ オオクニヌシの受難その3 大石見神社 編 ~

古事記と出雲㊻ 大国主命⑪ ~ 救世主 オオヤビコはスサノヲの御子神? ~

古事記と出雲㊼ 大国主命⑫ ~ イソタケルを祀る「韓国伊太氐神社」の不思議 編 ~

古事記と出雲㊽ 大国主命⑬ ~ オオクニヌシの根の国訪問 スセリヒメとの出会い 編 ~

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古事記と出雲㊿ 大国主命⑮ ~ スセリヒメ終焉の地 唐王神社 前編 ~

古事記と出雲51 大国主命⑯ ~ スセリヒメ終焉の地 唐王神社 後編 ~

古事記と出雲52 大国主命⑰ ~ 大国主命の使いはウサギ?ネズミ? ~ 

古事記と出雲53 大国主命⑱ ~ オオクニヌシの琴 琴引山・琴弾山神社 編 ~

古事記と出雲54 大国主命⑲ ~ 八十神討伐。オオクニヌシの築いた城「城名樋(きなび)」編 ~

古事記と出雲55 大国主命⑳ ~ 八十神討伐とその後のオオクニヌシ。 木次神社・三屋神社 編 ~

古事記と出雲56 大国主命㉑ ~ 八十神討伐にまつわる地名 加茂神社(屋代神社)・屋裏八幡宮 ~

古事記と出雲57 大国主命㉒ ~ ヤガミヒメ再登場 御井神社 実巽神社 編 ~

古事記と出雲58 大国主命㉓ ~ コノマタの神は稲羽に里帰り出来なかった? 阿陀萱神社 編 ~

古事記と出雲59 大国主命㉔ ~ 翡翠の女神 ヌナカワヒメ ~

古事記と出雲60 大国主命㉕ ~ スセリヒメ再登場。 オオクニヌシの家系図 阿須伎神社・乙見社 編 ~ 

古事記と出雲61 大国主命㉖ ~ オオクニヌシの家系図その2 美保神社 編 ~

古事記と出雲62 大国主命㉗ ~ 小さな小さな神様 スクナヒコナ登場 手間天神社、常世神社 編 ~

古事記と出雲63 大国主命㉘ ~ 小さな小さな神様 その2 美保神社の摂社を巡る 編 ~

古事記と出雲64 大国主命㉙ ~ 小さな小さな神様 その3 スクナヒコナのご神徳の考察 編 ~

古事記と出雲65 大国主命㉚ ~ 小さな小さな神様 その4 続・スクナヒコナのご神徳の考察 編 ~

古事記と出雲66 大国主命㉛ ~ 小さな小さな神様 その5 国作りの軌跡 大黒山 兵主神社 編 ~

古事記と出雲67 大国主命㉜ ~ 小さな小さな神様 その6 国作りの軌跡 静之窟 編 ~

古事記と出雲68 大国主命㉝ ~ 小さな小さな神様 その7 日本書紀のスクナヒコナ 編 ~

古事記と出雲69 大国主命㉞ ~ 国作りの新パートナー オオモノヌシ 編 ~

古事記と出雲70 大国主命㉟ ~ オオモノヌシを祀る神社 金刀比羅宮 編 ~

古事記と出雲71 大国主命㊱ ~ 出雲の金刀比羅宮 編 ~

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